No.19005 いわゆる健康食品から医薬品成分タダラフィルを検出した事例

[詳細報告]

分野名 化学物質による食品汚染
衛研名 川崎市健康安全研究所
報告者 水質・環境担当 泉 浩人
事例終息 事例終息
事例発生日 2019/02/19
事例終息日 2019/02/19
発生地域 川崎市
発生規模 単発
患者被害報告数 0名
死亡者数 0名
原因物質 タダラフィル
キーワード タダラフィル、いわゆる健康食品、無承認無許可医薬品

概要:
川崎市では、いわゆる健康食品による健康被害発生の未然防止のため、市内で流通販売される製品の買上げ調査を実施している。平成30年度の買上げ調査として、強壮、痩身を目的とする健康食品の試験検査を実施した。その結果、市内の店舗で販売していた強壮を標榜する1製品から長時間型ED治療薬であるタダラフィルを検出した。具体的な強壮を標榜する記載について、当該商品の包装にご利用上の注意として「行為の5~6時間前に1錠を水でお飲みください。」、「極度に弱いと思われる方は1~2時間前に更に1錠を噛み砕いてお飲みください。」と印刷されていた。また、当該商品のウェブサイトでは、「まぼろしの強壮剤がついに解禁!!」、「夜の生活をとにかく元気にしたい貴男へ。」等の記載があり、通信販売も行われていた。

背景:
健康志向の高まりに伴い、テレビやインターネットを通じて健康に関わる情報が氾濫しており、多種多様な「いわゆる健康食品」も広く流通している。これらの製品の中には、標榜内容や表示が医薬品に該当するもの、さらには医薬品成分そのものや医薬品を化学的に修飾した成分を含有するもの等、無承認無許可医薬品に該当する製品も流通しており、それらの製品の摂取による死亡事例を含む健康被害が報告されている。

地研の対応:
形状:錠剤、内容量:3.6 g(0.6 g×6錠)の製品から1錠あたり3.9 mgのタダラフィルを検出した。製品の表示から、1回量が1~2錠と読み取れることから、1回量で薬効量に相当する量となり、服用した場合に健康被害が出る恐れがあった。検出した成分がタダラフィルと確実に同定するために、LC-TOFMSにてMSMSスペクトルのフラグメント解析等を行った。その他に、シルデナフィル、バルデナフィル、ホンデナフィル、チオキナピペリフィル、ヨヒンビン、グリベンクラミドの検査を行ったが、いずれも不検出であった。

行政の対応:
買上げを行った店舗に対して、製品の回収等の指導を行うとともに、販売者を所管する東京都へ指導を依頼した。また、厚生労働省及び本市ホームページに製品に関する情報を掲載し、市民に注意喚起を行った。これまでに健康被害の情報はない。

原因究明:

診断:

地研間の連携:
なし

国及び国研等との連携:
なし

事例の教訓・反省:
全国にチェーン展開するディスカウントストアの市内店舗において販売されていた無承認無許可医薬品を発見し、流通拡大を防ぐことができた。今後とも買上げ調査を継続して行い、健康被害発生の未然防止に努めていく必要がある。

現在の状況:
LC-TOFMS(ABSciex 5600+ )による定量及び定性検査

今後の課題:
標準品がない、医薬品を化学的に修飾した成分についても対応できるよう、検討していく。

問題点:

関連資料: