周産期医療と救急医療の確保と連携について
1.周産期医療と救急医療の現状について
周産期医療体制については、国民が安心・安全に出産に臨める医療環境の実現に向け、一層の整備が求められています。
平成8年度から開始した周産期医療対策事業による周産期医療ネットワークの整備は、分娩に伴って大量出血を生じた妊婦の救命、未熟児の救命等に大きく寄与し、妊産婦死亡率や新生児死亡率の改善が図られてきました。しかし、近年、脳血管障害など産科以外の疾患による妊産婦死亡が新たな課題となっています。
昨年、東京都において妊婦搬送の受入困難事例が発生したことを受け、厚生労働省から各都道府県あてに「東京都の妊婦死亡事案を受けた周産期救急医療体制の確保について」(平成20年10月27日付け医政指発第1027001号・雇児母発第1027001号)を発出し、周産期母子医療センターの診療体制、院内の周産期医療部門と救急医療部門の連携状況、地域の医療機関との連携状況等を確認し、必要があれば改善を図るようお願いしました。
また、周産期医療と救急医療の確保と連携を推進するため、昨年11月から、「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」において具体的な対策等について検討を行い、3月4日に報告書(PDF:480KB)を取りまとめたところです。
2. 周産期医療と救急医療の確保と連携に関する取組について
救急医療と周産期医療については、密接に連携を図りながら対策を進める必要があります。このため、厚生労働省においては、平成21年1月1日付けで、雇用均等・児童家庭局で担当していた周産期医療業務を医政局に移管しました。これにより、救急医療、周産期医療、小児医療、災害医療及びへき地医療の確保に係る業務を一体的かつ効率的に進めていきます。
また、救急患者が円滑に受け入れられるよう、地域における救急搬送・受入ルールの策定など、医療と消防の連携強化について総務省消防庁とともに検討しており、都道府県が傷病者の搬送及び受入れの実施基準を定めるとともに、当該実施基準に関する協議等を行うための消防機関、医療機関等を構成員とする協議会を設置する等を内容とする消防法の改正(全体版(PDF:637KB))を行う予定です。
さらに、平成21年度予算においては、出産前後の集中管理が必要な母体及び胎児、新生児に対する周産期医療体制の充実を図るため、
(1) 総合周産期母子医療センターの運営(新生児担当医への超未熟児出産支援手当に対する支援を含む。)、母体搬送コーディネーターの配置に対する支援(新規)
(2) 地域周産期母子医療センターの運営(新生児担当医への超未熟児出産支援手当に対する支援を含む。)に対する支援(新規)
(3) 産科医療を担う医師等に支払う分娩取扱手当に対する支援(新規)
(4) 病院内保育所に対する支援等による女性医師・看護師等の離職防止・復職支援
(5) 出生数の少ない地域に所在し経営に困難が生じている産科医療機関の運営等に対する支援
等を計上しています。
お問い合わせ先 厚生労働省医政局指導課