No.733 食品中への毒物混入による食中毒

[ 詳細報告 ]
分野名:化学物質による食品汚染
登録日:2016/03/11
最終更新日:2016/05/27
衛研名:和歌山市衛生研究所
発生地域:和歌山市
事例発生日:1998年7月
事例終息日:
発生規模:
患者被害報告数:67名
死亡者数:4名
原因物質:ヒ素
キーワード:毒物混入,カレー,ヒ素,ヒ素中毒

背景:

概要:
1998年7月25日和歌山市○○地区自治会主催の夏祭り会場で提供されたカレーライスを食べた人が嘔吐,吐き気等の症状を呈し,会場近くの医院に患者が殺到し,救急要請で市内12ヶ所の医療機関に収容された。その後の警察の捜査等で毒物としてヒ素が混入された事件であることが明らかになった。
患者数:67名,死亡者数:4名

原因究明:
警察に委ねた。

診断:

地研の対応:
平成10年7月26日検体の搬入があったが,警察から所長に患者の1人が死亡したので検体をそのままにしておくように指示があったため,検査は行わなかった。7月28日警察の要請で,衛生研究所に搬入済のすべての検体を任意提出した。

行政の対応:
1998年7月25日(土)
19:45市消防局司令室から保健所の担当者に「食中毒様症状者を多数病院に搬送している。」と電話連絡が入り,保健所長はじめ関係職員が順次保健所に集合(9名)。
20:10職員(食品衛生監視員)2名が現場調査に出発。職員(食品衛生監視員)1名が消防局へ情報収集に出発。
20:30現場到着。検体採取等を行ったが現場はパニック状態で事情聴取もままならない状況であった。
21:30消防局より救急搬送医療機関の情報を持ち帰る。
21:40搬送先の各医療機関(12施設)へ縮瞳の有無について問合せを実施,問い合わせに対して全医療機関から「なし」との回答を確認。
7月26日(日)
00:00記者発表。
01:00警察署員3名が保健所に採取した検体を見に来所。特に指示はなかった。
03:00保健所職員解散。自宅待機。
03:30検体を衛生研究所に搬入。
06:30県警が和歌山東署に捜査本部を設置。
07:00警察署から衛生研究所に電話で,患者の1人が死亡したので検体をそのままにしておくように指示があった。
08:30入院先の医療機関へ患者の症状等状況調査を開始。(保健所職員2名×4組)
08:40警察署の要請で,衛生研究所に搬入済の検体を任意提出。
09:30「市民の不安解消,情報の収集,飲食物等の監視強化,捜査への協力等に努める。」事を目的とし,対策本部を設置。
以上が情報入手後2日間の保健所の主な対応である。しかし,警察の青酸化合物検出後(後で間違いとわかる。)の発表及び捜査本部の設置により,原因物質等については,事件との関わりもあり,警察の捜査に委ねられた。

地研間の連携:
事件がらみであったため,検査ができず地研間での連携がとれなかった。

国及び国研等との連携:
ヒ素の体内残存量を検査できる機関を保健所から厚生省に援助依頼した。

事例の教訓・反省:

現在の状況:
平成11年度に事例を機に機器整備を行うとともに毒物検査マニュアルを作成し,24時間体制で健康危機管理体制を敷いている。

今後の課題:
毒物検査マニュアルの機能を確認するために定期的にシミュレーションを実施し,機能の再確認や不備の改善を行っている。

問題点:

関連資料:
和歌山市毒物混入事件報告書は各市主管課に送付済,毒物検査マニュアルは公衆衛生研究所に送付済。研究報告書は添付。