『保健医療科学』 2024 第73巻 第2号 p.67(2024年5月)
特集 : 令和 6 年度から始まる厚生労働省の施策
<巻頭言>
令和 6 年度から始まる厚生労働省の施策
横山徹爾
国立保健医療科学院 生涯健康研究部長
The revised policies of Ministry of Health, Labour and Welfare starting from FY 2024
YOKOYAMA Tetsuji
Director, Department of Health Promotion, National Institute of Public Health
<巻頭言>
令和 6 年度から,厚生労働省の改正された各種施策・計画が一斉に始まった. 医療・介護を含めた 総合的な取組を行うことが可能となるよう,すでに平成 30 年度より医療費適正化計画,医療計画及 び介護保険事業支援計画の見直し時期が一致させられており,さらに自治体と保険者で一体的に健康づくり政策を運用するために,国民健康づくり運動である健康日本 21(第二次)の期間も一年間延長して,令和 6 年度から健康日本 21(第三次)が開始されることとなった. 合わせて,特定健康診査・ 特定保健指導及びデータヘルス計画も令和 6 年度から,見直された内容で開始されたところである. これらは開始時期だけでなく,計画全体の期間や中間評価の時期についても考慮されている.
今回の改正された各種施策・計画を見ると,「他計画との調和を図る」という表現が多く使われている.地方自治体においても国の基本方針を踏まえた地方計画等が同時期に策定されており,今後具体的な取り組みを進めていくにあたっては,各種計画の「調和」に配慮することが求められる.そのためには自治体職員が自分の担当分野だけでなく,他の分野の計画等についても十分に理解しておくことが望ましい.そこで今号の保健医療科学では,主な読者である自治体職員等が,関連する他計画を幅広く理解できるように,「令和 6 年度から始まる厚生労働省の施策」を特集として組むこととした.
本特集で取り上げたのは,「健康日本 21(第三次)」「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第 二次)」「第 3 期データヘルス計画」「第 4 期特定健康診査・特定保健指導」「第 8 次医療計画」「第 9 期 介護保険事業(支援)計画」「第 7 期障害福祉計画」の7つである. 各施策・計画の詳細については 各分野の専門誌等を参考にしていただき,本特集では各計画等を俯瞰して,それぞれの「調和」について考えながら読むとよいだろう.その他にも,医療費適正化計画,循環器病対策推進計画,がん対策推進計画など数多くの改正が行われているが,それらについては厚生労働省の資料や他誌などを参考にしていただきたい.本特集が,地方自治体での「調和」のとれた施策の推進の一助となれば幸いである.