【感染症エクスプレス@厚労省】Vol.487(2023年5月12日)
◆タンザニア連合共和国でのマールブルグ病の発生について(続報)
2023年3月21日(現地時間)、WHOアフリカ地域事務所は、タンザニア連合共和国北東部のKagera州において、同国初となるマールブルグ病患者の確定例が確認されたと発表しました。
同国の国立公衆衛生研究所が、発熱、嘔吐、出血、腎不全などの症状を呈する8名について検査し、判明したものです。
マールブルグ病は、これまでケニヤ、コンゴ民主共和国、アンゴラ、ウガンダ、ガーナ等で発生があり、直近では、今年2月から赤道ギニア共和国で発生しています。
WHOは、Kagera州が北部でウガンダから、西部でルワンダ、ブルンジなどから、国境を越えた移動があるため、感染拡大のリスクについて、
国内レベルで非常に高い、準地域レベルで高い、地域レベルで中程度、世界レベルで低いと評価しています。
厚生労働省は、3月23日に、自治体、日本医師会、各検疫所、国土交通省に対し、事務連絡を発出し注意喚起の協力を依頼しました。
また、厚生労働省検疫所は、海外から日本へ帰国・入国される方に対し、ポスターやリーフレット等で注意喚起を行っています。
【新しい情報】
5月8日、WHOは、3月16日~4月30日の間に、確定例8例(うち5例死亡、3例回復)、可能性例1例(死亡)が報告され、最後の確定例の報告は4月11日、全例がKagera州からの報告であることを発表しました。
同国保健省及びWHOは、疫学調査等の対応にあたっています。
【マールブルグ病とは?】
マールブルグ病は感染性の高いウイルス性出血熱で、エボラ出血熱と同じフィロウイルス科のマールブルグウイルスによって起こります。
マールブルグウイルスはコウモリ(フルーツバット)からヒトに感染すると考えられており、感染者の血液や体液等への直接接触等によりヒトの間で感染が拡大します。
高熱、強い頭痛、倦怠感で突然発症し、多くの患者は7日以内に重症の出血症状を呈します。
致死率は、過去の流行において、ウイルス株や臨床管理の状況により、24%から88%となっています。
より詳しい情報は以下のリンクをご覧ください。厚生労働省では本事案について引き続き情報収集を実施し、必要に応じて情報提供を行ってまいります。
・ 世界保健機関(WHO)Africa, Enhancing preparedness to tackle rising zoonotic diseases in Africa(2023/4/4)
・ 世界保健機関(WHO)Africa, Tanzania confirms first-ever outbreak of Marburg Virus Disease(2023/03/21)
・ 世界保健機関(WHO). Marburg virus disease, Fact sheets, 7 August 2021