◆感染対策(2025年3月14日)

【感染症エクスプレス@厚労省】Vol.533(2025年3月14日)

春休みの海外渡航時に気をつけたい感染症について
 春休みには、海外旅行を予定されている方もいらっしゃるかと思います。また医療従事者の方で、そうした方から、注意すべきことについての相談を受けることも少なくないかと思います。今回の感染症エクスプレスでは、この春の海外渡航時に気をつけたい感染症と予防について取り上げます。
 海外では、国内に常在しない感染症や日本よりも高い頻度で発生している感染症が報告されており、渡航先で感染症にかからないようにするために、感染症に対する正しい知識と予防方法を身に付け、ワクチンも含めた渡航前の準備を万全にすることが重要です。また、多くの人が移動・集合する大型イベントでは、感染症へのリスクが高まります。食べ物や水を介した消化器の感染症、人から人にうつる呼吸器の感染症や麻しんなど、また蚊やダニからうつる感染症にも注意しましょう。

▼食べ物や水を介した消化器系の感染症(腸管出血性大腸菌感染症、サルモネラ、カンピロバクター、A型肝炎、腸チフスなど)
・食事は十分に火の通った信頼できるものを食べるようにし、生水・氷・カットフルーツの入ったものを食べることは避けましょう。また、A型肝炎については国内で承認済みのワクチン接種で予防することができます。
・また、春休みのシーズンに東南アジアでは雨季の地域もあります。こうした地域では、水で媒介される感染症(レプトスピラ症やE型肝炎、コレラなど)にも注意が必要です。

▼蚊を介した感染症(デング熱、マラリア、日本脳炎、黄熱など)
・蚊から感染する感染症には、マラリアやデング熱、日本脳炎などがあります。病原体を媒介する蚊が生息する熱帯・亜熱帯地域では、できるだけ肌を露出せず、虫よけ剤を使用するなど、蚊に刺されないよう注意してください。
・黄熱が流行する地域などでは、入国に際し黄熱予防接種証明書(イエローカード)が必要な場合があるので、渡航前に確認が必要です。

▼動物を介した感染症(狂犬病など)
・動物についてもどのような病原体を持っているか分からないことが多く、重篤な感染症の原因となる病原体を持っている可能性もありますので、むやみに動物に近づかない、動物に触れないことが大切です。

▼人から人に広がる感染力の強い感染症(麻しん、風しん、髄膜炎菌感染症など)
・咳や発熱、発疹など、なんらかの症状がある方との濃厚な接触は避けるようにしましょう。
・特に、現在、海外で流行が報告されている麻しんは、海外からの輸入症例を契機とした国内における感染事例も報告されており、注意が必要です。
(麻しんは「はしか」とも呼ばれ、高熱と耳後部から始まり体の下方へと広がる赤い発しんを特徴とする全身性ウイルス感染疾患です。)

▼ダニを介した感染症(リケッチア症、ライム病、回帰熱、ダニ媒介脳炎、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など)
・病原体を媒介するダニが生息する地域で、草むら、ヤブなどに入る場合は、肌の露出を少なくし、虫除け剤も必要に応じて使用ください。

医療従事者の皆さまにおかれましては、海外渡航者への感染症に関する注意喚起にご協力をお願いします。

サイト内リンク 海外へ渡航される皆様へ(厚生労働省)
海外へ渡航される皆さまへ!(厚生労働省検疫所 FORTH)
黄熱に注意しましょう!(厚生労働省検疫所 FORTH)
デング熱(Dengue Fever)(厚生労働省検疫所 FORTH)
マラリアに注意しましょう!(厚生労働省検疫所 FORTH)
サイト内リンク 麻しんについて(厚生労働省)
麻しんの発生に関するリスクアセスメント(2024 年第二版)(国立感染症研究所)(2024年12月6日)
麻しんの発生に関するリスクアセスメント(English version)(国立感染症研究所)
麻しんの国内での報告数増加に伴う注意喚起について(令和6年11月14日)
・海外渡航者への麻しんの注意喚起(厚生労働省)
 ・ 出国前
 ・ 帰国後
麻しん対策・ガイドラインなど(国立感染症研究所)
海外旅行を安全・健康に楽しむために必要な準備と知識(政府広報オンライン)

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公開日:2025年03月17日

カテゴリー: 感染症