参照元URL : https://www.mhlw.go.jp/haishin/u/l?p=sVQHs65krVbce68jY
健康・医療
ファイザー社の新型コロナワクチンについて
特徴
ワクチンの種類
本剤はメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンです。SARS-CoV-2のスパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要なタンパク質)の設計図となるmRNAを脂質の膜に包んだ製剤になります。本剤を接種し、mRNAがヒトの細胞内に取り込まれると、このmRNAを基に細胞内でウイルスのスパイクタンパク質が産生され、スパイクタンパク質に対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導されることで、SARS-CoV-2による感染症の予防ができると考えられています。
接種対象者
- 初回接種(1回目・2回目接種):5歳以上の方
- 追加接種(3回目接種):5歳以上の方 New
- 追加接種(4回目接種):(1) 60歳以上の方、(2) 18歳以上60歳未満で、基礎疾患を有する方や重症化リスクが高いと医師が認める方、医療従事者等及び高齢者施設等の従事者
接種方法
通常は、三角筋(上腕の筋肉)に、12歳以上の場合は1回0.3mL(30μg)、5~11歳の場合は1回0.2mL(10μg)を、筋肉注射という方法で接種します。(12歳以上と5~11歳では、接種する製剤が異なります。)
接種回数と接種間隔
<初回接種>
- 1回目の接種後、通常、3週間の間隔で2回目の接種を受けてください。
- 接種後3週間を超えた場合は、できるだけ速やかに2回目の接種を受けてください。(米国やEUの一部の国で、1回目から6週間後までに2回目を接種することを目安としています。)
- 1回目に本ワクチンを接種した場合は、原則として、2回目も本ワクチンの接種を受けてください。
<追加接種>
- 3回目接種の場合は2回目の接種完了から5か月以上、4回目接種の場合は3回目の接種完了から5か月以上経過した方から、接種を受けてください。
- 1~3回目の接種に用いたワクチンの種類に関わらず、本ワクチンの接種が可能です。
有効性について
新型コロナウイルス感染症の発症を予防します。
ワクチンを受けた人が受けていない人よりも、新型コロナウイルス感染症を発症した人が少ないということが分かっています。
初回接種における臨床試験の結果、接種から一定の期間における発症予防効果は、16歳以上では約95%、12~15歳では100%、5~11歳では90.7%、本ワクチンの接種で十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから7日程度経って以降とされています。これらの結果はオミクロン株が流行する前のものですが、12歳以上に使用するワクチンについては、オミクロン株に対しても、デルタ株と比較してその効果は低下するものの、発症予防効果等があることが様々な研究の中で報告されています。5~11歳に使用するワクチンについても、一定の入院予防効果が確認されています。
3回目接種については、国内外の報告により、発症予防効果等が報告されています。また、オミクロン株に対しても、3回目接種に係る様々な研究において発症予防等の効果が一時的に回復することが示唆されています。
4回目接種については、海外で実施された研究によると、オミクロン株流行期において、3回目接種から一定期間経過した60歳以上の者に対するファイザー社のワクチンの4回目接種による感染予防効果は短期間しか持続しなかった一方で、重症化予防効果は4回目接種後6週間経過しても低下せず維持されていたこと等が報告されています。
ただし、追加接種を受けても、発症等を完全に予防できる訳ではありません。ワクチン接種にかかわらず、引き続き、適切な感染防止策を行う必要があります。
臨床試験の概要については、「さらに詳しい情報」をご覧ください。
安全性について
主な副反応は、頭痛、関節や筋肉の痛み、注射した部分の痛み、疲労、寒気、発熱等があります。
稀に起こる重大な副反応として、ショックやアナフィラキシーがあります。
また、ごく稀ではあるものの、1~3回目接種では、ワクチン接種後に心筋炎や心膜炎を疑う事例が報告されています(※)。接種後数日以内に胸痛、動悸、息切れ、むくみ等の症状が現れたら医療機関を受診してください。
(※)12歳以上において、3回目接種後の報告頻度は、2回目と同様、若い方、特に男性で高かったものの、2回目よりも低い傾向が見られています。5~11歳の初回接種については、米国において、12~17歳男子に比べ5~11歳男子の方が報告頻度は低かったことが確認されています。
ごく稀ではあるものの、mRNAワクチン接種後にギラン・バレー症候群が報告されています。接種後、手足の力が入りにくい、しびれ等の症状が現れたら、速やかに医療機関を受診してください。
3回目接種では、1回目や2回目の接種と比較して、主に脇の下のリンパ節の腫れが多く(5%程度)報告されています。症状は軽く、数日以内に自然に回復することが多いですが、腫れがひどかったり、長引く場合は、医療機関を受診してください。
なお、本ワクチンは、新しい種類のワクチンのため、これまでに明らかになっていない症状が出る可能性があります。接種後に気になる症状を認めた場合は、接種医あるいはかかりつけ医に相談してください。
万が一、ワクチンの接種によって健康被害が生じた場合には、国による 予防接種健康被害救済制度がありますので、お住まいの各自治体にご相談ください。
臨床試験の概要については、「さらに詳しい情報」をご覧ください。
予防接種を受けることができない人、注意が必要な人
下記にあてはまる方は、本ワクチンの接種ができない、または接種に注意が必要です。
当てはまるかどうかや、ワクチンを受けて良いか、ご不明な方は、その病気を診てもらっている主治医にご相談ください。
また、当てはまると思われる方は、必ず接種前の診察時に医師へ伝えてください。
受けることができない人
・明らかに発熱している人(※1)
・重い急性疾患にかかっている人
・本ワクチンの成分に対し重度の過敏症(※2)の既往歴のある人
・上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある人
(※1)明らかな発熱とは通常37.5℃以上を指します。ただし、37.5℃を下回る場合も平時の体温を鑑みて発熱と判断される場合はこの限りではありません。
(※2)アナフィラキシーや、全身性の皮膚・粘膜症状、喘鳴、呼吸困難、頻脈、血圧低下等、アナフィラキシーを疑わせる複数の症状。なお、1回目あるいは2回目の接種でこれらの症状が認められた方は、同一のワクチンを用いた追加接種を受けることはできません。
注意が必要な人
・抗凝固療法を受けている人、血小板減少症または凝固障害(血友病など)のある人
・過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天性免疫不全症の方がいる人
・心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある人
・過去に予防接種を受けて、接種2日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状がでた人
・過去にけいれんを起こしたことがある人
・本ワクチンの成分(※)に対して、アレルギーが起こるおそれがある人
妊娠中、又は妊娠している可能性がある人、授乳されている人は、接種前の診察時に必ず医師へ伝えてください。ただし、かかりつけの産婦人科医に確認していない場合でも、予診医によりワクチン接種が可能と判断された場合は、接種が可能です。
※本ワクチンの成分
▷有効成分
・トジナメラン(ヒトの細胞膜に結合する働きを持つスパイクタンパク質の全長体をコードするmRNA
▷添加物(12歳以上の製剤)
・ALC-0315:[(4-ヒドロキシブチル)アザンジイル]ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカン酸エステル)
・ALC-0159:2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド
・DSPC:1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン
・コレステロール
・塩化カリウム
・リン酸二水素カリウム
・塩化ナトリウム
・リン酸水素ナトリウム二水和物
・精製白糖
▷添加物(5~11歳の製剤)
・ALC-0315:[(4-ヒドロキシブチル)アザンジイル]ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカン酸エステル)
・ALC-0159:2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド
・DSPC:1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン
・コレステロール
・精製白糖
・トロメタモール
・トロメタモール塩酸塩
接種当日の注意事項
ワクチンを受けた後の注意点
※関連資料 リーフレット:
さらに詳しい情報
有効性について(臨床試験の概要)
▷16歳以上
<海外における臨床試験>
海外6か国(米国、ドイツ、トルコ、ブラジル、アルゼンチン、南アフリカ)において実施されました。ワクチンを接種する人とプラセボ(生理食塩水)を接種する人に分け、約3週間の間隔で2回接種した時、新型コロナウイルス感染症の発症がどの程度抑制されるか比較されました。なお、発症の確認に当たっては、発熱や咳、息切れ等、感染が疑われる症状が1つ以上あり、PCR等の核酸増幅検査で陽性となった人を、新型コロナウイルス感染症が発症した人と定義されました。 約4万人の被験者を対象に、2回目の接種後7日以降の発症の有無が比較されました。その結果、過去に新型コロナウイルスの感染歴がない場合で95.0%のワクチン有効率が確認され、感染歴の有無を問わない場合でも94.6%のワクチン有効率が確認されました。
(※)総追跡期間(1,000人年):人年とは解析対象者毎の追跡期間(観察期間)(年)を合計した数値。
<国内における臨床試験>
日本人の健康成人160人を対象に、ワクチンを接種する人とプラセボを接種する人に分け、約3週間の間隔で2回接種しました。その後、2回目の接種から1か月後の、血清中の新型コロナウイルスに対する中和抗体の増加状況を確認しました。なお、中和抗体とはウイルスの感染力又は毒素の活性を中和できる抗体のことです。2回目接種から1か月後の、血清中の50%中和抗体価(値が大きい程、中和活性が高いことを示します。)は下記のとおりであり、日本人でも、海外における臨床試験で得られたワクチン接種群の結果(血清幾何平均抗体価316.1、血清幾何平均上昇倍率31.1)と同程度以上の結果が得られています。
(注釈:臨床試験の参加者160人のうち4人は、事前に策定した治験実施計画から逸脱があったため、解析の対象から除外されています。)
発症予防効果が確認された海外における臨床試験と同程度以上に、血清中和抗体価の上昇が認められていることや、複数の国、人種、民族が組み入れられた海外試験において有効性が示されたことを踏まえ、日本人でも、同様にワクチンの有効性が期待できると考えられています。
▷ 12~15歳
<海外における臨床試験>
12歳以上の健康人を対象に、ワクチンを接種する人とプラセボ(生理食塩水)を接種する人に分け、16歳以上での臨床試験と同様、約3週間の間隔で2回接種した時、新型コロナウイルス感染症の発症がどの程度抑制されるか比較されました。
約2,000人の被験者を対象に、2回目の接種後7日以降の発症の有無が比較されました。その結果、過去に新型コロナウイルス感染歴がない場合、感染歴を問わない場合、いずれも100.0%のワクチン有効率が確認されました。
また、2回目の接種から1か月後の、血清中の新型コロナウイルスに対する中和抗体の増加状況を確認しました。過去に感染歴の無い被験者を対象に、12~15歳と、既に有効性が確認されている年齢集団である16~25歳の中和抗体価を比較したところ、12~15歳の集団は、16~25歳の集団に対して非劣性(劣っていないこと)が示されました。
▷ 5~11歳
<海外における臨床試験>
米国において実施されました。5~11歳を対象に、2回目の接種から1か月後の、血清中の新型コロナウイルスに対する中和抗体価及び抗体応答率を確認したところ、別の臨床試験で有効性が確認されている16~25歳におけるワクチン接種後の中和抗体価及び抗体応答率と比較して非劣性(劣っていないこと)が示されました。
血清中和抗体価
5~11歳群(本剤10μg) | 16~25歳群(本剤30μg) | 幾何平均比 (5~11歳群/ 16~25歳群) |
||
測定した人数 | 幾何平均抗体価 (2回目接種後1か月) |
測定した人数 | 幾何平均抗体価 (2回目接種後1か月) |
|
264 | 1197.6 | 253 | 1146.5 | 1.04 |
血清中和抗体応答率(注)
5~11歳群(本剤10μg) | 16~25歳群(本剤30μg) | 抗体応答率の差 (5~11歳群- 16~25歳群) |
||
測定した人数 | n(抗体応答率) (2回目接種後1か月) |
測定した人数 | n(抗体応答率) (2回目接種後1か月) |
|
264 | 262(99.2%) | 253 | 251(99.2%) | 0.0% |
(注:1回目接種前の中和抗体価よりも4倍以上上昇した被験者の割合)
また、中和抗体価の確認後、新型コロナウイルスに感染歴の無い人(約2,000人)を対象に、ワクチン接種群とプラセボ接種群で2回目接種後7日以降の発症の有無を比較したところ、90.7%のワクチン有効率が確認されました。
▷追加接種(3回目接種)(18歳以上)
<海外における臨床試験>
米国において実施されました。18~55歳の一部の被験者を対象に、2回目のワクチン接種から5~7か月後、本剤の追加接種を行い、接種から1か月後の、血清中の新型コロナウイルスに対する中和抗体の増加状況を確認しました。本剤2回目接種1か月後と、本剤3回目接種1か月後の、50%中和抗体価の幾何平均比及び応答率は下記のとおりであり、両項目において、追加接種後の中和抗体価は2回目接種後の中和抗体価に対して非劣性が示されると共に、追加接種後の中和抗体価は2回目接種後よりも数倍高い値であることが確認されました。
血清中和抗体価
血清中和抗体応答率(注)
(注:1回目接種前の中和抗体価よりも4倍以上上昇した被験者の割合)
▷追加接種(3回目接種)(5~11歳) New
<海外における臨床試験>
海外6か国(米国、フィンランド、ポーランド、スペイン)において実施されました。5~11歳を対象に、本剤の2回目接種から5~9か月後に本剤の追加接種を行い、血清中の新型コロナウイルスに対する中和抗体価を確認しました。幾何平均抗体価は、2回目接種1か月後及び3回目接種前に比べて、3回目接種1か月後で上昇し、2回目接種1か月後に対する3回目接種1か月後の幾何平均比は2.17でした。
安全性について(臨床試験の概要)
▷16歳以上
<海外における臨床試験>
各回接種後7日間における主な有害事象の発現割合は下記の通りでした。なお、有害事象とは、接種後に生じる好ましくない症状のことであり、接種との因果関係があるか分からない、もしくは直ちに判断できない事例を含みます。
N=解析対象例数 n=発現例数
<国内における臨床試験>
各回接種後7日間における主な有害事象の発現割合は下記の通りでした。
N=解析対象例数 n=発現例数
▷12~15歳
<海外における臨床試験>
各回接種後7日間における主な有害事象の発現割合は下記の通りでした。
N=解析対象例数 n=発現例数
▷5~11歳
<海外における臨床試験>
各回接種後7日間における主な有害事象の発現割合は下記の通りでした。
▷ 追加接種(3回目接種)(18歳以上)
<海外における臨床試験>
追加接種後7日間における主な有害事象の発現割合は下記の通りでした。
▷ 追加接種(3回目接種)(5~11歳) New
<海外における臨床試験>
追加接種後7日間における主な有害事象の発現割合は下記の通りでした。