[ 詳細報告 ]
分野名:その他
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/03/22
衛研名:横浜市衛生研究所
発生地域:横浜市泉区
事例発生日:2013年2月3日
事例終息日:2013年2月8日
発生規模:カラス9羽、ハクセキレイ1羽
患者被害報告数:0名
死亡者数:0名
原因物質:シアノホス
キーワード:シアノホス、農薬、有機リン系農薬、殺虫剤、カラス、胃内容物、不審死、GC-FPD、GC/MS
背景:
2013年2月に、カラス等が外傷なく複数羽死んでいるのが発見された。
概要:
2013年2月3日に、「カラスが複数羽死んでいる」との匿名連絡が横浜市コールセンターにあった。福祉保健センターが現地調査を実施したところ、カラス7羽及びハクセキレイ1羽が外傷など外形上の異常なく死亡しているのが確認された。翌日に死亡カラス7羽のうち3羽が搬入され、胃内容物について農薬検査を実施した。その結果、有機リン系農薬の殺虫剤であるシアノホスが検出された。
さらに、2月7日及び8日、発生地域周辺でカラス各1羽が死亡しているのが確認された。胃内容物の農薬検査を実施した結果、シアノホスが検出された。
原因究明:
1検査方法
摘出した胃内容物をアセトンで、池の水をヘキサンで抽出し、この抽出液を試験溶液として、GC/MSでスクリーニング検査を行った。その結果、シアノホスのピークが確認されたため、希釈した後GC-FPDで定量を行った。
2検査結果(シアノホス)
2月4日搬入 カラス胃内容物1) 3,564ppm
カラス胃内容物2) 969ppm
カラス胃内容物3) 2,200ppm
2月6日搬入 池の水1) 不検出
池の水2) 不検出
池の水3) 不検出
池の水4) 不検出
2月7日搬入 カラス胃内容物 1,067ppm
2月12日搬入 カラス胃内容物 687ppm
診断:
地研の対応:
本市健康福祉局健康安全課からの依頼により、「カラスの胃内容物」及び「発生地域周辺の池の水」について農薬検査を実施した。
行政の対応:
現地調査、検体の確保及び衛生研究所への搬入。
地研間の連携:
なし
国及び国研等との連携:
なし
事例の教訓・反省:
健康危機発生時の対応として、死亡野鳥における理化学検査の業務の流れが整理されていなかったため、検査依頼受付や成績書発行など関係部局との事務的な調整に時間を要した。緊急時において検査結果に基づいた迅速な行政措置を行うために、事務手続き等業務の流れを明確にしておく必要があると考えられた。
現在の状況:
死亡野鳥に関する相談から検査までの業務分担を明確にし、全庁的に業務の流れを共有した。
今後の課題:
平常時において関係部局との連携を強化し、緊急時の意志統一が迅速にできる体制を確立しておく必要がある。
問題点:
関連資料:
「健康危機に関わる農薬の迅速分析法について」高橋京子ほか、第40回全国化学技術協議会年会講演集p24-25(2003)