【感染症エクスプレス@厚労省】Vol.445(2021年8月27日)
2021年8月6日、ギニア共和国保健省は、同国南西部ンゼレコケ州ゲケドゥ県で発生したマールブルグ病の確定症例1例を世界保健機関(WHO)へ報告しました。
ゲケドゥ県はシエラレオネとリベリア国境近くにあり、同地域は本年6月19日に終息したばかりの同国のエボラ出血熱の発生地でもありました。
マールブルグ病の発生は同国初で、西アフリカでも初めてです。
症例は46歳の農業を営む男性で、7月25日に発症し、8月1日に、発熱、頭痛、倦怠感、腹痛、歯肉出血の症状で、近くの小規模医療施設を受診、8月2日に亡くなりました。
この患者の発生は県の保健当局に報告され、WHOと国の当局の専門家からなる調査チームが詳細な調査を開始しました。死亡した患者の検体から、マールブルグウイルスが検出され、
国立研究所、セネガルのパスツール研究所で確定診断されました。本疾病の発生を受け、ギニア保健省、WHO、米国疾病対策予防センター(CDC)等の関係機関が初動対応・感染拡大防止策を実施しております。
なお、8月15日時点で、173名の接触者が特定され、うち172名が健康観察されていますが、高リスク濃厚接触者である、患者の妻が所在不明となっています。
WHOは、ギニア共和国の脆弱な医療体制と新型コロナウイルス感染症等の発生状況、患者発生地域がシエラレオネとリベリア国境近くであることから、頻回な国を超えた行き来により隣国への感染波及が懸念されており、
国及び地域レベルの流行リスクを「高」とし、世界レベルのリスクは「低」としています。
より詳しい情報は下記、WHOアウトブレイク発生情報、WHOアフリカ地域事務局の週報等をご覧ください。
厚生労働省は本疾患に対して引き続き情報収集を実施し、必要に応じて情報提供を行ってまいります。
【出典】
・WHO Disease Outbreak News (DONs): マールブルグ病(ギニア共和国)(2021/8/9)
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2021-DON331
・WHO マールブルグ病 ファクト・シート(2021/8/7)
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/marburg-virus-disease
・WHOアフリカ地域事務局週報 第32週: 2021/8/2-8/8 (8/8 17時時点)
https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/343824/OEW32-0208082021.pdf
・WHOアフリカ地域事務局週報 第33週: 2021/8/9-8/15 (8/15 17時時点)
https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/344261/OEW33-0915082021.pdf
・WHOアフリカ地域事務局 ニュースリリース(2021/8/9)
https://www.afro.who.int/news/west-africas-first-ever-case-marburg-virus-disease-confirmed-guinea
・厚生労働省 感染症法に基づく医師の届出のお願い(マールブルグ病)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-01-06.html
・厚生労働省検疫所 FORTH 海外感染症情報 マールブルグ病―ギニア(2021/8/11)
https://www.forth.go.jp/topics/20210811_1.html