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新型コロナウイルスに関するQ&A(医療機関・検査機関の方向け)
令和2年9月10日時点版
問1 臨床経過はどのようなものですか?
問2 診断方法はなんですか?
問3 鑑別疾患はなんですか?
問4 自治体が衛生検査所などで行政検査を実施する場合、検査方法などの相談窓口はありますか?
問5 PCR検査等が実施できる場所や費用はどのようになっていますか。
問6 検査が陽性となった場合の行政の対応はなんですか。
問7 体調を崩した方が医療機関を受診する際に、現場の医師や看護師などはどのようなことに注意して診察を行うべきでしょうか?
問8 「無症状病原体保有者の感染可能期間」とは、陽性確定に係る検体採取日の2日前から入院、自宅や施設等待機開始までの間、とする。」とありますが、無症状病原体保有者が自宅療養を開始した場合、同居の家族等は濃厚接触者になりますか?
問9 感染の疑いがある患者を診察する際、医療者はどのような準備や装備が必要ですか?
問10 N95マスクは再利用できますか?
問11 医療機関や検査機関で新型コロナウイルス感染症患者に診療を行った場合、濃厚接触者に該当しますか?
問12 医療機関や検査機関で新型コロナウイルス感染症患者に診療を行った後、就業を控えた方が良いですか?
問13 医療機関や検査機関で新型コロナウイルス感染症患者に診療を行った後、PCR検査を行ってもらえますか?
問14 医療機関や検査機関での診療により、感染してしまった場合はどうなりますか?
問15 最近発生している院内感染の事例にはどのようなものがありますか?
問16 院内感染防止のために特に気をつけることはありますか?
問17 新型コロナウイルスの抗原検査はどのような性能でどのような場合に有効か?
問18 新型コロナウイルスのワクチンの開発・使用開発はいつごろになりますか?
問19 基礎疾患のある患者について、診療を行う上での留意点はありますか?
問20 妊婦、授乳婦、小児患者について、診療を行う上での留意点はありますか。
問21 新型コロナウイルスにより亡くなられた方及びその疑いがある方の遺体を搬送作業や火葬作業に従事する者に引き渡す際に、留意するべき事項はありますか。
問22 イブプロフェンで新型コロナウイルス感染の症状が悪化するという話を聞きましたが、どのように考えればよいでしょうか。
問23 70%以下のエタノールを新型コロナウイルスの消毒に用いることは可能ですか。
問24 重症度に応じた分類はありますか?
問25 重症度分類で、中等症が2つに分かれているのはどうしてですか?
問26 血栓症が起こりやすいと言われていますが、どのように対応すれば良いでしょうか?
問27 人工呼吸器管理に関する推奨はありますか?
問28 ECMO(Extracorporeal membrane oxygenation, 体外式模型人工肺)はどの程度効果的ですか?
問29 新型コロナウイルス感染症に対する治療薬候補にはどんなものがありますか?
問30 民間の検査機関だけでPCR検査を実施することはできますか?
問1 臨床経過はどのようなものですか?
国立感染症研究所が公表している記述疫学がありますので、以下のURLよりご確認ください。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/2014-03-18-05-11-31/205-idwr.html
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第3版」では、以下の記載があります。
多くの症例で発熱,呼吸器症状(咳嗽,咽頭痛,鼻汁,鼻閉など),頭痛,倦怠感などがみられる。下痢や嘔吐などの消化器症状の頻度は多くの報告で10%未満であり,SARS やMERS よりも少ないと考えられる。初期症状はインフルエンザや感冒に似ており,この時期にこれらとCOVID-19 を区別することは困難である。
また、国立国際医療研究センターからの症例報告についても参考として下さい。
当院における新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症患者3例の報告
問2 診断方法はなんですか?
通常の診療と同様に、症状の推移や接触歴等の問診で得られた疫学的背景や身体診察所見、各種検査所見等の臨床的特徴を総合的に判断して検査の必要性を検討してください。特に、胸部CT検査は感度が高く、無症状であっても異常所見を認めることがあるため、留意してください。病原体診断の際には、核酸増幅法(PCR法など)や抗原検査があり、これらが陽性となった場合に確定診断となります。
問3 鑑別疾患はなんですか?
肺炎を認める際には、市中肺炎の他、インフルエンザウイルスによる肺炎が鑑別に挙げられます。そのほか、渡航歴などにより、MERSなども追加して鑑別に挙げられます。
問4 自治体が衛生検査所などで行政検査を実施する場合、検査方法などの相談窓口はありますか?
新型コロナウイルス感染を疑う患者の検査方法の技術的な相談は、国立感染症研究所のHP「新型コロナウイルス(2019-nCoV)」に掲載の関連するガイダンスをご参照いただき、国立感染症研究所ウイルス3部にお問い合わせください。また、疫学調査に関する内容は感染症疫学センターにお問い合わせください。
※国立感染症研究所のHP「新型コロナウイルス(2019-nCoV)」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov.html
問5 PCR検査等が実施できる場所や費用はどのようになっていますか。
新型コロナウイルス感染症を診断するためのPCR検査等については、医師が必要と判断した場合に、帰国者・接触者外来等都道府県等が指定する医療機関で実施されます。また、一部地域では、地域医師会等の協力を得て「地域外来・検査センター」を設置し、集中的に検査を実施しています。
これらの機関においてPCR検査等を実施した場合は、検査費用の自己負担はかかりません。初診料等の自己負担分は患者の負担となります。
問6 検査が陽性となった場合の行政の対応はなんですか。
陽性となった方は、入院治療することが基本となるが、地域によっては、無症状や軽症であった場合に、自宅や施設での療養としていることがある。そのような地域においては、医師が自宅や施設での療養が可能と診断した場合には、行政において療養場所の相談や、必要に応じて健康フォローアップなどの対応を行います。
また、陽性となった方の周囲の方を対象に、保健所で、都道府県や国とも連携しながら、必要に応じて積極的疫学調査を実施します。詳しくは、以下に掲載している情報をご参照ください。
・ 厚生労働省HP:「新型コロナウイルス感染症について」の「1 自治体・医療機関向けの情報」
・国立感染症研究所のHP「新型コロナウイルス(2019-nCoV)」に掲載の関連するガイダンス
・国立感染症研究所 積極的疫学調査実施要領
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9357-2019-ncov-02.html
問7 体調を崩した方が医療機関を受診する際に、現場の医師や看護師などはどのようなことに注意して診察を行うべきでしょうか?
新型コロナウイルス感染症の疑いがあるかどうかに関わらず、原則として以下は常に行うようにしてください。
・外来患者の待合室では、発熱や呼吸器症状を訴える患者とその他の患者、または発熱や呼吸器症状を訴える患者どうしが、一定の距離を保てるように配慮してください。呼吸器症状を呈する患者にはサージカルマスクを着用させてください。
・医療従事者は、標準予防策を遵守してください。つまり、呼吸器症状のある患者の診察時にはサージカルマスクを着用し、手指衛生を遵守してください。 新型コロナウイルス感染症が流行している地域では、呼吸器症状の有無に関わらず患者診察時にサージカルマスクを着用することを考慮してください。サージカルマスクや手袋などを外す際には、それらにより環境を汚染しないよう留意しながら外し 、所定の場所に 破棄してください。さらに手指衛生を遵守し、手指衛生の前に目や顔を触らないように注意してください 。
・風邪の症状 や発熱 のある患者や 、強いだるさ 倦怠感 や息苦しさ 呼吸困難 がある 患者は
迅速に隔離し、状況に応じて PCR 検査の実施を考慮する。
参考)新型コロナウイルス感染症に対する感染管理
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9310-2019-ncov-01.html
問8 「無症状病原体保有者の感染可能期間」とは、陽性確定に係る検体採取日の2日前から入院、自宅や施設等待機開始までの間、とする。」とありますが、無症状病原体保有者が自宅療養を開始した場合、同居の家族等は濃厚接触者になりますか?
感染可能期間は、基本的に陽性者が他の人と接触して感染させる可能性がある期間です。
このため、検体採取日の2日前から待機開始までの期間としています。
通常、自宅療養している場合は、陽性者は同居者以外の人と接触することはありませんが、同居している方については、多くの場合、接触が続いていることが考えられます。
したがって自宅療養の場合、同居の家族等にかかる感染可能期間は陽性者の待機期間が終了する日までとなるため、原則的に、終了してから14日間、健康観察が必要な期間となり、何らかの症状を発症した場合には速やかに検査を受けられることをお願いします。
問9 感染の疑いがある患者を診察する際、医療者はどのような準備や装備が必要ですか?
Ⅰ 標準予防策に加え、 接触、飛沫予防策 を行う
Ⅱ 診察室および入院病床は個室が望ましい
Ⅲ 診察室および入院病床は 陰圧室である必要はないが、 十分換気する
Ⅳ 1)上気道の検体採取を実施する場合(鼻咽頭ぬぐい液採取 等)
サージカルマスク、 眼の防護具(ゴーグル 、 フェイスシールド 等 )、 長袖 ガウン、手袋を装着する
2) エアロゾルが発生する可能性のある手技(気道吸引、気管内挿管、下気道検体採取 等
N95マスク または それと同等の マスク 、眼の防護具 (ゴーグル 、 フェイスシールド 等 )、長袖 ガウン、手袋を装着する
Ⅴ 患者の移動は サージカルマスクを着用の上、 医学的に必要な目的に限定する
なお、職員(受付、案内係、警備員など)も標準予防策を遵守する 。
・N95 マスク またはそれと同等のマスク の使用に際しては 事前の フィットテスト と着用時のシールチェックを行い 、マスク、眼の防護具( ゴーグル 、 フェイスシールド 等)、長袖 ガウン、手袋などの 個人防護具( PPE を脱ぐ際の手順に習熟し、汚染された PPE により環境を汚染しないように注意する。手指衛生を実施しないまま、自身の眼や顔面を触れないようにする。
・手袋,帽子,長袖 ガウン,覆布(ドレープ),機器や患者環境の被覆材などには,可能なかぎり
使い 捨て製品を使用する。 使用後は,専用の感染性廃棄物用容器に密閉するか,あるいはプラスチック袋に二重に密閉したうえで,外袋表面を清拭消毒して患者環境(病室など)より持ち出し,焼却処理する。
参考)新型コロナウイルス感染症に対する感染管理
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9310-2019-ncov-01.html
手洗いなどの衛生対策を心がけてください。手などの皮膚の消毒を行う場合には、消毒用アルコール(70%)を、物の表面の消毒には次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)が有効であることが分かっています。また、医療器具の消毒にはグルタラール、フタラール、過酢酸も有効です。この場合は、使用時の留意事項を遵守してください。検体を扱う際にも、患者の取り扱い時と同様の感染対策をお願いします。
詳しくは国立感染症研究所のHP「新型コロナウイルス(2019-nCoV)」に掲載の関連するガイダンスをご参照ください。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov.html
問10 N95マスクは再利用できますか?
滅菌器を用いる方法と、使用後5日間通気性のよいバッグに保管する方法があります。ただし、目に見えて損傷があったり、汚染がある場合には廃棄する必要があること、滅菌器を用いて再利用できる回数は、滅菌方法により異なることにご留意ください。
(参照:N95マスクの例外的取扱いについて)
問11 医療機関や検査機関で新型コロナウイルス感染症患者に診療を行った場合、濃厚接触者に該当しますか?
医療機関や検査機関で診療を行う際に、適切に感染防護具を着用している場合は、濃厚接触者に該当しません。なお、感染防護具が破れていたなどの「適切ではない」と考えられる行動を行った場合は、個別に判断を行います。医療機関や検査機関を通じて保健所へご相談ください。
問12 医療機関や検査機関で新型コロナウイルス感染症患者に診療を行った後、就業を控えた方が良いですか?
適切に感染防護具を着用して診療した場合は濃厚接触者に該当しないので、就業を控える必要はありません。
問13 医療機関や検査機関で新型コロナウイルス感染症患者に診療を行った後、PCR検査を行ってもらえますか?
適切に感染防護具を着用して診療した場合には、感染する可能性が低いと考えられるため、一律のPCR検査は行いません。原則として無症状の方へPCR検査は実施していませんが、医療従事者等、ハイリスクの者に接する機会のある業務に従事し、感染状況の評価が必要と考えられる場合等において、検査を実施することがあります。具体的には保健所に相談してください。 診療後に発熱や呼吸器症状などが出現した場合は、管轄の保健所に相談してください。
参考)国立感染症研究所 積極的疫学調査実施要領
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9357-2019-ncov-02.html
問14 医療機関や検査機関での診療により、感染してしまった場合はどうなりますか?
新型コロナウイルス感染症患者を診療後に発熱などがあり、PCR検査で陽性だった場合、感染症法の規定に基づいて入院費などが公費で支払われます。
また、新型コロナウイルス感染症についても、他の疾病と同様、業務との関連性(業務起因性)が認められる場合には、労災保険給付の対象となります。新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)の「5 労災補償」問3をご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html#Q5-3
問15 最近発生している院内感染の事例にはどのようなものがありますか?
2020年5月1日改訂の「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理」によると院内感染クラスターの発端者を発症日に基づいて推定すると患者が70%、医療関係者が30%でした。このうち、医療関係者が新型コロナウイルス感染症に感染する類型としては、「1.新型コロナウイルス感染症と診断又は疑われている患者を診察して感染」、「2.新型コロナウイルス感染症と診断又は疑われていない患者から感染」、「3.市中や医療従事者間での感染」、に分類されます。医療関係者は感染者に曝露する機会が多いだけでなく、自身が感染すると院内感染の原因となる可能性があり特に注意が必要です。
参考)新型コロナウイルス感染症に対する感染管理
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9310-2019-ncov-01.html
問16 院内感染防止のために特に気をつけることはありますか?
医療関係者は、問15に示した新型コロナウイルス感染症に感染する類型に応じた対策を講じる必要があります。
「1.新型コロナウイルス感染症と診断又は疑われている患者を診察して感染」することを防ぐため、医療機関における新型コロナウイルス感染症の疑いがある人や新型コロナウイルス感染症患者の診察時の感染予防策を徹底すること。
「2.新型コロナウイルス感染症と診断又は疑われていない患者から感染」することを防ぐため、原則として以下の対応をとること。
・外来患者の待合室では、発熱や呼吸器症状を訴える患者とその他の患者、または発熱や呼吸器症状を訴える患者同士が、一定の距離を保てるように配慮すること。呼吸器症状を呈する患者にはサージカルマスクを着用させること。
・標準予防策を遵守すること。呼吸器症状のある患者の診察時にはサージカルマスクを着用し、手指衛生を徹底すること。サージカルマスクや手袋などを外す際には、それらにより環境を汚染しないよう留意しながら外し、所定の場所に破棄するとともに、手指衛生の前に目や顔を触らないように注意すること。
・風邪の症状や発熱、強いだるさ(倦怠感)、息苦しさ(呼吸困難)がある患者は迅速に隔離し、状況に応じてPCR検査の実施を考慮すること。
「3.市中や医療従事者間での感染」することを防ぐため、以下に示すことに注意しつつ、高リスクな環境(3つの密)を徹底的に避けること。
・院内では院内感染対策を徹底し、事務室や医療者控室では、密集を避けて換気をすること、共用物を減らすこと。医療機器等実用機器はこまめに消毒すること。
・集団で食事をする際にはリスクがあることを認識すること。
・健康管理に注意し、発熱や呼吸器症状を呈した場合には診療行為を行わずに休職するようにするとともに、症状が続く場合には職場や保健所に連絡すること。
参考)新型コロナウイルス感染症に対する感染管理
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9310-2019-ncov-01.html
問17 新型コロナウイルスの抗原検査はどのような性能でどのような場合に有効か?
2020年5月13日に、新型コロナウイルスの抗原検査が保険適用され、使用できるようになりました。この抗原検査キットは、鼻咽頭スワブの採取は必要とされるものの、診療現場で30分程度の時間で簡便にできるという特徴があります。大型の機械や検体の搬送等が必要なく、特にPCR検査体制が十分に確立していない医療機関等において有効となる可能性があります。一方で、PCR検査に比べるとウイルス量が多くないと検出できないという特徴があり、偽陰性の割合がPCR検査に比べて高いと言われております。従って、特に症状を有する方を対象にした検査に適していると考えられ、帰国者・接触者外来において帰宅させることなく患者を入院医療などにつなげる場合や救急外来や手術前などで発熱などの症状があって速やかな結果が求められる場合の他、病院や施設等でのクラスターが発生した際に、症状がある方多数に対して速やかに結果を求める場合などを中心に使用していく予定です。ただし、当面は、偽陰性がどのように出るのかを確認するため、陰性の場合はPCR検査を重ねて行います。
問18 新型コロナウイルスのワクチンの開発・使用開発はいつごろになりますか?
ワクチンの開発は、ワクチンの有効性・安全性の確認や、一定の品質を担保しつつ、大量生産が可能かどうかの確認などを行う必要があります。一般に、ワクチンを開発し、使用可能となるまで、さまざまな工程がありますが、できるだけ早く開発できるよう支援に努めています。
問19 基礎疾患のある患者について、診療を行う上での留意点はありますか?
糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)の基礎疾患がある方、透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方では、新型コロナウイルス感染症が重症化しやすいとされています。関連学会から留意点が示されていますので、それらを参照してください。
関係学会からの留意点
○心臓病患者
・日本循環器学会
心臓病患者の新型コロナウイルス感染症に関するQ&A
http://www.j-circ.or.jp/
○気管支喘息患者
・日本アレルギー学会
新型コロナウイルス感染における気管支喘息患者への対応 Q&A(医療従事者向け)
https://www.jsaweb.jp/modules/important_list/index.php?content_id=67
○糖尿病患者
・日本糖尿病学会
新型コロナウイルス(COVID-19)への対応について(Q&A)
http://www.jds.or.jp/
○透析患者
・日本腎臓学会
透析患者診療における新型コロナウイルス感染症について
https://www.jsn.or.jp/
・日本透析医学会
新型コロナウィルス感染症に対応した医療体制について
https://www.jsdt.or.jp/
・日本透析医会
新型コロナウィルス感染症に対応した医療体制について
http://www.touseki-ikai.or.jp/
○リウマチ、膠原病患者
・日本リウマチ学会
新型コロナウイルス(COVID-19)への対応について
https://www.ryumachi-jp.com/
○がん患者
・日本癌治療学会
新型コロナウイルス感染症に対応した医療体制についてのQ&A
http://www.jsco.or.jp/jpn/
・日本臨床腫瘍学会
新型コロナウイルス感染におけるがん患者への対応 Q&A
https://www.jsmo.or.jp/
・日本癌学会/日本癌治療学会/日本臨床腫瘍学会
がん診療と新型コロナウイルス感染症:がん患者さん向けQ&A
https://www.jsmo.or.jp/general/coronavirus-information/qa_3gakkai.html
がん診療と新型コロナウイルス感染症:医療従事者向けQ&A
https://www.jsmo.or.jp/news/coronavirus-information_medical.html
○脳卒中患者
・日本脳卒中協会
脳卒中患者さんのための情報
http://www.jsa-web.org/
○臓器移植患者
・日本移植学会HP:http://www.asas.or.jp/jst/
問20 妊婦、授乳婦、小児患者について、診療を行う上での留意点はありますか。
関連学会から留意点が示されていますので、それらを参照してください。
関係学会からの留意点
○妊婦、授乳婦
・日本産科婦人科学会
妊婦・産褥婦の新型コロナウイルスの感染予防対策について
http://www.jsog.or.jp/modules/news_m/index.php?cat_id=7
○小児患者
・日本小児科学会
新型コロナウイルス感染症に関するQ&A
http://www.jpeds.or.jp/
小児の新型コロナウイルス感染症に関する医学的知見の現状
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=342
小児の新型コロナウイルス感染症の診療に関連した論文
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=334
問21 新型コロナウイルスにより亡くなられた方及びその疑いがある方の遺体を搬送作業や火葬作業に従事する者に引き渡す際に、留意するべき事項はありますか。
医療機関等は、遺体が新型コロナウイルス感染症の病原体に汚染され又は汚染された疑いのある場合、感染拡大防止の観点から、遺体の搬送作業及び火葬作業に従事する者にその旨の伝達を徹底して下さい。
なお、その際は、伝える相手を必要最低限とするなどプライバシー保護にも十分配慮して下さい。
問22 イブプロフェンで新型コロナウイルス感染の症状が悪化するという話を聞きましたが、どのように考えればよいでしょうか。
新型コロナウイルスに感染した時にイブプロフェンの服用により新型コロナウイルス感染症が悪化することを示す科学的な根拠は得られていません。厚生労働省では、引き続き新しい情報を収集・分析し、今後も情報提供に努めます。
(参考)
1. 欧州医薬品庁(EMA)の主な見解(2020年3月18日)
現在のところ、イブプロフェンが新型コロナウイルス感染の症状を悪化させる科学的な根拠はなく、治療に際して、患者や保健専門家はアセトアミノフェン、イブプロフェンのような非ステロイド性抗炎症薬を含め、すべての可能な治療オプションを検討すべきである。 (https://www.ema.europa.eu/en/news/ema-gives-advice-use-non-steroidal-anti-inflammatories-covid-19)
2. アメリカ食品医薬品局(FDA)の主な見解(2020年3月19日)
現在のところ、イブプロフェンが新型コロナウイルスの症状を悪化させる科学的な根拠はありません。イブプロフェンの服用が心配な場合や慢性疾患の治療に使用している場合は、保健専門家に相談してください。 (https://www.fda.gov/drugs/drug-safety-and-availability/fda-advises-patients-use-non-steroidal-anti-inflammatory-drugs-nsaids-covid-19?utm_campaign=Stakeholder%20Update%20-%20March%2020%2C%202020&utm_medium=email&utm_source=Eloqua)
3. WHOの主な見解(2020年4月19日)
現時点において、NSAIDs(注:イブプロフェン等)を使用した結果として、新型コロナウイルス感染症の感染患者における重篤な有害事象の発生、救急医療等の利用、生存期間、又は生活の質(QOL)への影響が生じたという科学的な根拠は得られていません。
(https://www.who.int/news-room/commentaries/detail/the-use-of-non-steroidal-anti-inflammatory-drugs-(nsaids)-in-patients-with-covid-19)
問23 70%以下のエタノールを新型コロナウイルスの消毒に用いることは可能ですか。
70%濃度のエタノール消毒液の使用を推奨しますが、現状の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、エタノール消毒液に需要に対して供給が追いつかない事態が発生しております。新型コロナウイルスに対しては、60%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると考えられる報告があり、70%以上のエタノールが入手困難な場合には、60%台のエタノールを使用した消毒も差し支えないと考えます。ただし、エタノールは一般的に開封後に濃度が低下しやすいことに留意してください。
(参考)米国疾病管理予防センター(CDC)の主な見解(3月14日)
CDCはアルコール手指消毒液の使用に関して、60%以上のエタノール、もしくは70%のイソプロパノールを、手指衛生の好ましい形態として推奨する(https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/hand-hygiene.html)。
問24 重症度に応じた分類はありますか?
「新型コロナウイルス感染症 COVID 19 )診療の手引き・ 第 2 版」において、新たに重症度分類が作成されましたが、この分類は、医療従事者が評価し総合的に判断するためのものです。それぞれの病態に応じた支持療法を行うことによって、救命率を高めることを目標にしています。
問25 重症度分類で、中等症が2つに分かれているのはどうしてですか?
新型コロナウイルス感染症は、急速に増悪することが指摘されています。したがって、中等症の中でも特に注意が必要な患者を念頭に中等症を呼吸不全の有無で分けております。
問26 血栓症が起こりやすいと言われていますが、どのように対応すれば良いでしょうか?
重症感染症や呼吸不全は血栓症のリスクであり、COVID-19ではサイトカインストームや血管内皮障害により血栓症が起こりやすくなっていると推定されています。D ダイマーが正常上限を超えるような場合には、ヘパリンなどの抗凝固療法を実施することが「新型コロナウイルス感染症 COVID 19 )診療の手引き・ 第 2 版」において推奨されています。
「新型コロナウイルス感染症 COVID 19 )診療の手引き・ 第 2 版」
問27 人工呼吸器管理に関する推奨はありますか?
日本集中治療学会によると、COVID-19による重症肺炎は人工呼吸器の管理の面から、換気量が保たれているL型と重度の肺水腫のような病態であるH型に分類されています。L型とH型の詳細に関しては「新型コロナウイルス感染症 COVID 19 )診療の手引き・ 第 2 版」に掲載されています。
「新型コロナウイルス感染症 COVID 19 )診療の手引き・ 第 2 版」
詳細は以下を参照
日本集中治療医学会・日本救急医学会・日本呼吸療法医学会
「COVID-19重症患者に対する人工呼吸管理に関する注意点(第2報)」
問28 ECMO(Extracorporeal membrane oxygenation, 体外式膜型人工肺 )はどの程度効果的ですか?
ECMOネットによると、我が国におけるECMOの治療成績は、ECMO 155例(離脱87例(56%)、死亡28例(18%)、治療継続中40例(26%)と報告されております(5月13日現在)。詳細は「新型コロナウイルス感染症 COVID 19 )診療の手引き・ 第 2 版」に掲載されております。
「新型コロナウイルス感染症 COVID 19 )診療の手引き・ 第 2 版」
問29 新型コロナウイルス感染症に対する治療薬候補にはどんなものがありますか?
国内の承認薬としては、レムデシビルがあります。また、治験及び特定臨床研究が実施されているものとして、ファビピラビル、シクレソニドなどがあります。その他、有効性が示唆されている薬剤(適応外)として、ロピナビル・リトナビル、ヒドロキシクロロキン、イベルメクチンなどがあります。
「新型コロナウイルス感染症 COVID 19 )診療の手引き・ 第 2 版」
詳細は『COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第3 版』を参照
問30 民間の検査機関だけでPCR検査を実施することはできますか?
唾液を用いたPCR検査・抗原定量検査であれば、医師が関与しない民間の検査機関で実施することは妨げられません。
ただし、医師が関与しない民間の検査機関で実施できるのは、検査結果の通知までであり、検査結果を踏まえた新型コロナウイルス感染症の診断は医師でなければ行うことができません。
なお、通知された検査結果が陽性(+)であった場合には、最寄りの帰国者・接触者相談センター等にご相談ください。