参照元URL:https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/baidoku2018.html
【注意!】梅毒の感染者が例年に比べてとても増えています(症状に関する写真も掲載しています)
更新日:2023年8月3日更新
【注意!】梅毒の感染者が例年に比べてとても増えています(症状に関する写真も掲載しています)
― 目次 ―
1.梅毒の感染者の増加について
現在、全国的に梅毒の感染者が増加しています。本県でも令和4年の報告数は過去最高となっており、令和5年においても、昨年を上回るペースで感染が拡大しています。県民の皆様に感染の予防、気になる症状がある場合には、医療機関の受診や保健所での受検を呼びかけるものです。
2.梅毒の発生状況
平成30年 | 平成31
(令和元)年 |
令和2年 | 令和3年 | 令和4年
(※1) |
令和5年
(※2) |
|
---|---|---|---|---|---|---|
全国 | 7,007 | 6,642 | 5,867 | 7,978 | 13,134 | 8,349 |
福岡県 | 321 | 277 | 314 | 348 | 569 | 461 |
※1 令和4年の報告数は速報値であり、今後変更の可能性があります。
※2 全国にあっては第29週(7月17日から7月23日)までの、福岡県にあっては第30週(7月24日から7月30日)までの累計です。 全国の報告数については、県の公表から1週間遅れます。
●福岡県内週毎の報告数(令和元年~令和5年比較) new
3.梅毒とは
梅毒は、性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)などによってうつる感染症です。原因は梅毒トレポネーマという病原菌で、性行為によって感染し、感染した部位にしこりができるなど、感染後の経過期間によって様々な症状が出ます。(詳しくは、後段にて写真付きで解説しています)
早期の薬物治療で完治が可能です。検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。また、妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがあります(先天梅毒)。
時に無症状になりながら進行するため、治ったことを確認しないで途中で治療をやめてしまわないようにすることが重要です。また完治しても、感染を繰り返すことがあり、再感染の予防が必要です。
4.梅毒の感染経路について
主な感染経路は、感染部位と粘膜や皮膚の直接の接触です。具体的には、性器と性器、性器と肛門(アナルセックス)、性器と口の接触(オーラルセックス)等の性行為が原因となります。
5.梅毒の治療
一般的には、外来で処方された抗菌薬を内服することで治療します。内服期間等は病期により異なり、医師が判断します。病変の部位によっては入院のうえ、点滴で抗菌薬の治療を行うこともあります。
医師が治療を終了とするまでは、処方された薬は確実に飲みましょう。性交渉等の感染拡大につながる行為は、医師が安全と判断するまではひかえましょう。
また、周囲で感染の可能性がある方(パートナー等)と一緒に検査を受け、必要に応じて、一緒に治療を行うことが重要です。
6.梅毒の感染予防
感染部位と粘膜や皮膚が直接接触をしないように、必ずコンドームを使用しましょう。ただし、コンドームが覆わない部分の皮膚などでも感染がおこる可能性があるため、コンドームを使用しても、100パーセント予防できると過信はせず、皮膚や粘膜の異常など気になる症状があった場合は性的な接触を控え、早めに医療機関を受診して相談しましょう。
7.梅毒の検査
県内の保健所等で、HIVや梅毒などの性感染症の検査を無料匿名で受けることができます。検査を受けられる保健所等については、下記ファイルをご覧ください。
性感染症検査を実施している保健所一覧 [PDFファイル/148KB] new
8.梅毒の症状について(詳細解説)
感染したあと、経過した期間によって、症状の出現する場所や内容が異なります。
第1期:感染後約3週間
初期には、感染がおきた部位(主に陰部、口唇部、口腔内、肛門等)にしこりができることがあります。また、股の付け根の部分(鼠径部)のリンパ節が腫れることもあります。痛みがないことも多く、治療をしなくても症状は自然に軽快します。
しかし、体内から病原体がいなくなったわけではなく、他の人にうつす可能性もあります。感染した可能性がある場合には、この時期に梅毒の検査が勧められます。
(写真)感染から約3週間後、唇にくぼみができている様子
写真提供:一般社団法人日本性感染症学会
第2期:感染後数か月
治療をせずに3か月以上を経過すると、病原体が血液によって全身に運ばれ、手のひら、足の裏、体全体にうっすらと赤い発疹が出ることがあります。小さなバラの花に似ていることから「バラ疹(ばらしん)」とよばれています。
発疹は治療をしなくても数週間以内に消える場合があり、また、再発を繰り返すこともあります。しかし、抗菌薬で治療しない限り、病原体は体内に残っており、梅毒が治ったわけではありません。
アレルギー、風しん、麻しん等に間違えられることもあります。この時期に適切な治療を受けられなかった場合、数年後に複数の臓器の障がいにつながることがあります。
(写真)感染から約3か月後、全身に痛くもかゆくもないピンク色の発しんが出ている様子(バラ疹)
(写真)感染から約3か月後、手のひらに痛くもかゆくもないカサカサした斑点が出ている様子(バラ疹)
写真提供:一般社団法人日本性感染症学会
晩期顕性梅毒:感染後数年
感染後、数年を経過すると、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生することがあります。また、心臓、血管、脳などの複数の臓器に病変が生じ、場合によっては死亡に至ることもあります。
現在では、比較的早期から治療を開始する例が多く、抗菌薬が有効であることなどから、晩期顕性梅毒に進行することはほとんどありません。