「令和2年度化学物質のリスク評価検討会報告書」を公表します

参照元URL : https://www.mhlw.go.jp/haishin/u/l?p=8wjq2Z8FY2dKCcJhY

【照会先】

労働基準局安全衛生部
化学物質対策課 化学物質評価室
室長         佐藤 京子
有害性調査機関査察官 福田 剛之(代表電話) 03(5253)1111(内線5608)
(直通電話) 03(3595)2436

「令和2年度化学物質のリスク評価検討会報告書」を公表します

~8物質の経気道ばく露などによるリスクを評価~

 厚生労働省の「化学物質のリスク評価検討会」(座長:名古屋 俊士 早稲田大学名誉教授)では、毎年度、事業場で使用されている化学物質による労働者の健康障害のリスク評価を行っています。このほど、7物質に関する初期リスク評価(注1)の結果と、1物質に関する詳細リスク評価(注2)を、報告書としてまとめたので公表します。
なお、今回の報告書に基づく労働者の健康障害防止対策の徹底について、関係団体に要請します。

【主要なリスク評価結果】

■ 詳細リスク評価

▷「オルト-フェニレンジアミン」
経気道ばく露のリスクに係る追加調査の結果、本物質を製造し又は取り扱う事業場の作業工程に共通して、経気道ばく露により労働者に健康障害を生じさせるリスクが高いと判定された。

■ 初期リスク評価

▷「1-アリルオキシ-2,3ーエポキシプロパン」、「アクロレイン」
初期リスク評価の結果、経気道ばく露に関するリスクが高い等と判定された。

▷「2-(ジエチルアミノ)エタノール」、「ジエタノールアミン」、「りん酸トリ(オルト-トリル)」、「2-クロロニトロベンゼン」
初期リスク評価の結果、経気道ばく露に関するリスクは低いと判定されたが、経皮吸収のおそれが指摘されている。

▷「アジピン酸」
初期リスク評価の結果、経気道ばく露に関するリスクは低いと判定され、かつ、経皮吸収のおそれも指摘されていない。

※ リスク評価を実施した8物質は、有害性の高い物質であることから、リスクアセスメントを行い、その結果に基づき、労働安全衛生規則第576条、第577条、第593条及び第594条(経皮吸収がある場合)などの規定に基づく措置を講ずることにより、リスクの低減に取り組むことが必要である。

*報告書(全文)は、以下の厚生労働省ウェブサイトに掲載しています。
サイト内リンク https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20829.html

PDF 【参考資料1】2020年度リスク評価対象物質の評価結果(概要)
PDF 【参考資料2】検討会参集者名簿
PDF 【参考資料3】リスク評価検討会の開催経過(今回の評価物質に関係する検討会)

<注1・注2>
● 化学物質による労働者の健康障害のリスク評価
事業場で使用されている化学物質の中には、その取扱いによっては労働者に、がんなどの健康障害を生じさせるおそれのあるものがあります。厚生労働省では、こうした物質について、「化学物質のリスク評価検討会」を開催して「リスク評価」を行っています。「リスク評価」は、「初期リスク評価」※1と「詳細リスク評価」※2からなり、リスクの判定や対応に関する提言を行っています。

※1 「初期リスク評価」は、「化学物質のリスク評価検討会」の下に設けられた「有害性評価小検討会」や「ばく露評価小検討会」がそれぞれ行う「有害性の評価」と「ばく露の評価」を基に行います。
「有害性の評価」として、文献調査などから得られた情報を基に有害性の有無や程度などの評価を行うとともに、個人ばく露を評価するための基準値として「二次評価値」を定めています。「二次評価値」は、労働者が当該物質にばく露した場合にも健康に悪影響を受けることはないであろうと推測される濃度として、日本産業衛生学会などの勧告するばく露限界値を原則的に採用しています。
「ばく露の評価」は、「有害物ばく露作業報告」(労働安全衛生規則第95条の6の規定に基づく報告)の提出があった事業場のうち、ばく露が高いと推定される事業場を対象として実態調査を行い、労働者の「個人ばく露」の測定および推定を行います。
「二次評価値」と「個人ばく露」を比較することにより、労働者に健康障害の生じるリスクの高低を判定します。

※2 「詳細リスク評価」では、初期リスク評価で経気道ばく露が高いと判定された物質や経皮吸収のおそれが指摘されている物質について、必要に応じて有害性情報を追加で収集するとともに、問題となる作業工程を対象として追加的にばく露実態調査を行い、各事業場などに共通するリスクの有無を判定しています。

<参考条文>
● 労働安全衛生規則
第576条 事業者は、有害物を取り扱い、ガス、蒸気又は粉じんを発散し、有害な光線又は超音波にさらされ、騒音又は振動を発し、病原体によって汚染される等有害な作業場においては、その原因を除去するため、代替物の使用、作業の方法又は機械等の改善等必要な措置を講じなければならない。

第577条 事業者は、ガス、蒸気又は粉じんを発散する屋内作業場においては、当該屋内作業場における空気中のガス、蒸気又は粉じんの含有濃度が有害な程度にならないようにするため、発散源を密閉する設備、局所排気装置又は全体換気装置を設ける等必要な措置を講じなければならない。

第593条 事業者は、著しく暑熱又は寒冷な場所における業務、多量の高熱物体、低温物体又は有害物を取り扱う業務、有害な光線にさらされる業務、ガス、蒸気又は粉じんを発散する有害な場所における業務、病原体による汚染のおそれの著しい業務その他有害な業務においては、当該業務に従事する労働者に使用させるために、保護衣、保護眼鏡、呼吸用保護具等適切な保護具を備えなければならない。

第594条 事業者は、皮膚に障害を与える物を取り扱う業務又は有害物が皮膚から吸収され、若しくは侵入して、健康障害若しくは感染をおこすおそれのある業務においては、当該業務に従事する労働者に使用させるために、塗布剤、不浸透性の保護衣、保護手袋又は履物等適切な保護具を備えなければならない。

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