[ 詳細報告 ]
分野名:その他
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/05/27
衛研名:東京都健康安全研究センター
発生地域:東京都
事例発生日:2006年4月
事例終息日:2006年5月1日
発生規模:不明
患者被害報告数:1名
死亡者数:0名
原因物質:ヒドロクロロチアジド,ビサコジル,マレイン酸クロルフェニラミン,フェンフルラミン
キーワード:個人輸入,ホスピタルダイエット,健康被害,ダイエット,ヒドロクロロチアジド,ビサコジル,マレイン酸クロルフェニラミン,アスコルビン酸,フェンフルラミン,未承認医薬品
背景:
幻聴,精神障害等により東京都内の大学病院に入院していた女性が「ホスピタルダイエット」を服用しており,担当医師から本製品と患者尿の分析依頼があった。分析依頼は,東京都健康安全室薬事監視課を通じて行われた。
概要:
幻聴,精神障害等の精神障害を示していたため,まず覚せい剤などの薬物使用を疑い,尿を用いて簡易同定キットを使用したスクリーニング検査を行った.尿中からは,スクリーニング対象薬物であるフェンジクリジン,ベンゾジアゼピン類,コカイン類,アンフェタミン類,大麻類,オピエート類,バルビツール酸類,三環系抗うつ薬類は検出されなかった.そこで尿を質量分析計付ガスクロマトグラフで精査すると,クロルプロマジンが検出されたが,これは担当医が治療のために使用している薬物であった.
錠剤4種類とカプセル剤1種類についてHPLC-PDAによる一斉分析を行った.その結果,ヒドロクロロチアジド50.6mg/錠,ビサコジル4.6mg/錠,マレイン酸クロルフェニラミン4.1mg/錠,アスコルビン酸99.3mg/錠さらにフェンフルラミン10.6mg/カプセルを検出した.服用後時間が経っていたためか,これらの医薬品を患者尿から検出することはできなかった。
原因究明:
診断:
地研の対応:
ホスピタルダイエットによる健康被害は神奈川県,兵庫県,広島県など複数の自治体からも健康被害が報告されており,これらの製品から検出された医薬品成分は多種類であった.今回の製品ではこれらの情報も参考にして,錠剤,カプセル剤をメタノールなどの溶媒で抽出後,液体クロマトグラフを用いた一斉分析法を用いた.本法は下剤,食欲抑制剤などダイエットに関連する医薬品及びこれまで健康食品などから検出されたことのある薬物20種類を対象にした方法である.さらに,LC/MSあるいはTLC(クロロホルム/メタノール/アンモニア水(75:25:2),検出UV254nm)等で確認を行った。
行政の対応:
海外で開かれているインターネットのサイトには日本の法律が適用できず,取り締まることが難しいため,東京都では健康被害が起きた場合,製品名,含有成分,被害状況などを公表して,消費者及び使用者に購入,使用を中止して頂くように注意喚起を行っている。
さらに都医師会及び都薬剤師会の協力のもと,「健康食品」情報共有シートを作成し,常時健康被害情報の収集,整理を行い,被害発生時には迅速な原因究明等を実施している。
地研間の連携:
国及び国研等との連携:
事例の教訓・反省:
現在の状況:
今後の課題:
問題点:
関連資料:
・「痩身用医薬品として個人輸入されたホスピタルダイエットの分析」:第39回日本薬剤師会学術大会講演要旨集,p176,2006年10月