参照元URL:https://www.mhlw.go.jp/haishin/u/l?p=wSfRrpz7egh4Fv5TY
健康・医療
9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(シルガード9)について
現在、定期接種として公費で受けられるHPVワクチンは、2価ワクチン(サーバリックス)、4価ワクチン(ガーダシル)、9価ワクチン(シルガード9)の3種類があります(※)。
(※)令和5(2023)年4月から、シルガード9も公費で受けられるようになりました。
また、平成9年度~平成19年度生まれまで(誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日)の女性で、通常のHPVワクチンの定期接種の対象年齢の間に接種を逃した方も、公費でシルガード9を受けられるようになりました。対象の方は、「 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種を逃した方へ」のページもあわせてご参照ください。
サーバリックスとガーダシルについては、厚労省ホームページの「 ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~」をご覧ください。
情報提供資材
その他のリーフレットは、「 情報提供資材」のページからご覧いただけます。
9価HPVワクチン(シルガード9)とは?
Q1:9価HPVワクチン(9価ワクチン)とは、どのようなワクチンですか?
HPVにはいくつかの種類(型)があり、9価ワクチンは、このうち9種類のHPVの感染を防ぐワクチンです。その中でも、子宮頸がんの原因の80~90%を占める、7種類のHPV(HPV16/18/31/33/45/52/58型)の感染を予防することができます。
Q2:9価ワクチン(シルガード9)の接種スケジュールについて教えてください。
シルガード9で接種を開始する方は、1回目の接種を受けるときの年齢によって接種のスケジュールが異なり、合計2回または3回接種します(※)。
いずれの場合も、1年以内に規定回数の接種を終えることが望ましいとされています。
(※)合計2回の接種で完了できる方は、1回目の接種を小学校6年生の年度から15歳の誕生日の前日までに受け、その後、5か月以上あけて2回目の接種を受けた方です。
<一般的な接種スケジュール>
※1: 1回目と2回目の接種は、少なくとも5か月以上あけます。5か月未満である場合、3回目の接種が必要になります。
※2・3: 2回目と3回目の接種がそれぞれ1回目の2か月後と6か月後にできない場合、2回目は1回目から1か月以上(※2)、3回目は2回目から3か月以上(※3)あけます。
Q3:シルガード9で1回目または2回目の接種を受けてから1年以上経ってしまいました。次の接種はどうすればよいですか?
接種間隔が数年以上あいた後にシルガード9を接種した場合においても、一定程度の効果と安全性が示されています。また、海外の保健当局においても、規定の間隔から外れてしまった場合でも接種をやり直す必要はないとされています。
十分な予防効果を得るためには 、規定の回数を完了させることが大切ですので、できるだけ早めに残りの接種を受けるようにしてください。
Q4:年齢によってシルガード9の接種回数が異なるのはなぜですか?
シルガード9を合計2回の接種で完了する用法については、9~14歳の女性を対象に臨床試験が行われ、効果と安全性が確認されたうえで薬事承認がなされており、シルガード9を2回接種した9~14歳の方における効果は、3回接種した方と比べて、劣ってはいないことが報告されています。また、米国やカナダ、オーストラリアなどの諸外国では、原則、15歳になるまでに1回目の接種を終えていれば、2回で接種完了としています。
これらの背景から、15歳になるまでに1回目の接種を行った方は、2回で接種を完了できることとしています。なお、シルガード9を含め、HPVワクチンの定期接種は小学校6年~高校1年相当の女子が対象であり、標準的な接種期間は、中学校1年(13歳になる学年)の女子となっています。
Q5:2価ワクチン(サーバリックス)または4価ワクチン(ガーダシル)を接種すると、9価ワクチン(シルガード9)は接種できないのですか?
○サーバリックスまたはガーダシルで規定の回数(3回)接種が完了している場合
世界保健機関(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)は、シルガード9の追加の接種を推奨していません。これは、サーバリックスまたはガーダシルでも、子宮頸がんに最も関与の強い型であるHPV16/18型(※)の感染予防に効果があることや、異なる種類のワクチンを接種した場合の有効性と安全性についてのデータが限られていることからです。
(※)HPV16/18型が子宮頸がんの原因の50~70%を占めます。
○サーバリックスまたはガーダシルを1回または2回接種している場合
原則として同じ種類のワクチンを接種することをお勧めしますが、医師と相談のうえ、途中からシルガード9に変更し、残りの接種を完了させることができます。この場合も定期接種の対象となります。また、キャッチアップ接種の対象の方も、途中からシルガード9に変更し、残りの接種を完了させることができます(※)。
なお、サーバリックスまたはガーダシルで接種を開始し、定期接種としてシルガード9で接種を完了させる場合は、シルガード9の接種方法にあわせ、1回目と2回目の間隔を1か月以上、2回目と3回目の間隔を3か月以上あけて接種します。
(※)異なる種類のワクチンを接種した場合の効果と安全性についてのデータは限られています。
Q6:定期接種またはキャッチアップ接種の対象者ですが、令和5年3月31日までに任意接種としてシルガード9の接種を受けました。接種にかかった費用の払い戻し(償還払い)を受けることはできますか?
国の制度としては、シルガード9は償還払いの対象ではありません。サーバリックスやガーダシルとは異なり、シルガード9は令和5年3月31日まで、予防接種法に基づく定期接種(公費での接種)の対象ではなかったためです。ただし、自治体によっては、独自にシルガード9の償還払いを実施している場合がありますので、詳しくはお住まいの市町村にご確認ください。
Q7:海外での9価ワクチン(シルガード9)の使用状況を教えてください。
各国で使用されているHPVワクチンの種類はそれぞれ異なっていますが、9価ワクチンは、2014年12月に米国で最初に承認されて以降、2015年2月にカナダ、2015年6月に欧州連合(EU)やオーストラリアで承認されました。9価ワクチンの販売名は国によって異なるものの、海外の複数の国で使用されています。
Q8:定期接種の対象年齢でない人も、シルガード9を任意接種として受けることはできますか?
シルガード9は、2021年2月から日本国内で販売されているため、定期接種の対象年齢でない方も、任意接種として受けることは可能です。お近くの医療機関などにご相談ください。ただし、予防接種法に基づく定期接種(公費での接種)の対象ではないため、接種費用は全額自己負担となります。なお、万が一健康被害が生じた場合は、予防接種法に基づく予防接種健康被害救済制度ではなく、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく医薬品副作用被害救済制度の対象となります。
なお、平成9年度~平成19年度生まれまで(誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日)の女性で、通常のHPVワクチンの定期接種の対象年齢の間に接種を逃した方は、公費でシルガード9を受けることができます。詳しくは、「 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種を逃した方へ」のページをご覧ください。
安全性の評価
接種開始後の安全性の評価
日本国内での販売開始後には、次のような方法で安全性についての情報を収集し、国民の皆さまに提供しています。
副反応疑い報告と審議会での評価
接種後に生じうる副反応を疑う事例について、医療機関に報告を求め、収集しています。
ワクチンと関係があるか、偶発的なもの・他の原因によるものかが分からない事例も数多く報告されます。
収集した報告について、厚生労働省の審議会に報告し、専門家による評価を行います。こうした結果を公表するなどして、安全性に関する情報提供などを行っていきます。
これまでに報告されたシルガード9の副反応疑い報告は以下のとおりです。
■2024年1月26日
第100回副反応検討部会・令和5年度第15回安全対策調査会(2023年7月1日~2023年9月30日報告分)
■2023年10月27日
第98回副反応検討部会・令和5年度第11回安全対策調査会(2023年4月1日~2023年6月30日報告分)
■2023年7月28日
第94回副反応検討部会・令和5年度第5回安全対策調査会(2023年1月1日~2023年3月31日報告分)
■2023年4月28日
第93回副反応検討部会・令和5年度第1回安全対策調査会(2022年10月1日~2022年12月31日報告分)
■2023年1月20日
第90回副反応検討部会・令和4年度第23回安全対策調査会(2022年9月1日~2022年9月30日報告分)
■2022年10月7日
第85回副反応検討部会・令和4年度第14回安全対策調査会(2022年8月1日~2022年8月31日報告分)
■2022年9月2日
第83回副反応検討部会・令和4年度第11回安全対策調査会(2022年7月1日~2022年7月31日報告分)
■2022年8月5日
第82回副反応検討部会・令和4年度第8回安全対策調査会(2022年6月1日~2022年6月30日報告分)
■2022年7月8日
第81回副反応検討部会・令和4年度第6回安全対策調査会(2022年5月1日~2022年5月31日報告分)
■2022年6月10日
第80回副反応検討部会・令和4年度第5回安全対策調査会(2022年1月1日~2022年4月30日報告分)
■2022年4月13日
第78回副反応検討部会・令和4年度第1回安全対策調査会(2021年10月1日~2021年12月31日報告分)
■2022年1月21日
第75回副反応検討部会・令和3年度第26回安全対策調査会(2021年7月1日~2021年9月30日報告分)
■2021年10月22日
第71回副反応検討部会・令和3年度第20回安全対策調査会(2021年4月1日~2021年6月30日報告分)
■2021年8月4日
第66回副反応検討部会・令和3年度第15回安全対策調査会(2021年1月1日~2021年3月31日報告分)
臨床試験での安全性の評価
ワクチンの開発に当たって、国内外での臨床試験で接種後に生じた様々な事象(症状、疾病など)の件数や頻度は、薬事審査の際に審査され、添付文書などに記載されます。
これまでの検討状況
■ 2023年3月7日
第45回 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会
シルガード9について、合計2回の接種で完了となる接種方法を令和5年4月から定期接種に導入するため、関係法令の改正について議論がおこなわれ、了承されました。
■ 2023年3月1日
第53回 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会
シルガード9について、合計2回の接種で完了となる用法・用量が承認される方針となったことを受け、定期接種への導入について議論がおこなわれました。2回接種についても3回接種とあわせて令和5年4月から定期接種に導入することが了承されました。
■ 2023年2月8日
第52回 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会
シルガード9を定期接種に用いるにあたり、接種方法の具体的な考え方について検討がおこなわれました。
■ 2022年11月18日
第41回 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会
令和5年4月よりシルガード9を定期接種に用いるため、関係法令の改正について議論がおこなわれ、了承されました。
■ 2022年11月8日
第50回 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会
令和5年4月よりシルガード9を定期接種に用いることが了承されました。
■ 2022年10月4日
第49回 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会
厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会が取りまとめた、「9価 HPV ワクチンの定期接種化に係る技術的な課題についての議論のまとめ」を踏まえ、シルガード9を定期接種に用いるかどうかについて議論が行われ、令和5年度早期から定期接種を開始できるように準備を進めていくことが了承されました。
■ 2022年9月22日
9価HPVワクチンの定期接種化に係る技術的な課題についての議論のとりまとめについて
第19回 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会での議論の内容を踏まえ、「9価 HPV ワクチンの定期接種化に係る技術的な課題についての議論のまとめ」が取りまとめられました。
■ 2022年8月4日
第19回 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会
シルガード9について、定期接種に用いることについて技術的な観点から問題はないものの、接種対象者の年齢や接種回数、使用するHPVワクチンの種類等については、引き続き、予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会等で審議をすることが妥当であるとされました。
■ 2022年3月4日
第18回 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会
シルガード9について、前回(第17回)で示された論点に沿って議論が行われ、9価HPVワクチンを定期接種に用いることになった場合に検討を要する論点について、今後検討を継続していくことが了承されました。
■ 2021年4月20日
第17回 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会
シルガード9について、接種の目的や疾病負荷の大きさ、ワクチンの安全性・有効性、費用対効果、定期接種化の際の検討事項等の論点について議論され、今後も検討を継続していくことが確認されました。
■ 2020年8月18日
第16回 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(持ち回り審議)
シルガード9を定期の予防接種に用いることの是非について検討すること、シルガード9のファクトシート作成を国立感染症研究所に依頼することについて了承されました。