[ 詳細報告 ]
分野名:その他
登録日:2016/03/11
最終更新日:2016/05/27
衛研名:東京都健康安全研究センター
発生地域:東京都多摩地域
事例発生日:2002年6月
事例終息日:2002年7月
発生規模:
患者被害報告数:0名
死亡者数:0名
原因物質:1,4-ジオキサン
キーワード:1,4-ジオキサン、飲用井戸水、汚染、発ガン性
背景:
平成14年(2002年)にWHOは飲料水水質ガイドラインの改訂に向けて,発ガン性を有する1,4-ジオキサンのガイドライン値を検討していた。そこで、当所では健康局地域保健部環境水道課および多摩地域各保健所と協力し、平成14年度より多摩地域の飲用井戸水中の1,4-ジオキサンの実態を把握するため先行調査を開始した。
概要:
多摩地域の飲用井戸215カ所について調査した結果、1,4-ジオキサンの検出率は約80%で、平均濃度は3.26μg/L、最高濃度は94.9μg/Lであった。また、ほとんどの井戸水では濃度は10μg/L未満であったが、高濃度(30μg/L以上)に検出される井戸が3カ所あった。1,4-ジオキサンが最も高い濃度で検出された井戸水について平成13年度の保存試料(冷蔵、4℃)を分析したところ、ほぼ同濃度であった。これらのことから、1,4-ジオキサンによる継続した汚染が認められたが、その原因は現在のところ不明である。
原因究明:
現在までのところ、汚染原因は明らかになっていない。
診断:
地研の対応:
環境水中1,4-ジオキサンの除去法、過去の調査結果等に関する文献調査を行い、資料を行政当局に提供した。
行政の対応:
都水道局による調査でも30μg/Lを超える濃度で検出される水道水源(地下水)が見つかったことから、当該水源からの地下水の取水を停止した。都環境局ではその汚染原因の調査と付近の井戸水を対象に追加調査を行った。
地研間の連携:
なし
国及び国研等との連携:
なし
事例の教訓・反省:
日本において基準値が設定されていない有害物質の先行的な調査への取り組みとデータの蓄積が役立った。調査を開始するにあたっては、検出された時の対応策を事前に関係部署と打ち合わせておく必要がある。
現在の状況:
平成15年度(2003年度)にも、これまで高濃度に汚染が認められた井戸の調査を行ったが、1,4-ジオキサンの濃度はほとんど変わりなく、継続した汚染が認められた。
なお、平成15年5月30日に交付された水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号平成16年4月1日より施行)で、基準値は0.05mg/L以下に制定されている。
今後の課題:
継続した汚染が認められることから、早期に汚染源を特定する必要がある。また、1,4-ジオキサンに関する地下水の環境基準の設定など法的な整備が望まれる。
問題点:
関連資料:
1)鈴木俊也ら、第40回全国衛生化学技術協議会年会講演集、p116-117、2003。