No.353 仕出し弁当(カツカレー)によるウエルシュ菌食中毒事件

[ 詳細報告 ]
分野名:細菌性食中毒
登録日:2016/03/17
最終更新日:2016/05/26
衛研名:川崎市衛生研究所
発生地域:川崎市全域、横浜市鶴見区・港北区、東京都大田区・世田谷区の一部
事例発生日:1991年4月
事例終息日:
発生規模:
患者被害報告数:645名
死亡者数:0名
原因物質:耐熱性ウエルシュ菌 血清型TW20型 エンテロトキンシン産生株
キーワード:ウエルシュ菌、食中毒、仕出し弁当、カツカレー弁当、エンテロトキシン、Clostridium perfringens

背景:
ウエルシュ菌食中毒は、毎年、全国で約20事件の発生があり、一事件当たりの患者数も約100名と大規模な集団発生の形態をとることが多い。本菌はヒトや動物の腸管内の常在菌として広く分布しており、食中毒発生時には原因食品や患者便から分離された本菌の血清型が一致し、エンテロトキシンの産生性を確認する必要がある。

概要:
1991年4月3日、本市中原保健所管内の2事業所より下痢、腹痛を主徴とする食毒症状を呈した社員がいる旨の届出があった。調査の結果、「Hフード」で調製したカツカレー弁当を喫食していることが判明した。その後の調査で当該弁当を、本市以外に東京都内、横浜市内の161事業所に2,165食を提供され、645名(29.8%)の有症者がいることが判明した。
症状は下痢624名(96.7%)、嘔気43名(6.7%)、悪寒37名(5.7%)、倦怠感33名(5.0%)などで、下痢は大部分が水様便と軟便で、回数も1~4回と比較的軽症であった。

原因究明:
本市調査分で有症者279名中267名(95.7%)よりエンテロトキシン産生ウエルシュ菌TW20型を検出し、東京都調査分でも72名中50名(69.4%)より本菌を検出した。また、調理従事者35名中5名(14.3%)からも本菌を検出したが、検食(4月2日分)のカツ及びカレーから検出したエンテロトキシン産生のウエルシュ菌はHobbs型別、TW型別共に型別不能であった。横浜市調査分の結果で有症者35名中18名(51.4%)から本菌を検出した旨の連絡を受け、本菌が原因菌であると決定した。

診断:

地研の対応:
当所の分離株を東京都衛生研究所に搬入し、原因菌の血清型がTW20型であることを確認した。

行政の対応:
特になし

地研間の連携:
当所、東京都衛生研究所および横浜市衛生研究所との間で比較的速やかに電話連絡等により情報交換が可能であった。

国及び国研等との連携:
特になし

事例の教訓・反省:
特になし

現在の状況:
周辺の一部の衛生研究所と情報交換を実施している。

今後の課題:
今後はより広域な地研の連絡網及び簡易な情報連絡方法で情報の収集・発信を行うこと。

問題点:

関連資料: