No.17012 冷凍メンチカツを原因とする腸管出血性大腸菌O157による食中毒事例

[ 詳細報告 ] 分野名:細菌性食中毒
登録日:2017/04/04
最終更新日:2018/03/22
衛研名:神奈川県衛生研究所
発生地域:神奈川県域、横浜市、川崎市、相模原市、藤沢市、東京都、千葉県
事例発生日:2016/10/17
事例終息日:2016/11/11
発生規模:患者数62名
患者被害報告数:62名(神奈川県域38名、横浜市6名、川崎市2名、相模原市3名、藤沢市10名、東京都1名、千葉県2名)
死亡者数:0名
原因物質:腸管出血性大腸菌O157
キーワード:腸管出血性大腸O157、冷凍メンチカツ、神奈川県、そうざい半製品

背景:
腸管出血性大腸菌感染症の患者数は全国で毎年4000名程度で推移しており、神奈川県域では年間30~50名の発生届が確認されている。本事例では、冷凍状態で流通するメンチカツが腸管出血性大腸菌O157に汚染されたことが原因であったが、当該食品はそうざい半製品として販売され、弁当・そうざいあるいは冷凍食品の規格基準が適用されない食品であった。

概要:
2016年10月17日の発生届を初発とし、その後、10月26日付けで6名の患者が確認されるなど、神奈川県内の一部地域において腸管出血性大腸菌O157(VT2、以下O157)の患者が相次いで報告された。管轄する保健福祉事務所の調査結果から、患者らは同一販売元の冷凍メンチカツを喫食していることが確認された。その後、患者宅から回収された冷凍メンチカツからもO157が分離され、患者分離株と遺伝子型が一致したため、10月31日付けでO157による食中毒が疑われる事例として記者発表された。11月11日の発生届を最後に、患者数は62名(神奈川県域38名、横浜市6名、川崎市2名、相模原市3名、藤沢市10名、東京都1名、千葉県2名)確認された。その他に神奈川県域では、冷凍メンチカツを喫食し、O157は分離されたが無症状である保菌者が9名確認された。

原因究明:
原因食品の販売元を管轄する保健福祉事務所の調査により、当該食品は販売元が原材料を調達し、他の会社に委託して製造されたものであり、事例発生時には3つの製造ロットの製品が販売されていたことが確認された。冷凍メンチカツ1個の大きさは長径10 cm、短径6 cm、厚さ1.6 cm程度であり、重量は約90 gであった。回収された3つの製造ロットについて微生物学的試験を実施した結果、賞味期限が2017年2月26日のロットのみ、調査したすべての冷凍メンチカツがO157に汚染されていることが明らかとなり、O157の汚染菌量は幾何平均で1gあたり7.6MPNを示した。また、冷凍メンチカツは各家庭で加熱後に喫食する食品であったことから、当所で製品の包装に記載された加熱条件により回収品を用いて加熱試験を行った結果、加熱後も中心部の温度は菌の死滅温度に到達せず、加熱後もO157が検出された。このことから本事例では、冷凍メンチカツを汚染したO157が各家庭において加熱後も生残した可能性が示唆された。

診断:
者及び冷凍メンチカツから分離されたO157について、IS-Printing及びパルスフィールドゲル電気泳動法を用いて遺伝子型別試験を行った結果、すべての分離株が同一パターンを示した。喫食状況等の疫学情報が遺伝子レベルの解析で裏付けられたことから、患者及び保菌者から分離されたO157は冷凍メンチカツ由来であると確認された。

地研の対応:
10月26日に患者分離株5株、翌10月27日に店舗から回収された冷凍メンチカツが搬入され、患者分離株は遺伝子型別、冷凍メンチカツは菌分離及び分離株の遺伝子型別を行った。

行政の対応:
冷凍メンチカツからO157が分離され、患者分離株と遺伝子パターンが一致したことを受け、10月31日に食中毒が疑われる事案として販売店が商品回収を実施している旨を記者発表した。さらに、患者発生や分離株の遺伝子解析の結果等、追加情報を随時、12月5日の第9報まで記者発表を行った。

地研間の連携:
本事例は複数の自治体にまたがる事例であったため、菌株を相互に分与する等、遺伝子型別の結果について情報共有を図った。

国及び国研等との連携:
分離された菌株は国立感染症研究所へ送付し、MLVAによる解析結果が各地研に還元された。

事例の教訓・反省:
原因食品は消費されるまで各家庭の冷凍庫に保管されており、販売を止めるだけでは感染の拡大を防ぐことはできなかったため、迅速な公表を特に求められる事例であった。

現在の状況:

今後の課題:
本事例の原因食品は冷凍で流通するそうざい半製品であり、弁当・そうざいあるいは冷凍食品としての規格基準は適用されない。今後はこのような食品についてもモニタリング調査を実施し、新たな規格基準を設定するなど再発防止に向けた取り組みが必要と思われる。

問題点:

関連資料: