1.経過
平成22年12月2日:A保育園より保育士が結核疑いとの相談あり、深川南部保健相談所で対応開始
3日:A保育園の保育士が肺結核で勧告入院したとO区より連絡あり
9日:積極的疫学調査の結果より接触者健診の方針を決定し、保護者説明会実施
10、13日:全職員第1回QFT検査(※)
15、17、21日:全園児の胸部レントゲン検査
平成23年 1月26、28日 職員第2回QFT検査
2月2、3日 園児のツベルクリン反応検査(☆)
2月14日 A保育園の園児および職員に接触者健診の結果を周知
※QFT検査(結核菌特異蛋白刺激性遊離インターフェロンγ測定検査)
結核感染の有無を調べる血液検査で、患者と最終接触後、8週間以上経過てから行う。就学前の幼児については、免疫が未熟であるため、QFT検査よりもツベルクリン反応を優先すべきと推奨されている。
☆ツベルクリン反応検査
患者と最終接触後、8週間以上経過後に、PPDを皮内注射し48時間後の反応の強さから、結核感染の有無を調べる検査。しかし、BCG接種を受けている児では、ツベルクリン反応陽性(発赤10mmになることが多く、BCG接種によるものか、結核感染によるものかツベルクリン検査で明確に区別することは出来ない。
2.接触者健診
積極的疫学調査の結果、園児99名と職員43名に対し、事件直後と2ヵ月後に接触者健診を実施した。
1)園児の検査
平成22年12月に保育園にレントゲン車を出し、結核を発病している園児がいないことを確認した。平成23年2月の園児のツベルクリン反応検査の結果と今後の対応は、以下の通りである。
ツ反発赤径 人数 対応
10mm未満 40名 ツベルクリン検査陰性のため、結核感染なしと判断、接触者健診終了
10~29mm 56名 平成24年11月まで、6ヶ月ごとに胸部レントゲン撮影で経過観察
30mm以上 3名 直接保育はなかったが、基準値をこえた反応であるため、専門医療機関受診
2)職員の検査
職員に、QFT検査を実施した結果、職員4名が陽性であった。陽性であった1名は今回、感染したと考えられるが、3名はレントゲン検査や接触歴から過去に結核感染があったと考えられる。なお、今回、感染したと思われる職員は、発病予防の服薬をしながら現在も健康に勤務している。
3.まとめ
接触者健診の結果、同僚保育士1名の感染があったが、園児の集団感染はなかった。
しかし、ツベルクリン反応陽性の園児に対しては、平成24年11月まで6ヶ月ごとに胸部レントゲンで経過観察を実施する予定である。なお、今回の件を受け、平成22年12月27日に保健予防課よりこども未来部に対し、今後、保育園での職員の健康管理を一層、徹底するよう依頼したところである。