参照元URL : https://www.mhlw.go.jp/haishin/u/l?p=_QE74QND9qDVH4hvY
【照会先】
医薬・生活衛生局総務課
国際薬事規制室
(担当・内線)
室長 安田 尚之(4223)
専門官 岩瀬 怜(4224)
(代表電話) 03(5253)1111
(ダイヤルイン) 03(3595)2431
報道関係者各位
第8回医薬品規制調和国際会議(ICH)が開催されました
令和元年6月1日から6日まで、第8回医薬品規制調和国際会議(ICH)が開催され(於:アムステルダム)、主に以下の進捗がありました。
1.ICHガイドラインの作成を行う新規トピックとして、「GCPの改正」「遺伝子治療製品の生体内分布」等の5課題を採択。うち、4課題は、次回会合までに作業部会を設置し、活動を開始予定。
2.今後の中長期的な規制調和の分野として、「リアルワールドデータを用いた薬剤疫学解析」を開始することを合意。
次回は、令和元年11月16日から21日まで、シンガポールで開催予定です。
以下では、本会合の進捗について詳細を説明します。
※ ICH(International Council for Harmonization of Technical Requirements for Pharmaceuticals for human use、医薬品規制調和国際会議)は、平成2年に始まった日米EU医薬品規制調和国際会議を基礎に、平成27年にスイス法に基づく非営利法人として設立された組織です。医薬品の品質・有効性・安全性の評価等に係る技術的なガイドラインを協働作成することで、各国の規制の調和等に貢献しています。本組織の詳細については、ICH法人の設置に関する平成27年10月26日付け厚生労働省プレスリリースをご覧下さい。
1.新規トピックの採択
今後ICHガイドラインの作成を行う新規トピックとして、以下の5課題が採択されました。
(1)採択され、次回会合までに作業部会を設置するもの(4課題)
トピック(コード) | 提案団体 | 内容 |
医薬品の臨床試験の実施基準(E6(R3)) | FDA | 現在のICH-GCPを改訂し、規制目的に使う臨床試験の基準について、横断的な事項と追加事項に分けて整理していくもの。追加事項は、まず典型的な臨床試験について検討を行い、その後、観察研究・リアルワールドデータ研究を対象にした検討を進める。 |
ヒト又は動物細胞株を用いて製造されるバイオテクノロジー応用医薬品のウイルス安全性評価(Q5A(R2)) | FDA | ウイルス安全性試験のガイドラインを、最新の科学的知見を基に改訂するもの。 |
承認後の安全性情報の取扱い:緊急報告のための用語の定義と報告の基準(E2D(R1)) | PhRMA、EFPIA | 現行のE2Dガイドラインに、新たな情報源から得られる副作用情報の取扱い等の追加改訂を行うもの。 |
遺伝子治療製品の非臨床生体内分布試験(S12) | MHLW/PMDA | 遺伝子治療製品の体内動態・分布についての方法・考え方に関する新しいガイドライン策定をするもの。 |
(2)採択されたが、今後作業部会の設置時期を調整するもの(1課題)
トピック(コード) | 提案団体 | 内容 |
不純物:医薬品及び生物製剤の溶出物及び滲出物(E&L)の評価と管理(Q15) | PhRMA | 医薬品の容器等から溶け出た不純物の測定法・管理基準を定めるもの。 |
2.戦略的規制調和分野に係るリフレクションペーパーの合意
ICHにおいて、今後の中長期的な規制調和を戦略的に検討していく分野を示すリフレクションペーパーとして、以下が合意されました。
タイトル | 提案団体 | 内容 |
リアルワールドデータをより効果的に活用するための薬剤疫学解析の科学的・技術的要件に係る国際調和の戦略的アプローチ | MHLW/PMDA | 医薬品の市販後の安全対策に、リアルワールドデータを用いた薬剤疫学解析を活用する手法を調和するための課題を整理するもの。今後、検討グループを設置し、用語の共通化、様式の統一等から検討を開始予定。 |
3.既存の作業部会の成果
既存の作業部会において、次のとおり進捗がありました。
ステップ | 作業部会名 | 内容 |
ステップ4到達(ICH総会での文書採択・今後各国で通知等を発出) | E2B:症例報告の電子的送信 | 副作用等の症例報告を行う電子的送信システムに関して、技術的補足をするためのQ&A。 |
4.ICH組織等の変更
(1)新規オブザーバーの承認
本会合で、アルゼンチン医薬品食品医療技術管理局(ANMAT)、イスラエル保健省医薬品・監督センター(CPED)、ヨルダン食品医薬品局(JFDA)、サウジアラビア食品医薬品局(SFDA)が、新規の規制当局オブザーバーとして承認されました。
これにより、ICHメンバーは16団体、オブザーバーは32団体となりました(参考1参照)。
(2)ICH総会副議長の選出
任期途中の退任に伴うICH総会副議長選挙が行われ、ヘルスカナダのCelia Lourenco氏が選出されました。
(3)IPRP管理員会の議長・副議長の選出
ICHに併せて開催されたIPRP(International Pharmaceutical Regulators Programme、国際薬事規制当局プログラム、参考2参照)において、管理委員会議長・副議長(任期(1年))の選挙が行われ、新議長にPMDAの佐藤淳子国際部長が、副議長にトルコ医薬品医療機器庁(TITCK)のHacer Co?kun Cetinta?氏が、それぞれ選出されました。
(参考1)ICH参加団体一覧(令和元年6月時点(下線:今回承認))
【メンバー(16団体)】
○創設規制当局メンバー(3):厚生労働省/医薬品医療機器総合機構(MHLW/PMDA)、米国食品医薬品局(FDA)、欧州委員会/欧州医薬品庁(EC/EMA)
○創設産業界メンバー(3):日本製薬工業協会(JPMA)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)
○常任規制当局メンバー(2):ヘルスカナダ、スイスメディック
○規制当局メンバー(5):ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)、中国国家食品薬品監督管理総局(CFDA)、シンガポール保健科学庁(HSA)、韓国食品医薬品安全処(MFDS)、台湾食品薬物管理署(TFDA)
○業界団体メンバー(3):バイオテクノロジーイノベーション協会(BIO)、国際ジェネリック・バイオシミラー医薬品協会(IGBA)、世界セルフメディケーション協会(WSMI)
【オブザーバー(32団体)】
○常任オブザーバー(2):世界保健機関(WHO)、国際製薬団体連合会(IFPMA)
○規制当局オブザーバー(17):アルゼンチン医薬品食品医療技術管理局(ANMAT)、インド中央医薬品基準管理機構(CDSCO)、キューバ国家医薬品医療機器管理機関(CECMED)、メキシコ連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)、イスラエル保健省医薬品・監督センター(CPED)、コロンビア医薬品食品監督庁(INVIMA)、ヨルダン食品医薬品局(JFDA)、モルドバ医薬品医療機器庁(MMDA)、イラン国家規制当局(NRA)、マレーシア国家医薬品規制庁(NPRA)、南アフリカ医療製品規制当局(SAHPRA)、カザフスタン国家医薬品医療機器専門機関、ロシア連邦保健・社会発展省(Roszdravnadzor)、アルメニア医薬品医療技術専門科学センター(SCDMTE)、サウジアラビア食品医薬品局(SFDA)、オーストラリア医療製品管理局(TGA)、トルコ医薬品医療機器庁(TITCK)
○地域調和イニシアティブ(6):東南アジア諸国連合(ASEAN)、アジア太平洋経済協力(APEC)、東アフリカ共同体(EAC)、湾岸協力理事会(GCC)、汎アメリカ医薬品規制調和ネットワーク(PANDRH)、南部アフリカ開発共同体(SADC)
○業界団体オブザーバー(1):医薬品原薬委員会(APIC)
○医薬品関連国際団体(6):ビル&メリンダ・ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation)、国際医学団体協議会(CIOMS)、欧州医薬品医療品質部門(EDQM)、国際医薬品添加物機関(IPEC)、医薬品査察協同スキーム(PIC/S)、米国薬局方(USP)
(参考2)IPRP
IPRP(International Pharmaceutical Regulators Programme、国際薬事規制当局プログラム)は、日本、米国、EU、カナダ、スイス等26か国の規制当局が参加し、ICHでは取り扱わない規制当局間の協力や、規制情報に関する交換等を実施しています。年2回、ICHに併せて対面会合を開催します。