No.25006 ツキヨタケの喫食による食中毒-高知県-

[ 詳細報告 ]

分野名:自然毒等による食中毒
衛研名:高知県衛生環境研究所
報告者:生活科学課 別役由香
事例終息:事例終息
事例発生日:2024/11/12
事例終息日:2024/11/12
発生地域:高知県四万十市
発生規模:-
患者被害報告数:2名
死亡者数:0名
原因物質:イルジンS
キーワード:毒キノコ、ツキヨタケ、イルジンS、LC-MS/MS

概要:
 2024年11月12日、高知県四万十市の別世帯の70歳代女性2名が野山に自生しているキノコを採取し、各家庭にて調理・喫食した。1名は喫食1~3時間後、腹部熱感、膨満感、黒色粘性便の症状を呈して医療機関に入院、もう1名は喫食2時間40分後、吐き気、嘔吐、軟便の症状を呈した。
 当該キノコは、残品(未調理品)の画像によりツキヨタケであることが推定され、また当該キノコの喫食から発症までの潜伏期間(1~3時間)と症状、診療した医師から食中毒患者等届出票が提出されたことから、11月19日、所管保健所は当該キノコを原因とする食中毒と断定した。
 11月20日に高知県衛生環境研究所において、患者1名から提供された未調理のキノコを分析した結果、イルジンSを検出した。

背景:
 厚生労働省の食中毒統計によると、キノコ類を原因とする食中毒は令和6年には全国で19件報告されており、そのうち10件がツキヨタケによるものであった。

地研の対応:
 保健所から搬入された未調理品について鑑定と有毒成分の分析を行った。当該キノコ(石突き部分なし)は比較的大きいかさをもち、シイタケによく似ていたが、内部に特異的な黒褐色のしみを確認し、ツキヨタケと推定した。これを、抽出して、高速液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS/MS)により分析した。

行政の対応:
 患者を診断した医師から食中毒患者等届出票の提出があったことから、ツキヨタケを原因とする食中毒として、高知県健康政策部薬務衛生課が報道発表を行い、県民に対し毒キノコによる食中毒予防の注意喚起を行った。

原因究明:
 残品からイルジンSを確認した。

診断(定性・定量):
 

地研間の連携:
 検査手順は大分県衛生環境研究センター廣田ら1)、LC-MS/MSの分析条件は岐阜県保健環境研究所多田ら2)、熊本県保健環境科学研究所吉本らの報告3)を参考にした。

国及び国研等との連携:
 

事例の教訓・反省:
 

現在の状況(技術、体制、設備等):
 イルジンSの標準物質を購入し、迅速に分析できる体制を整えた。また、他の自然毒についても対応できるよう、一斉分析方法について検討中。

今後の課題:
 有毒キノコの鑑定ができる職員の養成や植物自然毒の分析体制の確立が課題である。

問題点:
 

関連資料:
 著者、タイトル,誌名,巻(号),頁,発行西暦年
1)廣田ら,LC-MS/MSを用いた自然毒(キノコ毒)分析法の検討,大分県衛生環境研究センター年報,第50号,89-92,2022年
2)多田ら,LC-MS/MSによるキノコ及び魚介類の中毒成分迅速分析法,岐阜県保健環境研究所報,第21号,1-7,2013年
3)吉本ら,ツキヨタケ中毒成分イルジンSの分析-イルジンSの単離精製-,熊本県保健環境科学研究所報,第40号,54-57,2010年

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