アストラゼネカ社の新型コロナワクチンについて

参照元URL : https://www.mhlw.go.jp/haishin/u/l?p=s0iZ-PrtJkh27sQhY

健康・医療

アストラゼネカ社の新型コロナワクチンについて

 アストラゼネカ社の新型コロナワクチンの有効性・安全性などに関する情報をお届けします。

特徴

ワクチンの種類

本剤はウイルスベクターワクチンであり、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要なタンパク質)のアミノ酸配列をコードする遺伝子をサルアデノウイルス(風邪のウイルスであるアデノウイルスに、増殖できないよう処理が施されています。)に組み込んだ製剤です。本剤接種により遺伝子がヒトの細胞内に取り込まれると、この遺伝子を基に細胞内でウイルスのスパイクタンパク質が産生され、スパイクタンパク質に対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導されることで、SARS-CoV-2による感染症の予防ができると考えられています。

接種対象者

 本剤は、接種する日に原則40歳以上の方(特に必要がある場合は18歳以上の方)に接種を行います。

接種方法

 通常は、三角筋(上腕の筋肉)に、1回0.5mLを筋肉注射という方法で接種します。

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接種回数と接種間隔

・1回目の接種後、通常、4~12週間の間隔(※)で2回目の接種を受けてください。
(※)最大の効果を得るためには、8週以上の間隔をおいて接種することが望ましいとされています。
・接種後12週間を超えた場合は、できるだけ速やかに2回目の接種を受けてください。
・1回目に本ワクチンを接種した場合は、2回目も必ず同じワクチン接種を受けてください。

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有効性について

 新型コロナウイルス感染症の発症を予防します。
本ワクチンの接種を受けた人は、受けていない人よりも、新型コロナウイルス感染症を発症した人が少ないということが分かっています。(臨床試験を通じて、約70%等の発症予防効果が確認されています。)
なお、本ワクチンの接種で十分な免疫が確認されたのは、2回目の接種を受けてから15日以降です。また、感染を完全に予防できる訳ではありません。ワクチン接種にかかわらず、適切な感染防止策を行う必要があります。

臨床試験の概要については、「さらに詳しい情報」をご覧ください。

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安全性について

 主な副反応は、注射した部分の痛み、頭痛、関節や筋肉の痛み、倦怠感、疲労、寒気、発熱等があります。なお、臨床試験では、これらの症状は2回目の接種時より1回目の接種時の方が、発現頻度が高い傾向が見られています。また、まれに起こる重大な副反応として、ショックやアナフィラキシーがあります。
ごく稀ではあるものの、ワクチン接種後に血小板減少症を伴う血栓症(※1)、毛細血管漏出症候群(※2)、ギラン・バレー症候群などの脱髄疾患(※3)を発症した例が、海外で報告されています。接種後に次のような症状が現れたら、速やかに医療機関を受診してください。

(※1)持続する激しい頭痛、目のかすみ、息切れ、錯乱、けいれん、胸の痛み、足のやむくみや痛み、持続する腹痛、接種部位以外の内出血(あざ)などの症状。なお、これらの症状の殆どは接種後28日以内に起きることが多く、また、2回目の接種後よりも1回目の接種後に起きることが多いです。
(※2)手足のむくみ、低血圧などの症状。
(※3)手足の力が入りにくいなどの運動障害、しびれなどの感覚障害、排尿・排便障害、目のかすみなどの視力障害。

なお、本ワクチンは、新しい種類のワクチンのため、これまでに明らかになっていない症状が出る可能性があります。接種後に気になる症状を認めた場合は、接種医あるいはかかりつけ医に相談しましょう。
万が一、ワクチンの接種によって健康被害が生じた場合には、国によるサイト内リンク 予防接種健康被害救済制度がありますので、お住まいの各自治体にご相談ください。

臨床試験の概要については、「さらに詳しい情報」をご覧ください。

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予防接種を受けることができない人、注意が必要な人

 下記にあてはまる方は、本ワクチンの接種ができない、または接種に注意が必要です。
当てはまるかどうかや、ワクチンを受けて良いか、ご不明な方は、その病気を診てもらっている主治医にご相談ください。
また、当てはまると思われる方は、必ず接種前の診察時に医師へ伝えてください。

受けることができない人

・明らかに発熱している人(※1)
・重い急性疾患にかかっている人
・本ワクチンの成分に対し重度の過敏症(※2)の既往歴のある人
・SARS-CoV-2ワクチン接種後に血小板減少症を伴う静脈もしくは動脈の血栓症を起こしたことがある人
・毛細血管漏出症候群の既往歴のある人
・上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある人
(※1)明らかな発熱とは通常37.5℃以上を指します。ただし、37.5℃を下回る場合も平時の体温を鑑みて発熱と判断される場合はこの限りではありません。
(※2)アナフィラキシーや、全身性の皮膚・粘膜症状、喘鳴、呼吸困難、頻脈、血圧低下等、アナフィラキシーを疑わせる複数の症状。

注意が必要な人

・抗凝固療法を受けている人、血小板減少症または凝固障害(血友病など)のある人
・過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天性免疫不全症の方がいる人
・心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある人
・過去に予防接種を受けて、接種2日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状がでた人
・過去にけいれんを起こしたことがある人
・本ワクチンの成分(※)に対して、アレルギーが起こるおそれがある人

妊娠中、又は妊娠している可能性がある人、授乳されている人は、接種前の診察時に必ず医師へ伝えてください。

※本ワクチンの成分
▷有効成分
・コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(遺伝子組換えサルアデノウイルスベクター)
▷添加物
・L-ヒスチジン
・L-ヒスチジン塩酸塩水和物
・塩化ナトリウム
・塩化マグネシウム
・エデト酸ナトリウム水和物
・精製白糖コレステロール
・無水エタノール
・ポリソルベート80

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接種当日の注意事項

・接種前に、ご自宅で体温を測定し、明らかな発熱がある場合や体調が悪い場合などは、接種を控え、接種を受ける予定の施設にご連絡ください。
・ワクチンは、通常、三角筋(上腕の筋肉)に接種するため、肩の出しやすい服装でお越しください。

・接種を受けるための手続きや場所などについては、サイト内リンク 「接種についてのお知らせ」をご覧ください。

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ワクチンを受けた後の注意点

・本ワクチンの接種を受けた後、15分以上(過去にアナフィラキシーを含む重いアレルギー症状を起こしたことがある方や、気分が悪くなったり、失神等を起こしたりしたことがある方は30分以上)、接種を受けた施設でお待ちいただき、体調に異常を感じた場合には、速やかに医師へ連絡してください。(急に起こる副反応に対応できます。)
・注射した部分は清潔に保つようにし、接種当日の入浴は問題ありませんが、注射した部分はこすらないようにしてください。
・接種当日は、通常の生活は問題ありませんが、激しい運動や過度の飲酒は控えてください。

※関連資料 リーフレット:【アストラゼネカ社】接種後の注意点[PDF:645KB]

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さらに詳しい情報

有効性について(臨床試験の概要)

<海外における臨床試験>
海外(英国、ブラジル、南アフリカ共和国)において、ワクチンを接種する人と対照薬(生理食塩水等)を接種する人に分け、1回接種、もしくは4週間以上の間隔で2回接種した時、新型コロナウイルス感染症の発症がどの程度抑制されるかが比較されました。日本では、これらの国で実施された各試験(計4試験)の併合解析を行い評価が行われました。
有効性の評価に当たっては、2回目のワクチン接種後から15日以降に、37.8℃以上の発熱、咳嗽、息切れ、無嗅覚又は味覚消失の少なくとも1つ以上の症状が現れた初発の症例であり、RT-PCR又はその他の核酸増幅検査で陽性となったものが集計されました。
その結果、過去に新型コロナウイルスの感染歴がない被験者におけるワクチン有効率は、例えば、英国で実施された試験及びブラジルで実施された試験の併合解析の結果は下表のとおりであり、70.42%等のワクチン有効率が確認されています。

また、英国、ブラジル、南アフリカ共和国での計4試験の併合解析における接種間隔別の有効率は下表のとおりであり、接種間隔が長い方が、ワクチン有効率が上昇する傾向が確認されました。

(※)承認された用量が投与されている。

<国内における臨床試験>
日本人の健康成人約250人を対象に、ワクチンを接種する人とプラセボ(生理食塩水)を接種する人に分け、標準(承認された)用量を4週間の間隔で2回接種しました。その後、2回目の接種から28日後の、血清中のスパイクタンパク質に対する特異的抗体及び中和抗体の増加状況を確認しました。なお、スパイクタンパク質に対する特異的抗体とは、コロナウイルスの表面に存在するスパイクタンパク質を特異的に認識する抗体、中和抗体とはウイルスの感染力又は毒素の活性を中和できる抗体のことです。

2回目接種から28日後の、血清中のスパイクタンパク質特異的抗体(抗体価が大きい程、Sタンパク質の受容体への結合を阻害する可能性が高いことを示します。)の応答率、50%中和抗体(抗体価が大きい程、中和活性が高いことを示します。)の応答率、及び中和抗体の血清幾何平均抗体価は下記の通りであり、日本人においても、それぞれの抗体価の上昇が確認されています。

(※)抗体の応答率とは、接種後の抗体価が初回接種前の4倍以上に上昇した被験者の割合。

発症予防効果が確認された海外での臨床試験と同様に、日本でも中和抗体価の上昇が確認されたこと(各国における中和抗体価の血清幾何平均抗体価は、英国:97.434、ブラジル:110.964、南アフリカ共和国:268.614)や、複数の国、人種、民族が組み入れられた海外試験において有効性が示されたことを踏まえ、日本人でも、同様にワクチンの有効性が期待できると考えられています。

 

安全性について(臨床試験の概要)

<海外における臨床試験>
少なくとも1回接種した約24,000例を対象に安全性を評価しました。各回接種後7日間における主な有害事象の発現割合は下記の通りでした。なお、有害事象とは、接種後に生じる好ましくない症状のことであり、接種との因果関係があるか分からない、もしくは直ちに判断できない事例のことです。

<国内における臨床試験>
18歳以上の男女256例を対象に、各回接種後6日間の安全性を評価しました。主な有害事象の発現割合は下記の通りでした。

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