参照元URL : https://www.mhlw.go.jp/haishin/u/l?p=uV0FMka_JNXPJm8rY
健康・医療
モデルナ社の新型コロナワクチン(1価:従来株)について
特徴
ワクチンの種類
本剤はメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンです。SARS-CoV-2のスパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要なタンパク質)の設計図となるmRNAを脂質の膜に包んだ製剤です。本剤を接種し、mRNAがヒトの細胞内に取り込まれると、このmRNAを基に細胞内でウイルスのスパイクタンパク質が産生され、スパイクタンパク質に対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導されることで、SARS-CoV-2による感染症の予防ができると考えられています。
接種対象者
- *モデルナ社の新型コロナワクチン(1価:従来株)は、令和5年2月11日で接種が終了
- *モデルナ社の新型コロナワクチン(1価:従来株)による追加(3回目・4回目)接種は、令和5年3月31日で終了 New
接種方法
通常は、三角筋(上腕の筋肉)に、初回(1回目・2回目)接種では1回0.5mL、追加(3回目・4回目)接種では1回0.25mLを筋肉注射という方法で接種します。
接種回数と接種間隔
- *モデルナ社の新型コロナワクチン(1価:従来株)は、令和5年2月11日で接種が終了
- *モデルナ社の新型コロナワクチン(1価:従来株)による追加(3回目・4回目)接種は、令和5年3月31日で終了 New
有効性について
本ワクチンを受けた人は受けていない人よりも、新型コロナウイルス感染症を発症した人が少ないということが分かっています。
初回接種における臨床試験の結果、接種から一定の期間における発症予防効果は、18歳以上では約94%、12~17歳では100%、本ワクチンの接種で十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから14日以降とされています。これらの結果はオミクロン株が流行する前のものですが、本ワクチンについては、オミクロン株に対しても、デルタ株と比較してその効果は低下するものの、発症予防効果等があることが様々な研究の中で報告されています。
3回目接種については、国内外の報告により、発症予防効果等が報告されています。また、オミクロン株に対しても、3回目接種に係る様々な研究において発症予防等の効果が一時的に回復することが示唆されています。
4回目接種については、同じmRNAワクチンであるファイザー社のワクチンを用いた海外の研究結果によると、オミクロン株流行期において、3回目接種から一定期間経過した60歳以上の者に対するワクチンの4回目接種による感染予防効果は短期間しか持続しなかった一方で、重症化予防効果は4回目接種後6週間経過しても低下せず維持されていたこと等が報告されています。
ただし、追加接種を受けても、発症等を完全に予防できる訳ではありません。ワクチン接種にかかわらず、引き続き、適切な感染防止策を行う必要があります。
臨床試験の概要については、「さらに詳しい情報」をご覧ください。
安全性について
(※1)初回接種では、接種直後よりも接種翌日に痛みを感じる方が多いです。接種後1週間程度経ってから、痛みや腫れなどが起きることもあります。
稀に起こる重大な副反応として、ショックやアナフィラキシーがあります。
また、ごく稀ではあるものの、ワクチン接種後に心筋炎や心膜炎を疑う事例が報告されています(※2)。接種後数日以内に胸痛、動悸、息切れ、むくみ等の症状が現れたら速やかに医療機関を受診してください。
- (※2)12歳以上において、3回目接種後の報告頻度は、2回目と同様、若い方、特に男性で高かったものの、2回目よりも低い傾向が見られています。
ごく稀ではあるものの、mRNAワクチン接種後にギラン・バレー症候群が報告されています。接種後、手足の力が入りにくい、しびれ等の症状が現れたら、速やかに医療機関を受診してください。
3回目接種では、1回目や2回目の接種と比較して、リンパ節の腫れが多く(20%程度)報告されています。症状がひどかったり長引く場合は、医療機関を受診してください。
なお、本ワクチンは、新しい種類のワクチンのため、これまでに明らかになっていない症状が出る可能性があります。接種後に気になる症状があった場合は、接種医あるいはかかりつけ医に相談してください。
万が一、ワクチンの接種によって健康被害が生じた場合には、国による 予防接種健康被害救済制度がありますので、お住まいの各自治体にご相談ください。
臨床試験の概要については、「さらに詳しい情報」をご覧ください。
接種を受けられない人、注意が必要な人
当てはまるかどうかや、ワクチンを受けて良いか、ご不明な方は、その病気を診てもらっている主治医にご相談ください。
また、当てはまると思われる方は、必ず接種前の診察時に医師へ伝えてください。
- ・明らかに発熱している人(※1)
- ・重い急性疾患にかかっている人
- ・本ワクチンの成分に対し重度の過敏症(※2)の既往歴のある人
- ・上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある人
(※1)明らかな発熱とは通常37.5℃以上を指します。ただし、37.5℃を下回る場合も平時の体温を鑑みて発熱と判断される場合はこの限りではありません。
(※2)アナフィラキシーや、全身性の皮膚・粘膜症状、喘鳴、呼吸困難、頻脈、血圧低下等、アナフィラキシーを疑わせる複数の症状。なお、1回目あるいは2回目の接種でこれらの症状が認められた方は、同一のワクチンを用いた追加接種を受けることはできません。
抗・凝固療法を受けている人、血小板減少症または凝固障害(血友病など)のある人
・過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天性免疫不全症の方がいる人
・心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある人
・過去に予防接種を受けて、接種後2日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状がでた人
・過去にけいれんを起こしたことがある人
・本ワクチンの成分(※)に対して、アレルギーが起こるおそれがある人
妊娠中、又は妊娠している可能性がある人、授乳されている人は、接種前の診察時に必ず医師へ伝えてください。ただし、かかりつけの産婦人科医に確認していない場合でも、予診医によりワクチン接種が可能と判断された場合は、接種が可能です。
(※)本ワクチンの成分
▷有効成分
・エラソメラン(ヒトの細胞膜に結合する働きを持つスパイクタンパク質の全長体をコードするmRNA)
▷添加物
・SM-102:ヘプタデカン-9-イル 8-((2-ヒドロキシエチル)(6-オキソ-6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタン酸エステル
・コレステロール
・DSPC:1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン
・1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メチルポリオキシエチレン(PEG2000-DMG)
・トロメタモール
・トロメタモール塩酸塩
・氷酢酸
・酢酸ナトリウム水和物
・精製白糖
さらに詳しい情報
有効性について(臨床試験の概要)
▷18歳以上
<海外における臨床試験>
海外(米国)において実施されました。ワクチンを接種する人とプラセボ(生理食塩水)を接種する人に分け、約28日間の間隔で2回接種した時、新型コロナウイルス感染症の発症がどの程度抑制されるかが比較されました。なお、発症の確認に当たっては、全身性の症状(38℃以上の発熱、悪寒、筋肉痛、頭痛、嗅覚及び味覚障害等)が2つ以上発現、又は、呼吸器系の徴候・症状(咳嗽、息切れ、呼吸困難等)が1つ以上もしくは臨床所見等で肺炎の確認があり、これらに加え、鼻咽頭ぬぐい液等を用いたPCR等の核酸増幅検査により陽性となった人を、新型コロナウイルス感染症が発症した人と定義されました。
約3万人の被験者を対象に、2回目の接種後14日以降の発症の有無が比較されました。その結果、過去に新型コロナウイルスの感染歴がない被験者において、94.1%のワクチン有効率が確認されました。
<国内における臨床試験>
日本人の健康成人200人を対象に、ワクチンを接種する人とプラセボを接種する人に分け、約28日間の間隔で2回接種しました。その後、2回目の接種から28日後の、血清中の新型コロナウイルスに対するSタンパク質特異的抗体及び中和抗体の増加状況を確認しました。なお、Sタンパク質特異的抗体とは、コロナウイルスの表面に存在するスパイクタンパク質を特異的に認識する抗体、中和抗体とはウイルスの感染力又は毒素の活性を中和できる抗体のことです。
2回目接種から28日後の、血清中のSタンパク質特異的抗体価(値が大きい程、Sタンパク質の受容体への結合を阻害する可能性が高いことを示します。)及び50%中和抗体価(値が大きい程、中和活性が高いことを示します。)は下記の通りであり、海外での臨床試験とは測定方法が異なるため直接比較は出来ないものの、日本人でも、それぞれの抗体価の上昇が確認され免疫原性が認められています。
発症予防効果が確認された海外での臨床試験と同様の傾向が見られたことや、複数の人種が組み入れられた海外試験において有効性が示されたことを踏まえ、日本人でも、同様にワクチンの有効性が期待できると考えられています。
(注釈:臨床試験の参加者200人のうち、一部の被験者は、事前に策定した治験実施計画書からの逸脱等の理由により、解析の対象から除外されています。)
(※)抗体価が定量下限値未満から定量下限以上へ変化、又は、治験薬1回目接種前(ベースライン)から4倍以上上昇した被験者の割合。
▷12~17歳
<海外における臨床試験>
12~17歳の健康人を対象に、ワクチンを接種する人とプラセボ(生理食塩水)を接種する人に分け、18歳以上での臨床試験と同様、約28日間の間隔で2回接種した時、新型コロナウイルス感染症の発症がどの程度抑制されるか比較されました。
約3,000人の被験者を対象に、2回目の接種後14日以降の発症の有無が比較されました。その結果、過去に新型コロナウイルスの感染歴がない被験者において、100.0%のワクチン有効率が確認されました。
また、2回目の接種から28日後の、血清中の新型コロナウイルスに対する中和抗体の増加状況(抗体価、応答率)を確認しました。過去に感染歴の無い被験者を対象に、12~17歳と、既に有効性が確認されている年齢集団である18~25歳の中和抗体価を比較したところ、12~17歳の集団は、18~25歳の集団に対して非劣性(劣っていないこと)が示されました。
(※)抗体価が定量下限値未満から定量下限値以上へ変化した被験者の割合、又は治験薬1回目接種前(ベースライン)から3.3倍以上上昇した被験者の割合。
▷追加接種(3回目接種)(18歳以上)
<海外における臨床試験>
米国において実施されました。18歳以上の被験者を対象に、2回目のワクチン接種から6か月以上経過後、本剤の追加接種(3回目接種)を行い、接種から1か月後の、血清中の新型コロナウイルスに対する中和抗体の増加状況を確認しました。1回目及び2回目の接種で本剤100μgを接種した人に、追加接種として本剤50μgを接種した場合の血清中和抗体価の幾何平均比及び応答率は下記のとおりであり、3回目接種後は2回目接種後より高い抗体価が得られました。
血清中和抗体価
3回目接種後 28日 |
2回目接種後 28日 |
幾何平均比 (3回目接種後/2回目接種後) |
|
N | 149 | 1,053 | - |
幾何平均抗体価 | 1,951.74 | 1,081.12 | 1.755 |
血清中和抗体応答率(注)
3回目接種後 28日 |
2回目接種後 28日 |
抗体応答率の差 (3回目接種後-2回目接種後) |
|
n/N | 131/149 | 1,033/1,050 | - |
抗体応答率 | 87.9% | 98.4% | -10.5% |
N=評価例数、n=中和抗体応答がみられた被験者数
(注:3回目接種後の応答率は3回目接種前の中和抗体価を、2回目接種後の応答率は1回目接種前の中和抗体価をそれぞれベースラインとし、各ベースラインから4倍以上上昇した被験者の割合を示している。)
追加接種(3回目接種)(12~17歳)
<海外における臨床試験>
12~17歳の健康人を対象に、2回目の接種から5か月以上経過後、本剤の追加接種(3回目接種)を行い、接種から28日後の血清中の新型コロナウイルスに対する中和抗体濃度と中和抗体応答率について、18~25歳における2回目の接種から28日後の成績と比較しました。その結果、12~17歳の中和抗体濃度と中和抗体応答率は、18~25歳に対し、いずれも非劣性が示されました。
安全性について(臨床試験の概要)
▷18歳以上
<海外における臨床試験>
各回接種後7日目までの安全性を評価しました。主な有害事象の発現割合は下記のとおりでした。
なお、有害事象とは、接種後に生じる好ましくない症状のことであり、接種との因果関係があるか分からない、もしくは直ちに判断できない事例のことです。
<国内における臨床試験>
各回接種後7日目までの安全性を評価しました。主な有害事象の発現割合は下記のとおりでした。
▷12~17歳以上
<海外における臨床試験>
各回接種後7日間における主な有害事象の発現割合は下記のとおりでした。
▷追加接種(3回目接種)(18歳以上)
<海外における臨床試験>
追加接種(3回目接種)後7日間における主な有害事象の発現割合は下記のとおりでした。
▷追加接種(3回目接種)(12~17歳)
<海外における臨床試験>
追加接種(3回目接種)後7日間における主な有害事象の発現割合は下記のとおりでした。
・詳細(添付文書等)についてはこちらをご覧ください。(医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページ)
・12~17歳を対象とした臨床試験の概要は こちらをご覧ください 。
・3回目接種の時期や4回目接種については こちらをご覧ください。
各国当局が公開している情報等