[詳細報告]
分野名 細菌性食中毒
衛研名 函館市衛生試験所
報告者 微生物担当 郡 和博
事例終息 事例終息
事例発生日 2018/12/18
事例終息日 2019/01/07
発生地域 函館市
発生規模 喫食者数821名
患者被害報告数 157
死亡者数 0
原因物質 黄色ブドウ球菌(推定)
キーワード 学校給食施設、黄色ブドウ球菌、食中毒
概要:
2018年12月18日17時頃,市内A校学校内にいた生徒および教員が,吐き気,嘔吐,腹痛等の症状を呈し,10名が救急搬送され,うち4名が入院した。最終的に,A校および給食の提供を受けていたB校において生徒154名,教員3名が同様の症状を呈し,96名が通院し,うち14名が入院した。有症者の主な症状は,吐き気(75.8%),腹痛(62.1%),嘔吐(56.9%)であり,潜伏時間別患者発生数は3~6時間(115名)が最も多かった。
背景:
黄色ブドウ球菌による食中毒は,近年では発生数は減少傾向であるが,2000年に加工乳等を原因とした患者数13,000名を超える大規模食中毒の発生があり,依然として食品衛生上重要な毒素型食中毒である。
地研の対応:
施設ふき取り84件,食品(12月17~18日の検食)17件,患者便9件,調理従事者便12件について当所で細菌検査を行った。
行政の対応:
原因施設を管轄する保健所が中心となり,疫学調査を実施し,食中毒事件として扱った。原因食品や感染経路の特定ができなかったため,行政指導として,教育委員会に対しては,学校給食施設の老朽化による不具合も含め衛生管理を指導,また給食調理委託業者に対しては,衛生管理および衛生教育の徹底を指導した。
再発防止対策として,関係部局による対策検討会議を立ち上げて,施設設備の改善および改修を実施した。
原因究明:
・同一日に同一の食材を提供した他の給食調理施設では患者の発生報告がなく,共通食が給食のみであることから,A校の学校給食調理施設を原因施設と判断した。
・原材料は当日納品で,調理は洗浄・細切から完成まですべて当日調理したものであった。
・検査材料は,施設ふき取り84件,食品17件,患者便9件,調理従事者便12件で,そのうち患者便7件,調理従事者便5件から黄色ブドウ球菌が検出された。
・黄色ブドウ球菌のコアグラーゼ型とエンテロトキシン産生性は,統一性が見られず,多数の型が検出された。
・黄色ブドウ球菌が検出された調理従事者5名のうち4名が給食を喫食していないことから,環境面の汚染も疑われたが,拭きとり・食品検体ともに黄色ブドウ球菌は検出されなかった。
・有症者から高率で黄色ブドウ球菌が検出されていること,食中毒症状が一峰性であり,主な症状が吐き気,嘔吐,腹痛等であることなどから,黄色ブドウ球菌による食中毒と推定した。
診断:
地研間の連携:
国及び国研等との連携:
事例の教訓・反省:
現在の状況:
今後の課題:
問題点:
関連資料: