【感染症エクスプレス@厚労省】Vol.515 (2024年6月21日)
我が国の本年のSTSSの報告数は、6月18日公表の速報値で1019人となり、1999年に統計を取り始めて以降最多であった昨年の報告数(941人)を既に上回っています。
STSSの原因となる溶血性レンサ球菌には、多くの種類があり、一般的には急性咽頭炎などを引き起こす細菌として知られていますが、非常にまれに敗血症を伴う重症感染症を引き起こすことがあります。そのメカニズムはまだ解明されていません。
STSSの患者数が増加している理由は必ずしも明らかではありませんが、2023年の夏以降、A群溶血性レンサ球菌による急性咽頭炎の患者数が増加していることが要因の一つである可能性があると考えられています。(STSSの原因となる菌種としては、A群、B群、C群、G群レンサ球菌が主なものとして知られています)。
STSSに限らず、多くの感染症の予防には、手指衛生や咳エチケット、傷口の清潔な処置といった、基本的な感染防止対策が有効です。
○劇症型溶血性レンサ球菌感染症の主な症状
最初は、腕や足の痛みや腫れ、発熱、血圧の低下などから始まることが多く、その後、組織が壊死したり、呼吸状態の悪化・肝不全・腎不全などの多臓器不全を来たし、場合によっては数時間で、非常に急速に全身状態が悪化します。
○STSSに関する情報
厚生労働省や国立感染症研究所のホームページ等で、STSSの情報について公表しています。
国立国際医療研究センターより、本日新たに「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)の診療指針」が公表されましたので、ぜひご利用ください。
・国立国際医療研究センター 国際感染症センター
劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)の診療指針
・厚生労働省
劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)
・国立感染症研究所
国内における劇症型溶血性レンサ球菌感染症の増加について
「 A群溶結レンサ球菌検査マニュアル(劇症型溶血性レンサ球菌感染症起因株を含む)」