[詳細報告]
分野名 細菌性食中毒
衛研名 世田谷区衛生検査センター
報告者
事例終息 事例終息
事例発生日 2018/07/04
事例終息日 2018/07/12
発生地域 東京都世田谷区
発生規模 東京都世田谷区 区内保育園1園
患者被害報告数 34名
死亡者数 0名
原因物質 腸管出血性大腸菌O121(VT2)
キーワード 腸管出血性大腸菌O121、腸管出血性大腸菌O121・VT2、保育園
概要:
2018年7月4日から7月12日にかけて、東京都世田谷区内の保育園において、園児、保育園職員(園児28名、職員6名、合計34名)が下痢、腹痛等の症状を呈した。 その後東京都健康安全研究センターにおいて実施された給食の検食(冷菜)及び患者検便の検査において、腸管出血性大腸菌O121が検出された。しかし、保存検食の冷菜の原材料(鶏肉、卵、きゅうり、きゃべつ、春雨)からは腸管出血性大腸菌O121は検出されず、すべて加熱工程があり、汚染原因は不明であった。 当センターでは、8月から9月の間に、菌陰性化確認検便及び関係者検便を延べ56件実施した。結果はすべて陰性であった。
背景:
地研の対応:
8月から9月にかけて、菌陰性化確認検便及び関係者検便については当センターにて検査を実施した。
行政の対応
世田谷保健所は、7月3日に保育園が調理し提供した昼食の給食が原因の食中毒と断定し、当該保育園に対し、7月26日から7月30日までの5日間の食事の供給停止の処分を行った。 7月26日、東京都より報道発表を行った。 7月30日に当該保育園の調理従事者及び職員に対し、食中毒再発防止講習会を実施した。 8月8日に当該保育園と世田谷保健所(食品衛生担当、感染症対策担当)の職員から、保護者への説明会を行った。併せて保健所保健師による保育園職員に向けた感染症対策に係る出張講義を行った。
原因究明:
世田谷保健所職員(食品衛生担当、感染症対策担当)が当該保育園への立ち入り調査を実施した。 調査の結果、次の事実が判明したため、7月3日に当該保育園が調理し提供した昼食を原因とする食中毒と断定した。 ・当該保育園では2018年7月4日から7月12日にかけて、園児88名中28名及び職員36名中6名(調理従事者1名を含む)の合計34名が下痢、腹痛等の症状を呈した。 ・園児及び職員の検便検査を実施したところ、104名中37名(調理従事者2名を含む)から腸管出血性大腸菌O121を検出した。 ・検食の検査を実施したところ、7月3日の昼食(冷菜)から腸管出血性大腸菌O121を検出した。 ・患者の共通食は当該保育園が提供する食事のみであった。 ・患者の症状と7月3日の給食を起点とする潜伏期間は、腸管出血性大腸菌食中毒のものと合致していた。 ・患者を診察した医師から食中毒患者等届出票が提出された。
診断:
地研間の連携:
東京都健康安全研究センターにて原因解明後、菌陰性化確認検便及び関係者検便については当センターにて検査を実施した。(保健衛生事業に係わる都区協定により、食中毒等の事件性が疑われる事例では東京都で検査を行う。)
国及び国研等との連携:
事例の教訓・反省:
現在の状況:
今後の課題:
2019年度内に、腸内細菌検査を担当する全職員を対象とした腸管出血性大腸菌O103、O121、O145の実技研修を実施し、2020年度以降の患者及び関係者検便の通年受け入れを予定している。
問題点:
関連資料:
東京都食品衛生監視員協議会研究発表会 第78回日本公衆衛生学会総会発表