参照元URL : http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/07/02/02.html
2019年06月28日 福祉保健局
特別養護老人ホームにおける結核集団感染の発生について
西多摩保健所管内の特別養護老人ホームで、職員、入所者等が結核に集団感染する事例が発生しました。すでに保健所が調査を行っており、関係者の健診を進めています。
結核の新登録患者数は減少傾向にあるものの、結核の集団感染は毎年発生しています。高齢者、基礎疾患をお持ちの方や既感染者等は結核を発病しやすく、特に注意が必要です。
都民の皆さまにおいては、咳や痰などの症状が2週間以上続く場合など、結核が疑われる症状があれば、医療機関に連絡の上、マスクをして直ちに受診するようお願いします。
また、感染症法においては、感染症の患者等の人権の尊重が求められておりますので、御理解、御配慮のほどお願いいたします。
1 集団感染に至った経過
- 平成29年11月、特別養護老人ホーム職員(40歳代男性)が職場健診で胸部エックス線異常陰影指摘。咳、痰の症状があった。
- 平成29年12月、医療機関で胸部CT撮影。非結核性抗酸菌症疑いと診断され、経過観察となる。
- 平成30年3月中旬より咳等の症状が続いたため、4月中旬に医療機関を受診し、肺結核と診断される。保健所の接触者健診の結果、他に発病者は確認されなかった。
- 平成31年2月下旬から3月上旬にかけて、上記職員の接触者健診対象外だった入所者の発病が複数確認され、保健所は直ちに接触者健診を開始した。
2 発病者・感染者発生状況(令和元年6月28日現在)
(単位:人)
健診対象者 | 発病者【注1】【注2】 | 感染者 | |
---|---|---|---|
初発患者 | - | 1 | - |
家族・友人等 | 4 | 0 | 2 |
職員・退職者 | 68 | 1 | 15 |
入所者・退所者 | 73 | 8 | 19 |
合計 | 145 | 10 | 36 |
【注1】発病者10人中8人は治療中、2人は治療終了。
【注2】発病者10人のうち、8人の検体が確保され、結核菌の遺伝子検査の結果、初発患者1人と発病者7人の型が一致。
3 感染拡大の主な要因
- 初発患者は職場健診の胸部エックス線検査において異常陰影を指摘され受診したが、結核の診断に至らず、治療開始が遅れた。
- 当該施設入所者に対する結核の定期健康診断(胸部エックス線検査)において、「要精密検査」の者がいたが、その後の精密検査が徹底されていなかった。
4 保健所及び都の対応
- 保健所は当該施設と協力のうえ入所者及び職員等に対する接触者調査、接触者健康診断等を実施しており、引き続き感染者を把握し、治療中の方へは服薬を支援します。
- 保健所は施設に対し、再発防止に向けた対策を講じるよう要請しました。
- 都は都内の高齢者施設に対し、結核の感染予防を促す注意喚起を行います。
※参考 結核について(PDF:258KB)
※結核対策啓発資料「高齢者施設における結核対策の手引」(平成27年3月作成)(PDF:2,650KB)
都の結核の現状
- 新登録患者数は減少傾向ですが、人口10万対り患率は全国に比べ常に高くなっています(図1)。
図1 新登録患者数及びり患率の推移
- 平成25年から平成29年までの5年間に起きた結核集団感染の発生場所は、事業所が最も多く、次いで学校、介護施設、医療機関、カプセルホテル・簡易宿泊となっています(表)。
平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | |
---|---|---|---|---|---|
医療機関 | 1 | 1 | |||
介護施設 | 1 | 1 | 2 | ||
事業所 | 3 | 4 | 4 | 3 | |
学校(幼・小~大・専門) | 3 | 2 | 3 | 2 | 2 |
教室・クラブ関係(塾含む) | 1 | ||||
カプセルホテル・簡易宿泊 | 1 | 1 | |||
その他 | 1 | ||||
合計 | 9 | 9 | 7 | 7 | 4 |
(初発患者の診断日が属する年)
表 東京都における年別集団感染報告数及び発生の場所の内訳
- 新登録患者数は減少傾向ですが、70歳以上の高齢者が4割以上を占めています(図2)。
図2 東京都における新登録患者数に占める70歳以上の割合
問い合わせ先 福祉保健局健康安全部感染症対策課 電話 03-5320-4483 |