[ 詳細報告 ]
分野名:自然毒等による食中毒
登録日:2016/03/17
最終更新日:2016/05/27
衛研名:栃木県保健環境センター
発生地域:栃木県
事例発生日:1998年10月29日
事例終息日:
発生規模:
患者被害報告数:5名
死亡者数:1名
原因物質:シロタマゴテングタケ
キーワード:毒きのこ、シロタマゴテングタケ、アマニチン、ファロイジン、キャピラリー電気泳動法
背景:
栃木県における、平成元年度から平成10年度の10年間におけるきのこ中毒は、カキシメジ6件、ツキヨタケ5件、クサウラベニタケ2件、ニガクリタケ2件、シロタマゴテングタケ1件の報告がある。この様な状況から当センターでは、ポリアクリルアミド電気泳動法及び液体クロマトグラフィーによるきのこの種判別法の検討(栃木衛研所報、Vol23、57、1993)、
さらにキャピラリー電気泳動法(CE)による形態的に類似したきのこの判別の検討(食衛誌,Vol39(6)、406、1998)が行われていた。
概要:
1) 喫食者数5名、発症者5名、発症率100%、受診者数5名、入院患者数5名
2) 主な症状は嘔吐、下痢、5名中4名は肝機能低下、1名(男児)は重症
3) 原因食品は白いきのこ(後日、シロタマゴテングタケと推定)
原因究明:
診断:
地研の対応:
1) 原因食品のきのこの検討
当センター保存のドクツルタケ及び喫食した疑いのある白いきのこについて、TLC(蛍光法、ヨウ素発色法)、HPLC法、CE法、濃塩酸呈色反応及び3%アルカリ反応について実施した。その結果、喫食した疑いのある白いきのこは、アマニチン及びファロイジンを含むことが分かった。
2) 血清中のアマニチンの定量検討(HPLC法)
入院先の病院より、患者血清中のアマニチンの測定依頼があり実施したが検出できなかった。
なお、血清1mlへの添加回収実験では、添加量1.0μgで痕跡、5.0μgで37.3%、10.0μgで95.0%であった。
行政の対応:
地研間の連携:
長野県立須坂病院:山浦氏(現在衛生公害研究所)及び長野県:石原氏の両氏に「HPLC法
による血清中のアマニチンの測定法」について指導・助言をいただいた。
国及び国研等との連携:
事例の教訓・反省:
1) 当センターでは生体試料より薬物を検出する機会が少ないので、技術経験者の育成が望まれた。
2) 標準品としてのきのこの冷凍保存の数を増やす必要がある(現在113個体)。
3) 行政ではこの機会に、形態的に類似したきのこのペア(例えば、クサウラベニタケとウラベニホテイシメジのレプリカ)を作成し、イベント等で展示し、きのこの食中毒予防の普及啓発に努めている。
現在の状況:
今後の課題:
問題点:
関連資料:
石原島ら、キャピラリー電気泳動法(CE)による有毒きのこの種判別並びに成分分析について、日本食品衛生学会第78回学術講演会、長野市、1999年10月、p.76