No.20007 小学校におけるジャガイモによる食中毒

[ 詳細報告 ]

分野名:自然毒等による食中毒
衛研名:兵庫県立健康科学研究所
報告者:健康科学部 吉岡 直樹
事例終息:事例終息
事例発生日:2019/07/09
事例終息日:2019/07/09
発生地域:兵庫県宝塚市
発生規模:33名(喫食者:教諭3名、児童30名)
患者被害報告数:16名
死亡者数:0名
原因物質:ソラニン類(α-ソラニン、α-チャコニン)
キーワード:ジャガイモ、ソラニン、チャコニン、小学校

概要:
小学校において、家庭科の授業として校内で栽培したジャガイモを収穫後、すぐに調理して喫食した5年生児童及び教員33名のうち16名が、腹痛、吐き気等の症状を訴えた。

背景:
(※対象項目データは登録されていません)

地研の対応:
健康福祉事務所(保健所)から搬入された検体及び対照とした市販品のじゃがいもについて、α-ソラニン及びα-チャコニンの定量分析を行った。

行政の対応:
健康福祉事務所が喫食及び有症者調査を行った。検査結果を含めた調査及び医師から食中毒の届出があったことから、本事例はジャガイモを原因とする食中毒と断定し、令和元年7月12日に記者発表を行った。

原因究明:
本事例の喫食残品自体は残っていなかったため、調理時に廃棄されたジャガイモの皮及び採取した場所と同じ場所で栽培された未収穫のジャガイモ並びに有症者のうち1名の病院における胃洗浄液を試料として用い、LC-MS/MSにより分析した。その結果、調理に使用したジャガイモの皮からα-ソラニン及びα-チャコニン(合計量)を120, 150 mg/100 g検出し、未収穫のジャガイモ全体からは26~45 mg/100 g検出したほか、胃洗浄液からも微量検出した。喫食調査の結果から、皮が付いたままのジャガイモを喫食した児童もいたことが判明した。過去の中毒事例においては、小学6年生児童の中毒発症量(発症率50%)は15.6 mg(α-ソラニン及びα-チャコニンの合計量)という報告があり、本事例での未収穫の小型ジャガイモ(平均重量約23 g)では、皮ごと全体を喫食すると約35 g(1個半程度)で発症する可能性があると推定された。

診断:
(※対象項目データは登録されていません)

地研間の連携:
令和元年度地方衛生研究所全国協議会近畿支部自然毒部会研究発表会において事例発表を行い、情報共有を図った。

国及び国研等との連携:
(※対象項目データは登録されていません)

事例の教訓・反省:
(※対象項目データは登録されていません)

現在の状況:
全国的に発生頻度の高い自然毒標準品については定期的に購入し、常に測定可能な体制にしている。

今後の課題:
(※対象項目データは登録されていません)

問題点:
(※対象項目データは登録されていません)

関連資料:
吉岡直樹,四方浩人:小学校の調理実習で発生したジャガイモによる食中毒事例.兵庫県立健康科学研究所研究報告,2,32-36 (2020)

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