[ 詳細報告 ]
分野名:その他
登録日:2016/03/11
最終更新日:2016/05/27
衛研名:香川県衛生研究所
発生地域:香川県
事例発生日:1994年
事例終息日:
発生規模:水道断減水影響人口 822,586人
患者被害報告数:
死亡者数:0名
原因物質:渇水
キーワード:渇水、降水量、水道断水、水道減水、節水、井戸水、水質検査
背景:
香川県は、南は四国山地、北は瀬戸内海に面しており、気候は温暖で年間日照時間は長く、一方、降水量は比較的少なく年間約1,200mm(全国平均1,600mm)で、古来より製塩業が盛んであった。
本県の水道は、県内の水源と共に、昭和49年8月より隣接する高知県・徳島県を流れる吉野川(早明浦ダム→池田ダム導水)から取水している香川用水も水源(現在は約48%依存)としている。
平成6年は、年初めから少雨で、6月も空梅雨で月降水量は29mm(平年の54%)で、また、香川用水の水源の早明浦ダムの月降水量は159mm(平年の41%)の異常少雨で、さらに7月2日には四国地方は例年よりも2週間も早く梅雨明けとなり、早明浦ダム、県内水源での取水が大幅に制限された。ために、7月8日から順次、夜間断水等が県内で実施される事態となった。
そこで、県民へ節水と共に各世帯が保有する井戸の活用を呼びかけた。そして、地域によっては町役場が費用負担して井戸水の水質検査を実施することとしたので、県内保健所、指定検査機関並びに当所に検査依頼があった。7月中旬~8月上旬には多くの井戸水の検査依頼が集中した。
また、県外からの給水応援、ポリタンク等の物資支援があり、病院等の大型施設へ配付した。
結果として、11月14日に台風29号の降雨の影響で香川用水の給水制限が解除されるまで続いた。
また、記録的な猛暑であったが、渇水であることから手洗いや調理器具等の洗浄には少ない水で衛生確保を呼びかけた。
なお、平成6年の年間降水量は794mmであった。
概要:
異常渇水のための給水制限が実施され、また、行政の節水並びに井戸水の活用の広報により、井戸所有者からの水質検査依頼が極端に増加し、県内7保健所、2指定検査機関並びに当所において、7月中旬から下旬にかけてピ-クに13,000件余の水質検査を実施した。
原因究明:
診断:
地研の対応:
前述のとおり、渇水となった平成6年6月下旬頃から、県内の水質検査機関には例年より多く検査依頼があったが、特に7月に入ってからは検査依頼が集中することになった。また、検査の結果飲用に利用できるかどうかの判断を早急に井戸所有者に知らせて、速く井戸水を活用したいとの要望があり、化学検査では理化学部門全員で、細菌検査は細菌部門全員で緊急の水質検査の実施と水質結果の検査成績書の通知・送付態勢にあたった。さらに、井戸水・飲用水についての衛生対策の電話照会等があり対応に追われた。
また、水質検査結果については、化学検査のみで適の場合には、煮沸等の殺菌消毒等を実施するよう衛生対策をあわせて指導した。
行政の対応:
渇水対策本部
・香川県渇水対策本部の設置 平成6年6月27日~11月14日(114日間)。
・県内5市38町の内5市23町で、6月28日から順次、渇水対策本部を設置。2)給水制限
6月29日から減圧給水、7月11日からは夜間断水の給水制限が実施された。
3)節水
県下の学校等のプ-ルの使用中止、トイレ蛇口等の使用制限、緊急的な井戸水使用、学校給食メニュ-の変更、公用車の洗車中止、散水栓の使用中止等
4)広報
県民、県内事業所に水道の断水・減水並びに節水への協力、井戸水の活用を呼びかけた。
地研間の連携:
国及び国研等との連携:
事例の教訓・反省:
香川県では、水資源に対する啓発と、普段から節水意識を持つことが大切である。
また、井戸水についても常時できるだけ活用を図るよう心がける。当所では、通常業務と平行して、井戸水等の水質検査を緊急的に実施することとなった。
このような突発的な事例は、衛生業務に従事するものにとっては、人の健康を守るという観点からの対応が大切である。
現在の状況:
今後の課題:
問題点:
関連資料: