【感染症エクスプレス@厚労省】Vol.468(2022年7月22日)
2022年4月15日、世界保健機関(WHO)は、2022年1月以降、英国において10歳未満の小児の原因不明の重篤な急性肝炎事例の発生を報告しました。
WHOによると、本年7月8日時点で、35カ国で1010例の報告があったとされています。
本年5月16日時点での英国からの報告では、170例中 116 例(68%)の症例 で アデノウイルスが検出され、そのうち型の検査を行った35例中27例(77%)が41型でしたが、
現時点では、原因は明らかになっておらず、現在も原因特定のための調査が行われています。
欧米で報告されている小児の原因不明の重篤な急性肝炎の発生を踏まえ、事務連絡「欧州及び米国における小児の原因不明の急性肝炎の発生について(協力依頼)」(令和4年4月27日付厚生労働省健康局結核感染症課事務連絡)を発出しました。
また、これまでに暫定症例定義(※)の②「可能性例」に該当する症例が、2021年10月1日から2022年7月22日17時までの期間に、80例報告され、
うちアデノウイルスのPCR検査の結果が陽性であった事例は7例、新型コロナのPCR検査の結果が陽性であった事例は7例でした。
国立感染症研究所の分析結果によると、昨年10月1日から本年6月23日時点での、国内の入院症例62例については、34例は男性、28例は女性、年齢の中央値は5歳、死亡例や肝移植に至った事例はなかったと報告しています。
より詳しい情報は下記、国立感染症研究所の報告をご覧ください。
引き続き、各国政府やWHO、専門家等とも連携しつつ、国内外の状況を注視しながら、情報収集に努めてまいります。
・世界保健機関(WHO). Disease Outbreak News. Multi-Country - Severe acute hepatitis of unknown aetiology in children. 12 July 2022 (2022/07/12)
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2022-DON400
・世界保健機関(WHO). World Hepatitis Summit 2022 urges action to eliminate viral hepatitis as unexplained hepatitis cases in children rise globally
https://www.who.int/news/item/07-06-2022-world-hepatitis-summit-2022-urges-action-to-eliminate-viral-hepatitis-as-unexplained-hepatitis-cases-in-children-rise-globally (2022/06/07)
・欧州疾病予防管理センター(ECDC)Epidemiological update issued 19 May 2022: Hepatitis of unknown aetiology in children. (2022/05/19)
https://www.ecdc.europa.eu/en/news-events/epidemiological-update-issued-19-may-2022-hepatitis-unknown-aetiology-children
・厚生労働省 事務連絡「欧州及び米国における小児の原因不明の急性肝炎の発生について(協力依頼)」(令和4年5月13日改訂)
(自治体宛) 欧州及び米国における小児の原因不明の急性肝炎の発生について(協力依頼)
https://www.mhlw.go.jp/content/000938544.pdf
(日本医師会宛) 欧州及び米国における小児の原因不明の急性肝炎の発生について(協力依頼)
https://www.mhlw.go.jp/content/000938545.pdf
・厚生労働省 小児の原因不明の急性肝炎について(令和4年6月24日報道発表)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26442.html
・国立感染症研究所 国内における小児の原因不明の急性肝炎について(第1報) 2022年6月23日時点 (掲載日 2022年6月30日、一部訂正 2022年7月6日)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/jissekijpn/11255-fetp-3.html