参照元URL: https://www.mhlw.go.jp/haishin/u/l?p=NdNdXsmV6h634munY
【照会先】
医薬局 国際薬事規制室
室長:古賀 大輔(4223)
専門官:松元 真央 (4232)
(代表電話) 03 (5253) 1111
(直通電話) 03 (3595) 2431
医薬品規制調和国際会議(ICH)総会が開催されました
~1ガイドラインが整備されました~
令和6年6月1日から6月5日まで、福岡において、医薬品規制調和国際会議(ICH)の管理委員会・総会・各作業部会(※)等が開催されました(メンバー・オブザーバーは参考1参照)。本会合では、主に以下の成果がありました。
次回ICH会合は令和6年11月2日から11月6日にカナダ・モントリオールで開催されます。
(※)医薬品規制調和国際会議(ICH)とは医薬品規制当局と製薬業界の代表者が協働して、医薬品規制に関するガイドラインを科学的・技術的な観点から作成する国際会議であり、年に2回対面会合を開催しています。対面会合では、全ての参加メンバーで構成される総会、総会での議論の準備やICHの運営を担う管理委員会、専門家がガイドラインの議論を行う各作業部会が開催されます。
1.各作業部会の進捗状況の報告
総会では、各作業部会におけるガイドライン作成の主な進捗(注)として、今回のICH会合開催までに事前に合意した事項及び今回のICH会合において合意した事項について報告されました。
(注)作業部会では、ICHのガイドラインを作成しております。このガイドラインが、作成開始からICH規制当局側メンバーの各国・地域で実装されるまでは、ステップ1からステップ5の各段階を経て行われます。(参考2参照)
(1)ステップ4到達
(ア) 今回のICH会合開催前に合意した事項
・M12:「薬物間相互作用試験」(令和6年5月にステップ4到達)
(イ) 今回のICH会合において合意した事項
・なし
(2) ステップ2到達
(ア) 今回のICH会合開催前に合意した事項
・M14:「安全性評価においてRWDを活用する薬剤疫学調査の計画・デザイン・分析に関する一般原則
(令和6年5月にステップ2到達)
・E2D(R1):「承認後の安全性情報の取扱い:個別症例安全性報告の管理及び報告のための定義及び基準」
(令和6年2月にステップ2到達)
(イ) 今回のICH会合において合意した事項
・なし
2.新規トピックの採択及びリフレクションペーパーの承認
新規トピックとして、ニトロソアミン不純物の安全性評価及び適切な管理方法の設定に対応し、調和された許容摂取量の設定を目的とした、M7ガイドライン「潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理」の補遺の作成について、総会で採択されました。作成作業の開始時期は、今後管理委員会で検討される予定です。
また、総会では、リフレクションペーパー「医薬品の有効性に焦点を当てた、リアルワールドエビデンス(RWE)生成へのリアルワールドデータ(RWD)活用の調和に向けた機会の追究」が承認されました。
3. ICH管理委員会メンバーの改選
ICH管理委員会は創始メンバー及び常任メンバー以外は、3年ごとに改選が行われています。今般、改選のための選挙が行われ、新たにSFDA(サウジアラビア)を加えた上で、次のメンバーが選定されました。
規制当局:ANVISA(ブラジル)、MFDS(韓国)、NMPA(中国)、SFDA(サウジアラビア)
産業界 :BIO(バイオテクノロジーイノベーション協会)、IGBA(国際ジェネリック・バイオシミラー医薬品協会)
4.新規の規制当局メンバー及びオブザーバーの承認
総会では、アルゼンチン医薬品食品医療技術管理局(ANMAT)及びヨルダン食品医薬品局(JFDA)が、新たな規制当局メンバーとして承認されました。これにより、ICHのメンバーは2団体増の23団体、オブザーバーは35団体となりました(参考1参照)。
5.国際薬事規制当局プログラム(IPRP)について
総会に続いて、6月5日及び6日にIPRP会合(参考3参照)が開催されました。
IPRP会合では、リライアンスの推進、AIの活用、各作業部会の活動及び各国の規制状況等について、実施状況の報告及び意見交換が行われました。
また、同会合では、IPRP管理委員会の副議長の改選がされ、Asmaa Fouad (EDA)が選定されました。
(参考1)ICH参加団体一覧(令和6年6月5日時点)
※:管理委員会メンバー 太字:今般会合で追加
【メンバー(23団体)】
○創設規制当局メンバー(3):厚生労働省/医薬品医療機器総合機構(MHLW/PMDA)(※)、米国食品医薬品局(FDA)(※)、欧州委員会/欧州医薬品庁(EC/EMA)(※)
○創設産業界メンバー(3):日本製薬工業協会(JPMA)(※)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)(※)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)(※)
○常任規制当局メンバー(2):ヘルスカナダ(※)、スイスメディック(※)
○規制当局メンバー(12):ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)(※)、中国国家医薬品監督管理局(NMPA)(※)、シンガポール保健科学庁(HSA)、韓国食品医薬品安全処(MFDS)(※)、台湾食品薬物管理署(TFDA)、トルコ医薬品医療機器庁(TITCK)、サウジ食品医薬品庁(SFDA)(※)、メキシコ連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)、英国医薬品医療製品規制庁(MHRA)、エジプト医薬品庁(EDA)、アルゼンチン医薬品食品医療技術管理局(ANMAT)、ヨルダン食品医薬品局(JFDA)
○産業界メンバー(3):バイオテクノロジーイノベーション協会(BIO)(※)、国際ジェネリック・バイオシミラー医薬品協会(IGBA)(※)、世界セルフケア連盟(GSCF)
【オブザーバー(35団体)】
○常任オブザーバー(2):世界保健機関(WHO)、国際製薬団体連合会(IFPMA)
○規制当局オブザーバー(20):インド中央医薬品基準管理機構(CDSCO)、キューバ国家医薬品医療機器管理機関(CECMED)、イスラエル保健省医薬品・監督センター(CPED)、コロンビア医薬品食品監督庁(INVIMA)、モルドバ医薬品医療機器庁(MMDA)、イラン国家規制当局(NRA)、マレーシア国家医薬品規制庁(NPRA)、南アフリカ医療製品規制当局(SAHPRA)、カザフスタン国家医薬品医療機器専門機関、ロシア連邦保健・社会発展監督局(Roszdravnadzor)、アルメニア医薬品医療技術専門科学センター(SCDMTE)、オーストラリア医療製品管理局(TGA)、レバノン公衆保健省(MOPH)、アゼルバイジャン保健省分析センター(AEC)、インドネシア共和国食品医薬品庁(BPOM)、ウクライナ保健省専門家センター(SEC MOH)、アルジェリア医薬品庁(ANPP)、チュニジア医薬品局(DPM)、ナイジェリア食品医薬品管理局(NAFDAC)、香港薬剤業及び毒薬管理局(PPBHK)
○地域調和イニシアティブ(6):東南アジア諸国連合(ASEAN)、アジア太平洋経済協力(APEC)、東アフリカ共同体 (EAC)、湾岸協力理事会(GCC)、汎アメリカ医薬品規制調和ネットワーク(PANDRH)、南部アフリカ開発共同体(SADC)
○業界団体オブザーバー(1):医薬品原薬委員会(APIC)
○医薬品関連国際団体(6):ビル&メリンダ・ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation)、国際医学団体協議会(CIOMS)、欧州医薬品医療品質部門(EDQM)、国際医薬品添加物機関(IPEC)、医薬品査察協同スキーム(PIC/S)、米国薬局方(USP)
(参考2)ICHのガイドライン作成ステップ
ステップ1 | 新しい調和ガイドラインを作成する提案が、新しいトピックとして総会の承認を受けると、専門家作業部会が設置されます。専門家作業部会では、協議を重ねて技術ドキュメント(ガイドライン案のベース)を作成します。 |
ステップ2 | ステップ2a: 技術ドキュメントの確認 ステップ1の技術ドキュメントが総会で承認されるとステップ2aとなります。 ステップ2b: ガイドライン案の採択 ステップ2aの技術ドキュメントをベースにしたガイドライン案が総会の規制当局代表者により承認されるとステップ2bとなります。 |
ステップ3 | ICHの各地域・国の規制当局(日本では厚生労働省)からガイドライン案が公表され、公に意見が求められます。寄せられた意見に基づいて専門家作業部会で協議が行なわれ、ガイドライン案が修正されます。 |
ステップ4 | ガイドライン案が総会の規制当局代表者によって最終的に合意、採択されるとステップ4となります。 |
ステップ5 | ICHの各地域・国の規制当局において、それぞれの手続きにしたがってガイドラインが実施されます。 日本では、厚生労働省医薬局から各都道府県衛生主管部(局)に通知されます。 |
(参考3)IPRP
IPRP(International Pharmaceutical Regulators Programme、国際薬事規制当局プログラム)は、日本、米国、EU、カナダ、スイス等、約30か国・地域の規制当局が参加し、規制当局間の協力や、規制情報に関する交換等を実施している国際会議です。年2回、ICHに併せて会合が開催されます。