コレラ菌食中毒事例について
〔作成者〕
埼玉県加須保健所
〔発生年月日〕
2008/3/29~2008/5/2
〔概要〕
患者の症例定義を「1日3回以上の水様便もしくは粘液性の下痢症状を呈した者」とし、患者の共通食が3/29及び3/30に調理された料理に限局していることから、同期間に飲食店を利用した217名と調理従事者5名の健康状況調査及び検便検査を行った結果、患者31名、病原体保有者8名であった。患者の共通食が当該店で調理された料理に限定されること、主症状がコレラ菌によるものと一致しており、本県衛生研究所で複数の患者便からコレラ菌が検出されていること等から、食中毒と判断し、飲食店に対しての行政処分を行った。原因食品は、採取食品からコレラ菌が検出されなかったこと、喫食調査から統計学的に限定できなかったことから特定するに至らなかったが、二次感染はなく終息した。
〔原因/端緒〕
2008/4/4午後、管内医療機関から、コレラ菌検出患者の情報が寄せられ調査したところ、当該患者(海外渡航歴なし)が、3/ 30に管内飲食店を利用していることが判明した。同日当該飲食店に健康被害に関する苦情の有無を尋ねたが同種苦情は寄せられていなかった。4/7に飲食店から3/29に利用した他グループの客から「下痢、腹痛等の症状を呈している者がいる」旨の通報があり、事件を探知した。
〔患者/死者/負傷者〕
患者31名、菌陽性者8名
〔症状/被害状況〕
症例の多くは、比較的予後良好であったが、頻回の下痢によるhypovolemic shockを来たし急性腎不全に至ったケースも見られた。