【管内情報】 【保健所健康危機管理事例H19】集団感染事例(大阪府)

〔作成者〕大阪市保健所
〔発生年月日〕2006年秋頃
〔概要〕退職後に結核発病したパート従業員の主治医より、複数名の患者発生していると情報提供があった。そこで、接触者健診を実施したところ、集団感染発生となった事例である。

〔原因/端緒〕
・初発患者は生活保護受給しており、職歴を隠していたため事業所との関係が把握できず、後になって別の患者からの情報収集で判明した。

・2人目の患者は塗抹陰性であったため、保健所に連絡がなく同じ事業所で患者が多発していた事が把握できていなかった。また、初発及び2人目の患者は、パート職員で退職後に発病したことから、職場は退職者の発病は把握できず、その後患者発生があった時も、過去に職員の患者発生がないこと、定期健診を実施して精検者もいないことから、接触者健診についても不要と判断していた。

・事業所は禁煙対策として、喫煙ルーム・喫煙時間を設け、社内分煙をおこなっていた。しかし、患者5名のうち4名が喫煙ルームの利用者から発生しており、結果として濃厚な接触環境をつくる要因のひとつとなった。また、患者1名とLTBIの治療適用者が別のフロアや、喫煙室以外からも出ていることから、喫煙室以外での感染も考えられるが、患者が退職しており、職場へ連絡を拒否したため、患者との接触状況をそれ以上詳細に確認することができなかった。

・患者発生時の初発患者調査では、感染源追求として職業歴を確認しているが、塗抹陰性患者であり職場名を確認しておらず、複数名の患者発生を把握するに至らなかった。

〔患者/死者/負傷者〕
初発患者とは別の患者の主治医より、「患者が以前勤務していた事業所で複数の結核患者が発生している」と情報提供あり。そのため、患者と面接をして発病者の情報収集をしたことから、事業所での集団発生の状況が判明。調査開始時点ですでに、同集団から源患者を含めて4名の患者発生が確認される。疫学調査の結果から、初発患者発生以降事業所に在籍した者全員に胸部エックス線検査、濃厚接触者群にツベルクリン反応検査・QFT検査を実施した。新たに発病者1名が発見され、ツベルクリン検査の分布が二峰性・LTBI陽性率が30%を超えたことから、拡大健診実施し、最終的にLTBI13名となった。現在も健診継続実施中である。

公開日:2008年07月16日

カテゴリー: 結核