[ 詳細報告 ]
分野名:その他
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/05/27
衛研名:山口県環境保健センター
発生地域:
事例発生日:2009年6月25日
事例終息日:
発生規模:推定半径500mの範囲(苦情発生)
患者被害報告数:53名
死亡者数:0名
原因物質:不明
キーワード:刺激性ガス、官能試験、機器分析、大気汚染物質、目チカ
背景:
今回の刺激性ガスによる苦情事例の特徴は次の通りである。
・近くに大気汚染物質を排出する大規模な工場等が立地していない。
・被害が比較的狭い範囲に限定されている。
・ある集団のほとんどが同時に被害を受けている。
・苦情の内容(目がチカチカする)がほぼ同じである。
・一過性である。
概要:
平成21年6月25日15時頃、宇部環境保健所へ山陽小野田市埴生のH社(園芸業者)から「約40人の従業員が作業中に「目がチカチカする」等の症状を訴えている。」との苦情通報があった。また、同時刻頃、山陽小野田市のA及びM保育園からも県庁環境政策課へ同様な情報が寄せられた。
宇部環境保健所は直ちに現地調査を行うとともに、苦情者が所在する施設周辺の大気試料を採取した。
環境保健センターは採取した大気試料を分析したが、原因物質を特定することはできなかった。
原因究明:
診断:
地研の対応:
県庁環境政策課からの要請に基づき、被害があった施設周辺等の大気試料を官能試験(嗅覚)及び機器による分析を実施した。(合計4地点)
なお、6月25日15時から18時の地点5)の風向風速は、南の風1mであった。
検査の結果は次の通り、いずれの地点においても苦情に関連すると思われる大気汚染物質は検出されなかった。
行政の対応:
1.苦情者への聞き取り
6月25日17時~18時頃、宇部環境保健所はH社、A及びM保育園から被害の状況等について事情聴取した結果、次のとおりであった。
H社:従業員約50人のうち、約40人が目がチカチカした。加えて、涙が出る、喉にいがらい症状を呈した者が数名いた。
A保育園:職員6名が目がチカチカする、涙が出る症状を呈した。
M保育園:園児を含め約50人のうち、7名が目がチカチカする、涙が出る症状を呈した。
なお、付近住民(通行人)十数人に聞き取りを行ったが、異常は感じられなかった。
2.大気試料の採取
被害苦情のあった3施設周辺の大気試料及びバックグランドとして3施設から相当程度離れた地点の大気試料を採取した。(合計4地点:周辺地図参照)
地研間の連携:
なし
国及び国研等との連携:
なし
事例の教訓・反省:
1.刺激性ガス等による苦情は、風向、風速等気象による影響を強く受ける。そこで苦情等の通報後、速やかな現地調査及び大気試料の採取が必要である。
2.試料採取時には臭いを感じた試料も試料搬入後の官能試験では臭気が感じられなかった。このことは、試料採取後の刺激性物質の分解、採取袋への吸着又は採取時に刺激性の臭気を感じた大気を確実に採取できなかったことも考えられる。
現在の状況:
その後同様な苦情なし
今後の課題:
1.現地保健所が緊急時に即応できるよう平素から適切な採取器具を常備しておくとともに職員に対する採取方法等の周知徹底を図っておく必要がある。
2.大気試料を確実に採取できる方法及び臭気、刺激物質等を確実に分析できる方法を確立しておく必要がある。
問題点:
関連資料:
[資料参照]