No.19006 医薬品成分を含有する製品の発見

[詳細報告]

分野名 その他
衛研名 岐阜県保健環境研究所
報告者 生活科学部 神山恵理奈
事例終息 事例終息
事例発生日 2019/06/25
事例終息日 2019/07/03
発生地域 岐阜県内
発生規模 摂食者1名
患者被害報告数 1名
死亡者数 0名
原因物質 シブトラミン、フェノールフタレイン
キーワード 岐阜県報道資料、健康食品、Golean DETOX、医薬品成分、シブトラミン、フェノールフタレイン

概要:
 2019年6月25日、いわゆる健康食品が原因と疑われる健康被害について、岐阜県在住の方から保健所に相談があった。相談者はソーシャルネットワークサービスを通じて購入した製品「Golean Detox」を摂取したところ、体調の異変を感じ、医療機関を受診した。製品外箱には、「Usages: Help enhancing fat metabolism, help weight loss, and reduce the risk of obesity.」という痩身効果を標ぼうする表記があった。相談者の症状は、血圧上昇、動悸、口渇、脱力感、むかつきであった。また、当該製品は、2019年1月29日に米国食品医薬品局(FDA)が医薬品成分を含有する製品として注意喚起した製品と同一製品名であった。相談者から提供を受けた製品(未開封個包装)についてLC-MS/MSを用いて成分検査を実施したところ、カプセル内容物からシブトラミンが1カプセルあたり9 mg、フェノールフタレインが1カプセルあたり30 mg検出された。

背景:
 いわゆる健康食品は、健康志向の高まりから広く利用されているが、その効果を高めるために違法に医薬品成分や医薬品類似成分を含有した製品が流通し、それを摂取したことが原因と疑われる健康被害事例が報告されている。

地研の対応:
 カプセル内容物について、LC-MS/MSを用いた一斉分析を行い、前述の2成分を検出した。定量イオン及び確認イオンのピークを検出するとともに、イオン比も標準品と一致することを確認した。

行政の対応:
6月25日:相談を受けた保健所は、当該食品の摂取を直ちにやめるよう指導した。6月28日:当該製品がFDAの注意喚起している製品と同一であると推測されたため、早期の注意喚起が必要と判断し、県薬務水道課において報道発表した。7月 3日:検査結果を受けて、改めて医薬品成分を含有する製品の発見について報道発表した。また、医薬品成分を含むものを厚生労働大臣の承認を受けずに製造販売することは法違反となるため、販売者の住所地である愛知県へ情報提供した。

原因究明:
 シブトラミンは、海外諸国では肥満症に適応のある医薬品として承認されているが、日本国内では承認されていない。副作用として、血圧上昇、心拍数増加、頭痛、口渇、便秘、鼻炎等が知られている他、米国では死亡事例も報告されている。また、フェノールフタレインは、医薬品(下剤)として使用されたこともあるが、発がん性等の恐れがあるため、現在は医薬品として使用されていない。相談者の主症状である血圧上昇、動悸、口渇は、シブトラミンの副作用と一致することから、当該製品の摂取が原因と推察された。

診断:

地研間の連携:

国及び国研等との連携:
6月28日及び7月3日の報道発表については、厚生労働省からも公表されている。

事例の教訓・反省:

現在の状況:
 当県で毎年実施している健康食品試買調査における検査体制が、本事例における緊急検査に活かされた。検査法及び標準品が整備されており、検査技術も習得されていたため、短期間での迅速な検査が可能であった。

今後の課題:
 いわゆる健康食品から検出される医薬品成分は年々多様化しているため、多成分かつ新規成分にも対応できるよう検査法の改良、標準品の整備等を継続的に実施していく必要がある。

問題点:

関連資料: