【感染症エクスプレス@厚労省】Vol.487(2023年5月12日)
◆ 多剤耐性で重篤な感染症を引き起こす恐れのあるカンジダ・アウリス(Candida auris)による感染症について
今般、国内初となる海外株によるカンジダ・アウリス真菌血症による死亡例が報告されました。
カンジダ・アウリスは、2009年に本邦より初めて報告された酵母真菌であり、本邦では、これまで抗真菌薬への感受性の良い非侵襲性の病気(慢性中耳炎等)からの分離報告が主体ですが、
近年、インド・南米・アフリカ・米国など多くの国で国内とは異なる系統の多剤耐性で重篤な感染症を引き起こす恐れのある株による侵襲性感染症(血流感染症等)の事例が報告されており、高い薬剤耐性率、急速な感染例の拡大、院内感染の発生やその感染制御の困難さから国際的に問題となっています。
これまで、日本国内では侵襲性感染例(菌血症)の報告はありませんでしたが、今般、海外と同じ遺伝系統のカンジダ・アウリスによる、国内初となる真菌血症の死亡例の発生が報告されており、今後国内での事例の発生に注意が必要です。
厚生労働省では、都道府県や日本医師会を通じて、本真菌による感染症に関する注意喚起を行うとともに、疑われる事例の報告をお願いしています。
医療従事者の方におかれては、本真菌による感染症を疑った場合には、最寄りの保健所にご相談ください。
・ 多剤耐性で重篤な感染症を引き起こす恐れのあるカンジダ・アウリス(Candida auris)について(情報提供及び依頼)
・ 国立国際医療研究センター国際感染症センター「医療機関における海外からの高度薬剤耐性菌の持ち込み対策に関するガイダンス」