[ 詳細報告 ]
分野名:ウイルス性感染症
登録日:2016/03/11
最終更新日:2016/05/27
衛研名:沖縄県衛生環境研究所
発生地域:沖縄県
事例発生日:2003年5月3日~
事例終息日:
発生規模:
患者被害報告数:SARS疑い例1名
死亡者数:0名
原因物質:不明
キーワード:SARS、中国、Vero E6
背景:
2003年2月からベトナム、香港、中国等で原因不明の急性肺炎が多発し、多くの感染者、死者がでた。その後、米国、カナダ、台湾など世界各地に拡大し、世界的にも大きな経済的損失を招いた。原因は、新種のコロナウイルスであることが判明した。
概要:
4月25日から29日まで台湾、香港、中国広東省を旅行した沖縄県在住男性が、帰国後、4月30日より38.2℃の発熱、上気道炎を発症し、県立病院を受診した。患者から採取された喀痰を、国立感染症研究所より分与されたVero E6細胞に接種し、ウイルス分離を試みたがウイルスは分離されなかった。また、国立感染症研究所に依頼した5月1日、7日、19日の患者血清の抗体検査も陰性であった。SARSコロナウイルスのPCRは、検査体制が整っていなかったため実施しなかった。その後、患者は軽快した。
原因究明:
診断:
地研の対応:
SARSコロナウイルスの分離培養のみを実施した。SARSを否定するための細菌、ウイルスの検査は実施しなかった。
行政の対応:
沖縄県SARS行動計画に基づき、医療機関で採取された材料を保健所が地研に輸送した。また、国立感染症研究所への抗体検査依頼は沖縄県健康増進課より行った。
地研間の連携:
国及び国研等との連携:
患者血清の抗体検査を国立感染症研究所に依頼した。
事例の教訓・反省:
今回の症例において大きな問題はなかったが、検体採取方法や検体種類と採取容器の区別等に多少の混乱があった。事前のシミュレーションが重要であると思われた。また、医療機関、保健所、地研の連携の強化が必要であると思われた。
現在の状況:
SARSコロナウイルスPCR、ウイルス分離およびSARSを否定するための細菌、ウイルス検査体制を整備した。今回の事例以外に6月に1例の検査依頼があったが陰性であった。その後のSARS検査依頼はない。
今後の課題:
現在のSARSコロナウイルスPCR法は感度が低いため、新たな検査法の開発が望まれる。また、バイオハザード対策を含めたSARSコロナウイルスの技術研修も必要であると思われる。
問題点:
関連資料: