参照元URL : https://www.mhlw.go.jp/haishin/u/l?p=g32-4CPEVLSr_DYRY
【照会先】
健康局結核感染症課
感染症情報管理室長 梅田 浩史
係長 山田 大悟
(代表電話) 03(5253)1111
報道関係者各位
フィリピンから来日後に狂犬病を発症した患者(輸入感染症例)について
本日(5月22日)、豊橋市及び静岡市から、フィリピンより来日した方が、現地で狂犬病ウイルスに感染し、国内で発症したことが以下の通り報告されましたので,ご報告いたします。( 別紙1:豊橋市プレスリリース資料、 別紙2:静岡市プレスリリース資料参照)
本日、検疫所、自治体及び日本医師会に対し、狂犬病の流行地域に渡航する者に対して感染防止のための注意喚起を行うとともに、流行地域で動物に咬まれた者への暴露後ワクチン接種等の対応について、周知徹底を通知予定です。
(その他)
今後とも、迅速で正確な情報提供に努めますので、国民の皆様への正確な情報提供に御協力をお願いします。なお、現場での取材は、患者の方のプライバシー保護といった観点からも、お控えください。
(注)狂犬病は、通常、ヒト-ヒト感染することはなく、感染した患者から感染が拡大することはありません。
(参考)狂犬病について
1 病原体:狂犬病ウイルス
2 感染動物:全ての哺乳類(アジアでは犬が主な感染源)
3 感染経路:通常は罹患動物による咬傷の部位から、唾液に含まれるウイルスが侵入。通常、ヒトからヒトに感染することはなく、感染した患者から感染が拡大することはない。
4 発生状況:日本、豪州、英国、スカンジナビア半島の国々など一部の地域を除いて、全世界に分布
(1)世界の発生状況(WHO、2017年)
年間の死亡者数推計 59,000人(うち、アジア地域35,000人、アフリカ地域21,000人)
(2)フィリピンにおける人の狂犬病発生状況(「フィリピン当局HPより」)
2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
発生数 | 266例 | 245例 | 259例 | 262例 |
(3)我が国における発生状況
1953年 | 1954年 | 1955年 | 1956年 | 1957年以降 | |
死亡者数 | 3人 | 1人 | 0人 | 1人 | 発生なし(※) |
犬の発生数 | 176頭 | 98頭 | 23頭 | 6頭 | 発生なし |
※1957年に猫での発生を最後に動物での発生はない。
※1970年に狂犬病発生地(ネパール)を旅行中、犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例が1例。
※2006年に狂犬病発生地(フィリピン)を旅行中、犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例が2例。
5 潜伏期: 通常1~3ヶ月程度だが、長い場合には1年以上の場合もある。
6 診断と治療
臨床症状
・前駆期;発熱、食欲不振、咬傷部位の痛みや掻痒感
・急性神経症状期;不安感、恐水及び恐風症状、興奮性、麻痺、幻覚、精神錯乱などの神経症 状
・昏睡期;昏睡(呼吸障害によりほぼ100%が死亡)
病原体生前診断
①RT-PCR法による病原体の遺伝子の検出(唾液等)
②蛍光抗体法(FA)や免疫組織科学的手法によるウイルス抗原の検出(皮膚)
③分離・同定による病原体の検出(唾液)
治療:発病後の有効な治療法はない。
7 発症予防:罹患動物に咬まれた場合の治療として、ワクチン接種などにより行う日本で医薬品として承認されているワクチンは以下の2種類である。
① 「組織培養不活化狂犬病ワクチン」
② 「ラビピュール筋注用」
※ワクチンの種類によって接種スケジュールや接種部位が異なる。
【関連通知】
2020年5月22日【自治体宛て】 狂犬病の流行地域より入国し当該疾病への感染が疑われる者の診療等に関する周知の徹底について(依頼)( 別添)
2020年5月22日【検疫所宛て】 狂犬病の感染予防のための海外渡航者に対する注意喚起について(別添)
2020年5月22日【日本医師会宛て】 狂犬病の流行地域より入国し当該疾病への感染が疑われる者の診療等に関する周知の徹底について(依頼)( 別添)
2020年5月22日【日本獣医師会宛て】 フィリピンからの入国後に狂犬病を発症した患者(輸入感染症例)について(情報提供)( 別添)
(参考情報)
厚生労働省HP「狂犬病」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/
厚生労働省HP「狂犬病に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/07.html