No.1513 指定薬物を含有する違法ドラッグの発見

[ 詳細報告 ]
分野名:その他
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/05/27
衛研名:東京都健康安全研究センター
発生地域:東京都
事例発生日:2011年1月
事例終息日:
発生規模:不明
患者被害報告数:不明
死亡者数:0名
原因物質:ジフェニルプロリノール、JWH-018
キーワード:違法ドラッグ、指定薬物、ジフェニルプロリノール、JWH-018

背景:
近年、違法ドラッグの乱用が若年層を中心に急速に拡大し、これによる死亡事故や健康被害が発生するなど、大きな社会問題となっている。

概要:
東京都では、平成8年度より福祉保健局健康安全部薬事監視課と健康安全研究センター医薬品部医薬品研究科との共同で、違法ドラッグの流通実態調査を実施しており、現在、年間約110製品を買い上げ、成分分析を行っている。平成22年度の流通実態調査の結果、指定薬物を含有する製品を2種 1)Speed 55 Crystal Limited:液体、2)Passion:植物片に非植物性結晶粉末が混在)発見した。

原因究明:
製品1):指定薬物であるジフェニルプロリノールのほか、4-メチルエトカチノン(2011年10月20日施行の指定薬物)、ブフェドロン等が検出された。ジフェニルプロリノールの含有量は、1本(5.3mL)中40mgであった。
製品2):指定薬物であるJWH-018が検出され、含有量は1包(2.0g)中43mgであった。

診断:

地研の対応:
製品1):原液でTLC、ジクロロメタン抽出液についてGC/MS、50%メタノール希釈液についてLC/PDA、LC/MSを行った。製品2):メタノール抽出液についてTLC、LC/PDA、LC/MS、メタノール抽出物のクロロホルム可溶部についてGC/MSを行った。
製品1)及び2)共に、それぞれの分析結果及び機器分析データのライブラリー検索により成分の絞り込みを行い、最終的に標準品との比較により同定した。

行政の対応:
福祉保健局健康安全部薬事監視課と連携して対応した。東京都は、2011年1月27日付で報道発表を行い、福祉保健局HP上に製品写真等を掲載して都民に危険性を周知するとともに、販売業者に対し立ち入り調査を実施し、製品の販売中止及び自主回収等を指示した。

地研間の連携:
特段の連携は行わなかった。

国及び国研等との連携:
特段の連携は行わなかった。

事例の教訓・反省:

現在の状況:
GC/MS、LC/PDA、LC/MS(/MS)、LC/TOF-MSを装備している。

今後の課題:
関連情報を収集する場として、引き続き地研間での情報交換、情報提供を密に行っていくことが不可欠である。

問題点:

関連資料:
1) 平成19年度薬物分析調査と新規検出薬物について
東京都健康安全研究センター年報,59,71-77,2008
2) 指定薬物検出事例を中心とした平成22年度薬物分析調査
第48回全国衛生化学技術協議会年会講演要旨集,p298-299,2011年11月
3) Indoles and Related Compounds as Cannabinoid Ligands Mini-Reviews in Medicinal Chemistry, 8,370-387, 2008