[ 詳細報告 ]
分野名:細菌性食中毒
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/05/27
衛研名:大阪府立公衆衛生研究所
発生地域:豊中市、枚方市、門真市、大東市、八尾市、岸和田市、泉佐野市、神戸市、大阪市、堺市、東大阪市
事例発生日:2007年9月8日
事例終息日:2007年9月14日
発生規模:
患者被害報告数:74名
死亡者数:0名
原因物質:サルモネラ・モンテビデオ
キーワード:Salmonella Montevideo、サルモネラ・モンテビデオ、飲食チェーン店、食中毒、パルスフィールドゲル電気泳動法
背景:
概要:
2007年9月12日に、神戸市から9月7日の飲食店料理によるサルモネラ食中毒事件の報道提供があった。その後9月14日になって、大阪府内の医療機関から下痢・発熱・腹痛で受診した患者からサルモネラを検出したと保健所に通報があり、調査した結果、神戸市の事件と同系列の飲食店を9月7日に利用していたことが判明した。この飲食チェーン店は同一営業者が近畿地区で28店舗展開しており、さらに他の店舗からも患者発生報告が相次ぎ、13店舗で患者は74名に達した。患者から検出されたサルモネラはすべてサルモネラ・モンテビデオであった。
原因究明:
喫食調査から原因食品は刺身、寿司の可能性が高いと考えられた。各店舗では大阪
府内の配送センターから出荷された食材を使用して調理を行っていた。配送センターではマグロの解体・小分けを行い、各店舗に出荷していたが、その他の食材は仕入れ品を包装されたまま各店舗に配送しており、加工品の製造等はしていなかった。各店舗で使用された食材の遡り調査を行ったが同様の苦情はなく、またマグロを他県の加工業者から仕入れていた店舗においても患者の発生があり、配送センターが汚染の原因であるとの断定はできなかった。また、営業者の自主検査で10店舗16名の従業員からサルモネラ・モンテビデオが検出されたが、その中には店の賄い食を喫食していない人もあり、原因は不明である。
本事件は、配送センターから各店舗に配送された食材のいずれかがS. Montevideoに汚染されていて、それを各店舗で提供したことにより発生したものと考えられる。また、各店舗当たりの患者数が少なく、無症状の従業員からの菌検出が多いという特徴が認められた。
診断:
地研の対応:
大阪府立公衆衛生研究所では患者および従業員の便、食品、拭取りの細菌学的検査を行い、17名の患者からサルモネラ・モンテビデオを検出した。さらに業者の自主検査で無症状の従業員から検出されたサルモネラ・モンテビデオ16株も収集し、合計33株についてパルスフィールド・ゲル電気泳動法(PFGE)による遺伝子解析と12薬剤(ABPC、SM、TC、CTX、KM、CPFX、OFLX、CP、ST、GM、NA、FOM)に対する薬剤感受性試験を行った。患者および従業員由来株のPFGEパターンはすべて同一であり、薬剤感受性試験はすべて感受性であった。
行政の対応:
医師から食中毒届出があったこと、患者からサルモネラ・モンテビデオが検出されたこと、および患者に当該飲食店料理以外の共通食がないこと等により、13店舗の管轄保健所では、各店舗を原因施設とするサルモネラ・モンテビデオによる食中毒と断定し、1~3日間の営業停止の行政処分を行った。
地研間の連携:
国及び国研等との連携:
事例の教訓・反省:
現在の状況:
今後の課題:
問題点:
関連資料:
飲食チェーン店で発生したSalmonella Montevideo食中毒事件―大阪府.病原微生物検出情報.29:221-222,2008. (http://idsc.nih.go.jp/iasr/29/342/dj3424.html)