[ 詳細報告 ]
分野名:ウィルス性食中毒
登録日:2016/03/11
最終更新日:2016/05/27
衛研名:富山県衛生研究所
発生地域:富山県
事例発生日:2004年2月21日
事例終息日:2004年2月23日
発生規模:
患者被害報告数:45名
死亡者数:
原因物質:Noro virus(Genogroup II)
キーワード:ノロウイルス、ウイルス性食中毒、集団発生、調理人、持ち帰り寿司
背景:
2004年2月23日(月)にT市内の医療機関から食中毒症状を訴える患者が受診しているとの連絡が砺波厚生センターにはいった。調査の結果、2月20日にT市内の持ち帰り寿司を食べたひとが21日~23日にかけて発症していた。調査したA及びBの2グループ69名
中45名(65%)に患者発生が認められ、患者はこの持ち帰り寿司の他に共通点が無かったため、この施設が原因施設とされた。
概要:
原因究明:
診断:
地研の対応:
衛研には2月24日~25日に患者8名、寿司店従業員3名の糞便の検査依頼があった。検査の結果、RT-PCR法で患者8名の内4名からノロウイルスグループII(NV GII)が検出されたが寿司店従業員からは検出出来なかった。RT-PCRで陰性であった検体についてリアルタイムPCR法を行ったところ、さらに患者3名がNV GII陽性となり、寿司店従業員3名中2名がNV GII陽性となった。この陽性の2名の従業員は厚生センターの聞き取り調査で、2月20日現在で数日前から体調不良の状態で作業をしていたことが判った。更にこれら従業員2名の糞便を1週間後の3月5日に採取し、リアルタイムPCR法で検査したところ、2名ともNV GII陽性となった。感染源はこの寿司店従業員と考えられた。
行政の対応:
行政では、原因施設となったすし店の利用者の調査で2グループ69名中45名が2月21日~23日にかけて発症していることから、2月24日から3日間の営業停止処分とした。
地研間の連携:
国及び国研等との連携:
事例の教訓・反省:
本事例が最初に確認された時点では、Aグループが宿泊施設を利用して飲食していたことから、その施設が疑われた。しかし、所轄の厚生センターの聞き取り調査により、2次会で持ち帰り寿司を食べた人が発症していることや、Bグループにも患者がいることが判明し、持ち帰り寿司店が原因施設と判断された。このように、感染源、感染経路の原因究明には、迅速な検査材料の採取や、現場との情報交換(疫学調査)が重要である。
現在の状況:
今後の課題:
保健所は、患者の発生状況を速やか、かつ、的確に把握し、衛生研究所と本庁担当課(食中毒、感染症の両方)と緊密に情報交換を行うことが感染源、感染経路の原因究明につながる。また、日頃から発生要因を啓発して行くことが、更なる拡大を防ぐために重要と考えられる。
問題点:
関連資料: