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平成29年10月27日 【照会先】 医薬・生活衛生局総務課国際薬事規制室 室長 中島 宣雅 (4223) 室長補佐 佐野 喜彦 (4232) 専門官 高梨 文人 (4224) (代表電話) 03(5253)1111 (直通電話) 03(3595)2431 |
報道関係者各位
第12回薬事規制当局サミット等の結果について
第12回薬事規制当局サミットにおいて、再生医療等製品、リアルワールドデータに対する薬事規制のあり方について議論が行われ、以下について合意されました。
(1)再生医療等製品に関する国際的な規制調和の推進
(2)リアルワールドデータの活用に関する国際的な意見交換の推進
また、薬剤耐性菌(AMR)対応と偽装医薬品対策についても議論が行われ、それぞれ、各国規制当局における取組と、国際協力の推進が合意されました。
このほか、ICMRA(薬事規制当局国際連携組織)、日本と欧州、英国等の二国間協議等において精力的な議論が行われ、様々な成果が得られました。
平成29年10月24〜25日(火〜水)に京都で、厚生労働省及び医薬品医療機器総合機構(PMDA)の主催で、第12回薬事規制当局サミットが開催されました。日本は薬事規制当局サミットを初めて主催し、世界29の国と地域から、各国薬事規制当局の代表を含む延べ86人が参加しました(参加当局リスト:別添1)。また、同サミットに続けてICMRA(薬事規制当局国際連携組織)会合が10月25〜26日(水〜木)に開催されました。
これらの会合に併せて、日本は、9か国・地域と二国間協議を行うとともに、同サミットに参加するアジア各国を招聘したアジアンネットワーク会合を初めて開催しました。
さらに、10月27日(金)に、同サミットの成果等の発表を行うため、薬事規制当局サミットシンポジウム(公開)を薬事規制当局サミットの関連イベントとして初めて開催し、約1,500人が聴衆として参加しました。
一連の会合の結果概要は以下のとおりです。
(参考)
薬事規制当局サミット(Summit of Heads of Medicines Regulatory Agencies)
日、米、欧、中、ブラジルなど23カ国・地域を中心とする薬事規制当局の責任者が集まり、医薬品・医療機器規制制度の在り方、審査手続き、市販後調査等の課題を意見交換する。平成18年に発足。
ICMRA(International Coalition of Medicines Regulatory Authorities, 薬事規制当局国際連携組織)
日、米、欧、中、ブラジルなど22カ国・地域を中心とする薬事規制当局の責任者が参加し、国際活動の優先順位や活動の重複による無駄の排除等を議論する。平成24 年に発足。活動状況をウェブサイトで公表している。(http://www.icmra.info/)
I.第12回薬事規制当局サミット
1.イノベーション(革新的技術に対する薬事規制のあり方)
今回会合では、革新的技術として、再生医療等製品、リアルワールドデータ(RWD)に対する薬事規制のあり方について議論が行われました。参加当局が今後の活動に関して合意した事項は以下のとおりです。
(1)再生医療等製品の国際的な規制調和の推進
各当局は、再生医療等製品の特徴を適切に反映した規制の実施と、その国際的な調和の必要性を認識。このため、各当局は既存の国際的な枠組み(WHO、ICH、IPRF)を活用し、再生医療等製品に関する国際的な規制調和を推進する。
(2)リアルワールドデータ(RWD)の活用
各当局は、それぞれ薬事規制においてリアルワールドデータ(RWD)の活用を進めているが、様々な技術的な課題(※)に直面している。これら課題に各当局の知見を集めて効果的に対処するため、RWDに関する国際シンポジウムの開催(検討中)等を通じて、各当局の意見交換を推進する。
※ RWDを使用できる範囲、RWDを科学的根拠として利用可能にするための収集・標準化・実証・検証などのプロセス、RWD収集のためのレジストリ等の基盤整備 等
2.国際協力(世界的な公衆衛生上の課題への対応)
今回会合では、現在の医薬品規制を取り巻く世界的な公衆衛生上の課題として、薬剤耐性菌(AMR)対応と偽造医薬品対策について議論が行われました。参加当局が今後の活動として合意した事項は以下のとおりです。
(1)薬剤耐性菌(AMR)対応
One Health アプローチの下、薬剤耐性菌(AMR)問題への対応のため、以下のような各国薬事規制当局の取組と国際協力の推進を行う。
− 各国の薬事規制当局やWHOの取組:
・抗菌薬開発を促進するための臨床評価ガイドラインの整備
・抗菌薬の適正使用・モニタリングの各国体制の整備、技術支援
− 国際協力:
・規制調和活動(現在進行中の日米欧(PMDA、USFDA、EMA)による臨床評価ガイドラインの作成等)
(2)偽造医薬品対策
人々の健康、安全、経済等多方面に悪影響を及ぼす偽造医薬品に対してより効果的に対処するため、以下のような各国薬事規制当局の取組と国際協力の推進を行う。
− 国の薬事規制当局の取組:
・国内の医薬品流通網におけるTrack and Trace(追跡)システム及びデータベースの整備
・医薬品の流通や偽造品の取締りに関与する様々なステークホルダーとの連携
− 国際協力:
・輸出国・輸入国間の情報共有
・各国のTrack and Traceシステム間のデータの共有を可能とするためのシステムの調和の検討
− WHOの取組:
・途上国に対する技術的支援
・WHO加盟国の情報を集約した監視、モニタリング、警告体制の整備
3.薬事規制当局サミットとICMRAの統合
今回会合において、薬事規制当局サミットとICMRAの組織規定(ToR)を改訂し、一体の会議「ICMRAサミット」に統合すること合意しました。ICMRAサミットの初会合は、平成30年9月に米国(ワシントン)で開催される予定です。
参考として、以上の成果等に関する薬事当局サミットシンポジウムにおける講演資料を添付します。(別添2)
II. ICMRA(薬事規制当局国際連携組織)
1.イノベーションプロジェクトの開始
今回会合で、日本が提案した活動計画書に基づき、「イノベーションプロジェクト」を開始することに合意しました。同プロジェクトでは以下3つの活動を行い、革新的技術に対する早期の規制対応を各国協調のもと促進する予定です。
− 各国が実施しているホライゾン・スキャニング(※)の方法論の分析
※ レギュラトリーサイエンスに基づき、どのような革新的技術が登場しつつあるのか網羅的調査と、それが規制に及ぼす影響の評価を行い、革新的技術に対する適切な規制構築に役立てる取組
− 各国がこれまで実施したホライゾン・スキャニングの結果の活用
− 承認制度に関する新規のアプローチ(※)の各国比較
※ 日本における先駆け審査指定制度等
2.成果文書の合意
既存プロジェクトとして実施してきた活動のうち、以下2つの報告書が基本的に合意され、最終化した後にICMRAホームページを通じて公開されることになりました。
(1)サプライチェーンの一貫性
医薬品の流通時の品質確保等のため、各国の流通網における追跡システム間の情報共有等が促進されるよう、追跡システムの整備における推奨事項をまとめたもの
(2)医薬品安全性監視におけるビッグデータの活用状況
医薬品安全性監視における各国規制当局のビッグデータの活用状況をまとめ、各国に共通する課題やデータの共同利用等のための推奨事項をまとめたもの
3.その他
(1)危機管理のための協力
公衆衛生上の緊急事態が発生した際の各国規制当局及びWHO間の情報共有ネットワークの強化を行うこととなりました。
(2)ICMRAへの新規参加当局の承認
ICMRAへの新規参加当局として、イスラエル保健省が承認されました。
4.薬事規制当局サミットとICMRAの統合
前掲I.1に同じ。
III. 二国協議
本サミット期間中に日本が実施した二国間協議の主な成果は次のとおりです。
・欧州(EC/EMA)
- 期的人材交流(相互)の基本合意
- 再生医療等製品分野の協力促進
・ポーランド(URPL)
- 守秘情報の共有に関する交換書簡を署名(同書簡により、非公開の規制情報を共有するとともに、ポーランドのMDSaP(医療機器単一調査プログラム)への参加が認められる予定。)
・デンマーク(DMA)
- 守秘情報の共有に関する交換書簡作成の基本合意と二国間協力の促進
・英国(MHRA)
- 互に関心ある分野の特定と相互協力の促進
・サウジアラビア(SFDA)
- 薬事規制分野の協力覚書(MOC)作成の基本合意と二国間協力の促進
これらの他、米国(USFDA)、ミャンマー(FDA Myanmar)、韓国(MFDS)、インドネシア(NA-DFC)とも二国間協議を実施し、日本と相手国の最近の規制制度変更や施策の情報交換や、二国間協力の推進について議論しました。
IV. アジアンネットワーク会合
10月25日(水)に、日本等の呼びかけにより、今般サミットに参加したアジア9か国(※)の代表等による「アジアンネットワーク会合」が初めて開催されました。今回の会合では、今後、薬事規制当局サミットの開催にあわせて、年一回本会合を開催することに合意しました。日本は、本会合を通じて、アジア各国にICH(医薬品規制調和国際会議)等の多国間の取組への参加を通じた薬事規制調和の推進を促す予定です。
※ 日本、韓国、中国、シンガポール、インド、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ミャンマー
V. 薬事規制当局サミットシンポジウム(公開)
薬事規制当局サミットシンポジウムの概要は以下のとおりです。なお、本シンポジウムの講演資料を、講演者の了解を得た上で、後日PMDAウェブサイトに掲載する予定です。
(シンポジウム概要)
日時:平成29年10月27日(金)10:00-17:45
場所:国立京都国際会館(京都市左京区宝ヶ池)
主催:厚生労働省、医薬品医療機器総合機構、京都府、DIA Japan
後援:日本製薬工業協会、日本医療機器産業連合会
参加者:約1500名(医薬品医療機器業界関係者、京都府関係者、大学関係者、医療従事者等)
主な内容:
・革新的技術とその実用化のために
主な講演者:京都大学iPS細胞研究所所長 山中伸弥、欧州医薬品庁長官 Guido Rasi、日本製薬工業協会会長 畑中好彦、日本医療機器産業連合会会長 渡部眞也
・薬事規制当局の取組と挑戦〜 第12回薬事規制当局サミットとICMRA会合の結果を中心に〜
主な講演者:PMDA理事長 近藤達也、厚生労働省大臣官房審議官(医薬担当)森和彦、ICMRA議長・英国医薬品庁長官 Ian Hudson、薬事規制当局サミット及びICMRAの主要な規制当局代表
(別添1)参加規制当局リスト(PDF:56KB)
(別添2)第12回薬事規制当局サミットの結果概要(PDF:352KB)