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本ページでは現在連載中の、健康局結核感染症課の浅沼一成課長によるコラムを掲載しています。
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◆「あさコラム」vol.15「デング熱と公園」(2016年7月29日)
こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課長の浅沼一成です。
先日、フィリピンに滞在歴のある新潟県の30歳代の女性が、デング出血熱で
お亡くなりになりました。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
この方はフィリピン滞在中にデング熱に罹患したと思われ、現地では症状も
あったようですが、帰国時には発熱もなく、検疫所の健康相談には訪れていま
せんでした。
しかし、帰国直後に体調が急変され、医療機関でデング出血熱と診断、その
後の治療の甲斐なく荼毘に付されました。
デング熱は、流行地で蚊に刺されることで感染する疾患で、年間数百例の海
外からの輸入症例が確認されています。
デング熱で亡くなるケースは決して多くはなく、わが国では平成17年(2005
年)以来11年ぶりの出来事でしたが、今回のようにデング熱の患者の一部がま
れに重症化してデング出血熱などを発症することがあり、死に至ることがあり
ます。
亡くなられた女性は、まだお若く、大変残念でなりません。
私からのお願いは、渡航先で体調を崩された場合には、帰国時に検疫所の健
康相談に必ずお立ち寄りいただきたいということです。
検疫所では検疫医療専門職の渡航医学の専門医などが診断し、適切な対応を
してくれます。
また、帰国後に何か症状が認められた場合には、医療機関の受診に際して海
外への渡航歴を告げていただくと、的確な診断・治療につながります。
更に、デング熱やジカウイルス感染症など、蚊を媒介する感染症の流行地域
に渡航する場合は、長袖を着用したり、蚊の忌避剤(虫よけスプレーなど)を
使用するなど、蚊に刺されない予防策が必要です。
そして、帰国後も、二次感染を防ぐために、国内でもできるだけ蚊に刺され
ないこと、これも重要なことです。
来月8月にはリオ・デ・ジャネイロでオリンピック・パラリンピックも始まり
ますので、蚊の駆除も含めてぜひとも防蚊対策に取り組んでいただきたいとこ
ろです。
・・・と、何度もこうしたお願いをさせていただいているのですが、実は今、
困ったことが起きています。
それは、アプリ「ポケモンGO」の大流行です。
蚊に刺されないためには、草むらや公園の植え込みなど蚊が出没するところ
に近づかないことがポイントなのですが、この「ポケモンGO」、スマートフォ
ンの地図の中で、あちこちにポケモンが現れるため、蚊がいそうな場所でも、
お構いなくポケモンをゲットしに行く方が多数いるようです。
しかも、特定の公園にはレアなポケモンがゲットできるそうで、こうした情
報がSNSで拡散し、たくさんの「ポケモンGO」ユーザーが昼夜問わず集まってい
るとのこと。
「ポケモンGO」をプレイしながらの「歩きスマホ」、「ながらスマホ」は大
変危険で、交通事故やトラブルが発生していますが、ポケモン欲しさに蚊に刺
されながら草むらなどを徘徊するのも、感染症対策上、いかがなものかなぁと
思っています。
事実、「ポケモンGOで一番得してるの蚊だと思う」というTwitterのリツィ
ート数が1万を超える勢いですから、何を況んやという感じです。
これには、さすがに困りました。
皆さん、「ポケモンGO」をプレイする際には、夢中になり過ぎず、くれぐれ
も蚊にも用心して下さいね。
ちなみに、今月(2016年7月発行)の病原微生物検出情報は「蚊媒介ウイル
ス感染症特集」です。
http://www.nih.go.jp/niid/ja/iasr.html
国立感染症研究所の力作ですので、ぜひ読んでください!
では、次回もどうぞよろしくお願いします。
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「ジカ熱・デング熱の感染源ヒトスジシマカに注意!」