No.1634 デリバリー給食による中学校における食中毒事例

[ 詳細報告 ] 分野名:ウィルス性食中毒
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/05/27
衛研名:広島市衛生研究所
発生地域:広島市内
事例発生日:2014年1月22日
事例終息日:2014年1月27日
発生規模:広島市内複数の中学校、喫食者数2,229名
患者被害報告数:301名
死亡者数:0名
原因物質:ノロウイルスGII
キーワード:ノロウイルス、食中毒、デリバリー給食

背景:
新しいノロウイルスの変異株であるノロウイルスGII/4 Sydney2012が全国的に流行し、本市においても2012年に本ウイルスを原因とする患者数2,035名の大規模食中毒事例や、その他数例のノロウイルスによる食中毒事例の発生をみた。
そのような中で、2014年1月にノロウイルスGII/4 Sydney2012を原因とするデリバリー給食による大規模食中毒が発生したので報告する。

概要:
2014年1月24日(金)9時30分頃、広島市教育委員会から広島市保健所に「デリバリー給食を食べた広島市内の複数の中学校の生徒が、1月23日(木)から24日(金)にかけて嘔吐、下痢等を発症している」旨の連絡があり、直ちに調査を開始した。
調査の結果、弁当製造施設Aで22日(水)に製造したデリバリー給食を食べた市内中学校10校2,229名のうち10校301名(生徒280名、教職員21名)が、22日(水)19時から27日(月)7時にかけて発熱、嘔吐、下痢、腹痛等の症状を呈していた。
医療機関からの食中毒患者の届出があり、患者の共通食は、当該施設が製造したデリバリー給食のみであったこと、患者及び従事者の便からノロウイルスGIIが検出されたこと、患者間及び中学校内での感染の可能性は認められなかったことから、当該施設を原因とする食中毒であると判断した。さらに、喫食状況、患者の潜伏時間(平均34.8時間)から原因食品は22日製造のデリバリー給食であると判断した。

原因究明:
患者便45検体、患者吐物2検体、従事者便35検体、施設の拭き取り26検体、食品(検食)48検体についてノロウイルスの検査を実施し、患者便41検体、調理従事者便1検体からノロウイルスGIIが検出された。しかし、患者の吐物、食品及び施設の拭き取りからはノロウイルスは検出されなかった。
ノロウイルスの検出された従事者に健康異常は認められなかった。
患者便5検体及び従事者便1検体から検出されたノロウイルスGIIについて広島市衛生研究所で遺伝子解析をした結果、すべてGII/4 Sydney2012であった。

診断:
ノロウイルス陽性の従事者(容器運搬係及び食器洗浄係として従事)は、調理従事者と同一経路で工場内に入り、調理場等を経由して担当部署まで移動しており、また、作業中は調理従事者と同じトイレを利用していた。これらのことからスイングドア、トイレのドアノブ、設備の取っ手等を介して、他の調理従事者の手指を汚染したことによる間接的な食品の汚染が考えられた。しかし、原因のメニューを特定はできなかった。

地研の対応:
搬入された患者便45検体、患者の吐物2検体、従事者便35検体、施設の拭き取り26検体、検食48検体についてノロウイルスの検査を実施した(患者便18検体、従事者便18検体、拭き取り10検体について細菌検査実施)。ノロウイルスの遺伝子解析による遺伝子型別を実施した。

行政の対応:
広島市保健所は、2014年1月24日(金)に本事例探知後直ちに調査を開始した。
当該施設は1月24日(金)から製造を自粛。
1月25日(土)に営業禁止命令書を交付。
患者の調査、施設の調査、衛生指導、改善の確認を実施。
2月7日(金)に営業禁止処分解除命令書を交付。

地研間の連携:

国及び国研等との連携:

事例の教訓・反省:

現在の状況:

今後の課題:
1年前の2,000人を超える患者を出したノロウイルスによる大規模食中毒事例の際に食品からノロウイルスを検出することができなかったことを教訓に、本事例では食品の検査にパンソルビントラップ法を検討し導入したが、食品からはノロウイルスを検出することができなかった。この原因が本法の感度以下の汚染があったことによるのかなどが不明であるが、効率的に食品からノロウイルスを検出する方法の検討を続ける必要があると考える。

問題点:

関連資料:
1)大見慎太郎 他:給食弁当におけるノロウイルス食中毒,平成26年度食品衛生監視員等業績発表会抄録,13~16(2014)