No.820 阿久和川のシアン流出事故

[ 詳細報告 ]
分野名:その他
登録日:2016/03/11
最終更新日:2016/05/27
衛研名:横浜市衛生研究所
発生地域:横浜市戸塚区阿久和川
事例発生日:1988年6月
事例終息日:
発生規模:
患者被害報告数:0名
死亡者数:
原因物質:シアン
キーワード:シアン,阿久和川,飲用井戸,へい死魚,下水処理区域

背景:
シアン化合物を含有する工場排水を流出して,横浜市内の河川でへい死魚が浮かびあがる事故は,過去に幾度となく起きている。そのたびに関係各局の役割分担が不明確で,また情報交換等の連携が不十分で混乱が起きる。

概要:
戸塚保健所が採取した流域の飲用井戸水について,4日間にわたり延べ29検体のシアン分析を行ったが,いずれも不検出であった。

原因究明:
原因はシアン化合物を含有する工場排水(発生源は下水処理区域)

診断:

地研の対応:
飲用井戸の水質検査機関ということで,衛生研究所の環境衛生課が対応した。

行政の対応:
公害対策局・衛生局・下水道局・水道局・土木事務所等の関係各局が各々独自に採取し,対応していた。

地研間の連携:

国及び国研等との連携:

事例の教訓・反省:
1) 被害状況等(へい死魚の数・区域)の情報が錯綜し混乱した。
2) 阿久和川流域及び発生源周辺の住民に対する広報が十分でなかった。また安全宣言の実施時期とその方法について判断に迷った。流出濃度・流出量・地下浸透の有無等が不明であった。
3) 発生源が下水の処理区域であることを当初衛生局は知らなかった。早くからわかっていたら,保健所の初動調査において,飲用井戸の採水地点を絞り込むことが可能であった。
4) 各局で実施した検査結果が直ちに関係の局に伝わらなかった。

現在の状況:
・局を超えた体制で検査を行うことができるようになった。

今後の課題:
・事故が発生した場合,事故対策本部を設置し,関係各局は,連携を強化し,変化に対応できる体制を確立しておく必要がある。
・迅速かつ正確な検査ができるよう常に分析技術の向上を心掛けなければならない。

問題点:

関連資料: