令和元年5月30日 |
報道関係者 各位
平成31年度輸入食品等モニタリング計画の改正について
(韓国産ヒラメ等に係る衛生対策の確保)
夏の食中毒シーズンの到来にあたり、6 月より、寄生虫のクドアによる食中毒が継続して発生している韓国産ヒラメなどを対象とする輸入鮮魚介類の検査を全国の検疫所で強化するため、本日、「平成31年度輸入食品等モニタリング計画」を改正したのでお知らせします。
【主な内容】 <輸入対策> 平成31 年度輸入食品等モニタリング計画の改正 ○韓国産ヒラメに対するKudoa septempunctata のモニタリング検査を輸入届出の20%から40%へ、2倍とする。 ○生食用冷蔵むき身アカガイ、タイラギガイ、トリガイ、ウニに対する腸炎ビブリオのモニタリング検査を輸入届出の10%から20%へ、2倍とする。 ※違反の蓋然性が高いと認めた場合は、検査率100%の適用が可能(命令検査)であり、今後の検査結果を踏まえて、検査率の更なる引き上げを視野に順次措置。 |
【生食用養殖ヒラメの検査について】
ヒラメに「クドア」という寄生虫が発見され、日本国内では、韓国産ヒラメを原因とした食中毒が年間10 件程度、発生しています。
そのため、モニタリング検査を輸入届出の20%から40%へ、2倍とし、輸入される韓国産ヒラメの安全性確保に努めることにしました。
【生食用冷蔵むき身アカガイ、タイラギガイ、トリガイ、ウニの検査について】
昨年度、輸入むき身ウニを原因とする腸炎ビブリオ食中毒が国内で発生しました。腸炎ビブリオは、短時間で増殖する病原微生物のため、加工時、流通時、保管時における衛生管理が必要です。
そのため、気温が上昇する6月より、モニタリング検査を輸入届出の10%から20%へ、2倍とし、輸入される生食用冷蔵むき身アカガイ、タイラギガイ、トリガイ、ウニの安全性確保に努めることにしました。
平成31 年度輸入食品等モニタリング計画の改正に関するQ&A
Q1.なぜ、韓国産ヒラメの検査を強化することになったのですか
A1.国内で、韓国産ヒラメ等において、寄生虫クドアを原因とする食中毒が発生していることから、韓国産ヒラメの輸入が増加する6 月から、輸入時の検査を強化することとしました。
Q2.なぜ、生食用冷蔵むき身アカガイ、タイラギガイ、トリガイ、ウニについて、検査を強化することになったのですか
A2.昨年、国内において、輸入ウニを原因とした腸炎ビブリオ食中毒が発生したため、腸炎ビブリオ食中毒が増加する夏期に、リスクの高い同種の食品(生食用冷蔵むき身介類)の検査を強化することとしました。
Q3.韓国産ヒラメの検査が強化されていますが、これは、WTO上級委員会報告書を踏まえた韓国への対抗措置ではないのですか
A3.韓国への対抗措置ではありません。近年、国内で食中毒が発生していることを踏まえ、夏期の食中毒増加を前に、国民の健康を保護する観点から実施するものです。
Q4.クドアとは何ですか
A4.Kudoa septempunctata(以下、「クドア」という。)は、ヒラメに寄生するクドア属の寄生虫(粘液胞子虫)の一種です。
クドアによる食中毒は、ヒラメの刺身等に関連するものが多く、 食後数時間程度で一過性の嘔吐や下痢を呈し、軽症で終わる症状が特徴です。
このため、筋肉1グラムあたりのクドアの胞子数が1.0×106個を超えることが確認されたヒラメは、食品衛生法第6条に違反するものとして取扱うこととしています。
Q5.韓国産ヒラメの食中毒は年間何件ぐらい起きていますか
A5.
韓国産活ヒラメが原因のクドア食中毒事例(食中毒と断定されたもの)
2015 | 2016 | 2017 | 2018 | ||
韓国産 | 件数 | 8 | 10 | 5 | 7 |
患者数 | 62 | 113 | 47 | 82 |
Q6.腸炎ビブリオとは何ですか
A6.海(河口部、沿岸部など)に生息する病原微生物の一種です。真水や酸に弱く、室温でも速やかに増殖します。3%前後の食塩を含む食品中でよく増殖します。
潜伏期は8~24 時間。腹痛、水様下痢、発熱、嘔吐の症状があります。
生食用鮮魚介類については、腸炎ビブリオの最確数は、検体1gにつき100 以下と成分規格で定められています。
Q7.腸炎ビブリオによる食中毒は年間何件ぐらい起きていますか
A7.腸炎ビブリオに関する規格基準が策定された平成13 年には、年間308 件(患者数3,065人)、平成30 年は22 件(222 人)確認されています。
Q8.違反が確認された場合、更に検査強化されますか
A8.違反の蓋然性が高いと認めた場合は、検査率100%の適用が可能(命令検査)であり、今後の検査結果を踏まえて、検査率の更なる引き上げを視野に順次措置します。