[ 詳細報告 ]
分野名：その他
登録日：2016/03/08
最終更新日：2016/05/27
衛研名：東京都健康安全研究センター
発生地域：東京都
事例発生日：2009年10月
事例終息日：
発生規模：不明
患者被害報告数：不明
死亡者数：1名
原因物質：シブトラミン、フルオキセチン、フロセミド、ビサコジル、クロルフェニラミン、甲状腺末
キーワード：MDクリニックダイエット、ホスピタルダイエット、無承認無許可医薬品、個人輸入、シブトラミン、フルオキセチン、フロセミド、ビサコジル、ジオクチルスルホサクシネート、クロルフェニラミン、甲状腺末
背景：
近年、インターネットの急速な普及により、国内外の様々な商品を誰でも容易に購入することができるようになった。一方、若い女性の間ではダイエット志向が一段と高まっており、痩身効果を謳う商品を安易に個人輸入し、利用する傾向が益々強くなっている。こうした中、意図せずに処方薬や未承認薬を入手、摂取した結果、思わぬ健康被害が引き起こされている。
概要：
2009年10月、タイから輸入された「ホスピタルダイエット」による健康被害事例について厚生労働省から報道発表があった。その新聞記事を見た方から、家族が個人輸入し使用していた同様の製品について東京都に相談があり、任意提出を受けた。当該製品は「MDクリニックダイエット」と称されるもので、当センターで試験を実施したところ、錠剤4種及びカプセル剤3種すべてから医薬品成分が検出された。なお、当該製品の使用者（30代女性）は同月死亡しているが、当該製品と死亡との因果関係は不明である。
原因究明：
各錠剤及びカプセル剤から検出された医薬品成分の含量は、1)フルオキセチン14mg/カプセル、シブトラミン17mg/カプセル、2)フロセミド40mg/錠、4)シブトラミン12mg/カプセル、5)フルオキセチン12mg/カプセル、6)錠剤：ビサコジル5.3mg/錠、ジオクチルスルホサクシネート16mg/錠、7)クロルフェニラミン2.9mg/錠で、いずれも薬用量に相当する値と考えられた。
診断：
地研の対応：
錠剤又はカプセル剤の90%メタノール抽出液についてGC/MS分析を実施し、ライブラリー検索によりいくつかの医薬品成分を選定した。さらにTLC、LC/PDA、LC/MSを用いて成分の同定を行った。また、各種機器分析の結果、医薬品成分が検出されなかった錠剤1種については、甲状腺組織検査を実施した。以上から、当該製品に含有されていた医薬品成分は、
1)カプセル剤：フルオキセチン及びシブトラミン、2)錠剤：フロセミド、3)錠剤：甲状腺末、4)カプセル剤：シブトラミン、5)カプセル剤：フルオキセチン、6)錠剤：ビサコジル及びジオクチルスルホサクシネート、7)錠剤：クロルフェニラミン、であることを明らかにした。
行政の対応：
東京都福祉保健局健康安全部薬事監視課と連携して対応した。東京都は、2009年10月23日付で報道発表を行い、福祉保健局HP上に製品写真等を掲載して都民に危険性を周知させるとともに、関係団体へ注意喚起のための情報提供を行った。
地研間の連携：
本件については、特段の連携は行わなかった。
国及び国研等との連携：
本件について特段の連携は行わなかったが、厚生労働省HP上に掲載された関連情報を活用した。
事例の教訓・反省：
本件については、特にインターネットの検索エンジンの利用が有効な手段となり、錠剤の刻印などの情報を入力することにより、有用な情報を入手することができた。
現在の状況：
GC/MS、LC/PDA、LC/MS（/MS）、LC/TOF-MSを装備している。
今後の課題：
関連情報を収集する場として、引き続き地研間での情報交換、情報提供を密に行っていくことが不可欠である。
問題点：
関連資料：
１) 痩身効果を目的として個人輸入されたMDクリニックダイエットの分析、第47回全国衛生化学技術協議会年会講演要旨集、p308-309、2010年11月
２) 「MDクリニックダイエット」と称される製品からの医薬品成分の検出について（注意喚起）http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2009/10/20jana00.htm（東京都）
３) タイから輸入された「ホスピタルダイエット」と称される無承認無許可医薬品による健康被害(疑い)事例についてhttp://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/jirei/091008-1.html（厚生労働省）
４) 「ホスピタルダイエット」などと称されるタイ製の向精神薬等を含有する無承認無許可医薬品による健康被害事例について
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/jirei/030902-1.html（厚生労働省）
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