炭疽 – anthrax(サマリー)

  1. 病原体の特徴
    • 起炎病原体:炭疽菌(Bacillus anthracis)
      好気性グラム陽性桿菌
      芽胞を形成
  2. 分類と潜伏期間
    • 皮膚炭疽
      • 1〜7 日
    • 吸入炭疽(肺炭疽)
      • 感染後2日〜60日
    • 腸炭疽
      • 1〜7 日
  3. 感染経路
    • 皮膚炭疽
      • 皮膚の傷口より感染
    • 吸入炭疽(肺炭疽)
      • 芽胞による空気感染
        (数千〜数万個の炭疽菌芽胞の吸引により発生)
      • ヒトからヒトへの直接の感染はない.
    • 腸炭疽
      • 経口感染
  4. 臨床症状
    • 皮膚炭疽
      • 虫刺され様の初期病変
      • 無痛性の非化膿性の悪性膿疱の出現
      • 所属リンパ管炎やリンパ節炎
    • 吸入炭疽(肺炭疽)
      • 感冒様症状で初発
      • 頭痛,筋肉痛,悪寒,発熱,胸痛
      • 呼吸困難,チアノーゼ,
      • 失見当識、譫妄,意識障害
    • 腸炭疽
      • 吐気,嘔吐,腹痛,発熱などで発症
      • 吐血,血便,激しい下痢
      • 咽頭炎,嚥下障害,頸部リンパ節炎
  5. 検体の種類および採取法
    • 検体の種類
      • 皮膚炭疽
        • 皮膚病変部位(水疱,痂皮)
      • 吸入炭疽(肺炭疽)
        • 気道分泌物(喀痰,吸引採痰等)
        • 胸水
        • 鼻腔ぬぐい
      • 腸炭疽
        • 糞便
      • 原則的にいずれの病型も血液培養を併用。髄膜炭疽を疑う例では髄液および血液
    • 検体の採取法
      • 皮膚炭疽
        • 水疱の場合は穿刺し,痂皮の場合は端の部分から滅菌綿棒を押し込んで回す
      • 吸入炭疽(肺炭疽)
        • 喀痰は一般の喀痰容器に採取
        • 保菌の可能性がある場合は鼻腔ぬぐい
      • その他
        • 髄膜炭疽を疑う症例では髄液および血液培養。
        • 血液はカルチャーボトルに注入
        • 直接塗抹染色用の血液は抗凝固剤入りの採血管で末梢血を採取。
      • 腸炭疽
        •糞便
  6. 検体の輸送法
    • 喀痰,吸引採痰等は冷蔵状態にて輸送
    • 血液,髄液はカルチャーボトルで保温状態で輸送
    • 皮膚病変を擦過した綿棒はカルチャースワブにて常温で輸送
  7. 微生物学的検査法
    • 塗抹染色(グラム染色,墨汁染色)
      厚い莢膜,竹竿様の形状
    • 培養
      時間培養で粘稠性のコロニー,β溶血(−)
    • 血清抗体価検査
      検査キット(米国イムネティクス社)
  8. 治療の要点
    •  肺炭疽では早期から有効抗菌薬を大量に投与
    • バイオテロ用に耐性が付加されている可能性を考慮
    • 全身管理(補液,酸素吸入、昇圧剤など)
    • 吸入炭疽(肺炭疽)
      1. 初期治療
        • シプロフロキサシン点滴静注(成人:400mg,12時間毎,小児:20〜30mg/kg/日,分2)
      2. 感性菌と判明したら
        • ペニシリンG点滴静注(成人:400万単位,4時間毎,12歳以下:5万単位/kg, 6時間毎)
        • ドキシサイクリン点滴静注も推奨されているが国内では経口薬のみ使用可
2009年02月17日 13時03分 改訂