保健医療科学 歯・口腔の健康づくりプランの方向性とその実現に向けた論点(2024年12月)

『保健医療科学』 2024 第73巻 第5号 p.339(2024年12月)
特集 : 歯・ロ腔の健康づくりプランの方向性とその実現に向けた論点
 

<巻頭言>

歯・口腔の健康づくりプランの方向性とその実現に向けた論点

福田英輝
国立保健医療科学院統括研究官

Direction of the “Dental and Oral Health Promotion Plan” and the discussion in relation to the achievement of its objectives

FUKUDA Hideki
Research Managing Director, National Institute of Public Health

<巻頭言>
 歯科口腔保健の推進に関する法律に基づき,歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第二次)(別称「歯・口腔の健康づくりプラン」,以下「歯・口腔の健康づくりプラン」)が,健康日本 21(第三次)と足並みを揃えて策定された.歯・口腔の健康づくりプランは,歯・口腔に関する健康格差の縮小,歯科疾患の予防,口腔機能の獲得・維持・向上,定期的に歯科検診又は歯科医療を受けることが困難な者に対する歯科口腔保健,および歯科口腔保健を推進するために必要な社会環境の整備といった 5つの基本方針のもと 17目標が設定されており,これら目標達成に向けて令和 6年度から開始されている.
 地方公共団体においては,歯・口腔の健康づくりプランをもとに,地域の独自性を活かした歯科口腔保健活動の企画と運営が期待されている.地域において歯科口腔保健活動を効果的に推進するには,これら活動を支える社会環境の整備,および確固とした科学的根拠の支持が重要である.さらに,歯科口腔保健活動の実現に向けた道筋を示すための具体的な技術の理解と,それを可能とする人材の育成・確保が必要となる.
 本特集号では,地域での歯科口腔保健事業の推進を支える社会的基盤や科学的根拠,および論理的な計画策定について解説をいただいた.また,地域での具体的な取組みとして,住民の歯科保健行動の向上につながる歯科健診事業,高齢者歯科保健施策の変遷,および国立保健医療科学院における歯科口腔保健の推進に資する人材育成について話題提供をいただいた.本特集号が,歯・口腔の健康づくりプランに関わるすべての方にとって,その企画・運営・評価に向けての理論的・実践的な一助となることを期待する.
 なお,本特集号の内容は,第 82 回日本公衆衛生学会総会( 2023年,つくば市)でのシンポジウム「みんなで進める歯科保健活動の将来」での発表者を中心に改めて執筆いただいた.著者各位に対して深く感謝いたします

歯・口腔の健康づくりプランの方向性とその実現に向けた論点

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