保健医療科学 新型コロナウイルス・オミクロン株流行期の高齢者施設入所者における ワクチンの効果に関する検討(2025年5月)

『保健医療科学』 2025 第74巻 第2号 p.193-194(2025年5月)
 

<研修報告>
令和 6 年度専門課程Ⅰ
保健福祉行政管理分野

新型コロナウイルス・オミクロン株流行期の高齢者施設入所者におけるワクチンの効果に関する検討

門内一郎

Evaluation of vaccine effectiveness against SARS-CoV-2 omicron variant among residents of long-term care facilities

KADOUCHI Ichiro

 
抄録
目的:オミクロン株による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行した第 6 波から第 8 波の時期における,高齢者施設に入所する 65 歳以上のCOVID-19 陽性者の新型コロナワクチンの接種状況と入院や死亡の発生状況との関連を分析するとともに,自宅生活者との比較を行った.
方法:宮崎市のCOVID-19 陽性者データを用いた横断研究を行った.対象者は,2022 年 1 月 2 日から2023 年 3 月 2 日までにCOVID-19 陽性者として登録された宮崎市在住の 65 歳以上の高齢者とした.高齢者入所施設居住者(施設群)と自宅生活者(自宅群)に分類し,ワクチン接種の状況と入院および死亡の発生状況の関連を分析した.
結果:施設群では 75 歳以上の男女でワクチン接種回数が多い場合に入院および死亡の発生割合が低い傾向がみられた.一方自宅群では,65-74 歳の男性及び 75 歳以上の男女で同様の傾向がみられた.ロジスティック回帰分析の結果では,追加接種をした者では,初回接種のみの者に比べて施設群と自宅群で入院リスクが低くなっていたが,死亡リスクは自宅群のみで低かった.
結論:オミクロン株によるCOVID-19 流行期において,高齢者の重症化や死亡を防ぐためのワクチン接種の重要性が示唆された.

キーワード::新型コロナウイルス感染症,オミクロン株,高齢者入所施設,クラスター,新型コロナワクチン

 
新型コロナウイルス・オミクロン株流行期の高齢者施設入所者におけるワクチンの効果に関する検討

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